瞳を開くとき
相変わらず久しぶりの投稿で申し訳ありません。
そして、遅いですがこの場で新年の挨拶をさせていただきます。
あけましておめでとうございます。今年も拙い作品ではありますが、作品共々よろしくお願い致します。
「ディレイス、向こうはどうなった?」
「向こうは騒いでたけど今日はひとまず帰して、後日何らかの話し合いをするみたいよ。たぶん俺達にも声が掛かるんじゃないか。」
「面倒だ・・・まあ、仕方あるまい。」
息を吐き出しながら呟くオズワイドは、フィニティスに目を向ける。
「眠り姫はいつ目覚めるのだろうか?」
その様子を見てクスクス笑いながらレスキアーネが声をかける。
「フィーちゃんならもうすぐ目覚めるわ。落ち着いて座ったら?」
――っと
突然フィニティスを包んでいた水が四散する。
レスキアーネは、驚きはしたが抱えたフィニティスを放さないように腕に力を籠める。
「うっ!」
「レスっ!?」
「御母様っ!?」
「姉様っ!?」
「伯母様っ!?」
4人の声が重なる。
そんな中母親の腕に抱えられて、フィニティスは目覚めようとしていた。
――その姿を見たメーフィスは、涙が頬をすべり落ちるのを感じた。
肌理の細かい透き通るような白い肌、白と見まごうほどに輝く白銀の髪、その白銀に彩られた長い睫。
竜神が愛情を籠め、精巧に作り上げた唯一の竜人。
メーフィスの心を占めるのは、やっと会えたという満足感と安堵、竜神にささげるような敬虔な気持ちだった。
睫を震わせながら目を開いたフィニティスに全員が息を呑む。
開いた瞳は光を受けキラキラと輝いているが、色は蒼天、我らが母なる竜神と同色、しかも光彩が三日月のように縦になっている。
皆が息を呑む中、突然フィニティスはその瞳から涙を零し出した。
その姿はとても3歳児にはありえない、大人のような泣き方だ。
「フィーちゃん。どうしたの?何が悲しいの?」
いち早く気をとりなおしたレスキアーネが話しかける。
「御母様、大切な事を忘れてしまったの・・・とても大切なこと・・・」
「そう。でも大丈夫、いつか思い出すわ。」
力強く頷きながら答える母に「本当に?」と、問い返しながらしがみつく。
「えぇ、大丈夫。私の子だもの。」
その言葉を聞いたフィニティスは、火がついたように声を上げて泣いた。
そんなフィニティスをレスキアーネは愛おしそうに抱きしめる。
フィニティスは、体力が続く限り泣き続けて、そのまま眠ってしまった。