運命が教えてくれたこと
掲載日:2026/01/02
店内は賑わっている。
響き渡るお客さんの声と共に私は彼女の手相をじっと見つめた。
「途中で少し途切れてるの見える?これが運命線なの。」
30代半ばの彼女は深刻な表情を浮かべ私の話を聞いている。
「でもこの手相は大丈夫。悪い手相じゃない。」
私は彼女に微笑みかけた。
「人生には立ち止まる時期があるんです。今のあなたの線は少し休もうって言っています。」
彼女は一度、視線を落とし、そっと息を吐いた。
「実は会社を辞めようか悩んでいたんです。」
私は静かに頷いた。
「未来を決めているのは今出てる手相ではないです。だけど今のあなたに必要なメッセージはちゃんと届けてくれます。」
店内に響き渡るお客さんの声が何だか彼女を励ます応援ソングに聞こえる。
誰かの岐路に立ち会う度私は思う。
占いという仕事は、未来を当てる事ではない。
1人では見えなかった選択肢に光を当ててくれる希望の星。
「またお話聞かせてください。」
夜の空気は、思っていたより優しかった。




