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昇格試験

火球に向けて“略奪”を使う。

その途端、手のひらから黒い霧が出現する。


思った通り!火球は消滅し、僕の魔力の一部になる。

流石にミルメスも驚いてる。


しかも、魔法の情報まで頭の中に入ってきた。

発動方法や術式、まさに彼の経験の一部を見た感じだ。


それで理解できたが、どうやら魔法はイメージが大切みたいだ。

呪文や術式でも代用できるが、発動がものすっごく遅くなる。


そのためイメージ...すなわち無詠唱での魔法の行使。

ミルメスはこの魔法の構築がものすごく速く上手だ。


だが、方法がわかったならそこまで怖くない。

イリムは火球に対するイメージを構築する。

火球には散々苦しめられたんだ。ここでちょっと驚かせてやろう♪


思い浮かべるものは、強く深い青、絶対的な硬度と速度。そしてすべてを凍りつかせる冷気。

そのすべてを早く、正確に思い浮かべる。


手に確かな感覚が残る。

そのままできた魔法をミルメスめがけ放つ。


やっぱ炎には氷でしょ。


だがギルマスがそんな簡単に攻撃を受けることもなく...

うーん...直撃したけどあの厚い魔力の層で弾かれてしまった。

地面を軽く抉るくらいのスピードだったんだけどな...結界とかずるい!


まあ驚かせることはできんだけど...それは僕が魔法を使ったからなんだよね。

でもこれでだいぶ戦況が変わる。

よーし。反撃開始だ!



相手は遠距離を主体で攻撃してくるので、まず近接に持ち込みたい。

そのため隙を作りたいのだが、正直これだけじゃ隙を作れるほどのものではない。


そのため更に強力な攻撃が必要になるが、そんなものはない。

...いや、本当は通用する攻撃が1つあるが...もしこれを失敗したら負けはほぼ確定する。魔力がほぼすっからかんになるかもだから。


だけど、他の案はどれも自分が返り討ちになる。簒奪を使ったって魔力は補給できるが体力が戻るわけではない。時間的に負ける。


仕方ない。運要素は嫌いなんだけどね。


魔法は強い。けどエルメス相手には練度が足りない。

だから今回はサポートとして使う。

地面を強く蹴り。空中から無数の氷を放つ。


一気に何百も飛ばしたからかな?さすがのミルメスも防御に集中し、攻撃をやめた。


そこで残りの魔力の大半を使い、槍を作成、ミルメスめがけ思いっきり投げる。

槍の魔力は制御していないので当たると同時に大爆発が起こり威力は数倍にふくれあがる。


しかし、結界に当たったから彼は無傷だった。

が、それも織り込み済み!


それにもう決着はついていた。


そう。イリムの手がミルメスの背中に触れていたのだ。

背中に触れているのにびっくりしたのか、思いっきり ビクッ ってしてた。


「エレナさん、判断お願いします。」

「あっはい。イリム様の手がエルメス様に届いていますので... イリム様の勝利です!」

「勝ったー。でもギリギリだった...。」


いやー。本当にギリギリだった。気絶はしなかったけど魔力もうすっからかんだ。

それに、ミルメスの結界が破れていなかったらあのまま場外に飛ばされていただろう。


正直、勝利条件がどちらかが戦闘不能になるまでとかだったら負けていたのは僕だろう。


「イリム君!最後どうやって私の背後にいたんだ?移動する様子は見えなかったが...」


あ、ギルマスが来た。


「えっと、最後に槍を投げたじゃないですか。その時に背後に回りました。気配消すのは得意なので。」

「しかし、私は君からは目を離さなかった。」

「たしかに、ずっとあなたは私から目を逸らしてはいなかった。ですが最後、槍の方に意識が向けられていたのでそっちに注意が行き。結果、見えているつもりでも実際は見えていなかったんです。」

「そうか、今回はイリム君の作戦勝ちだな。だが毎回こうなるともかぎらない。特にダンジョンではな。そのことを心に留めておくように。」

「わかりました。」

「それではダンジョン攻略での活躍、期待しておく。」


そう言い残すとギルドに戻っていった。

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