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私も!

シアは他の子達と一緒の部屋で仮住まいしているはずだ。

子供たちには門限が決められており、8時以降は部屋を出てはいけない。

そのため、本来僕の部屋にはいない時間だ。


「シア、なぜ僕の部屋にいるの?もう部屋に戻らないといけない時間じゃなかったっけ?」


今もみぞうちあたりに顔を埋めているシアにそう尋ねる。

すると、埋めていた顔を上げ、幸福そうな顔をする。


「おじさんに一緒の部屋がいいって頼んだら、いいよって言ってくれた!」


レフォルス……

国王がそれでいいのか……


まあ、軽い職権乱用は置いといて、普通にどうしよう。

僕は、明日はもう旅に出発しているのだ。


同じ部屋になれたと喜んでいるところにこの事を伝えるのは心が痛む。

だからといって伝えずに出発するのもな……


時間が経ってもそのことは決め切れずにいる。

いつの間にか、シアは僕のベットで眠っていた。


今から起こすのもダメだと思うから、このことは明日の自分に任せる。

そう思い、僕もべットに潜る。


そのまま、「子供ってあったかいな」と思いながら眠りについた。



――私達は、待ち合わせの場所に向かっていた。

そこには咲苗と葉月はいたが、イリムの姿は見えない。


二人に聞いても「私達が最初だった」と言っていた。

イリムが一番最後とは珍しい。


数十分後、イリムの姿が見えた。

何かしらに絡まれたという様子ではなく一安心……


と思っていたが、その横に小さな影が見える。

その姿はどこか見たことのあるように思えた。


「おはようございまーす」


小さな体でめいいっぱい挨拶をしている。


二人は驚いた様子を見せているので知っている子だと思う。

そして、その声を聞いて思い出す。


孤児院にいた子だと。


「イリムさん、なぜシアちゃんと一緒に?」

「えっとー、まあ色々あって……」


その子の名前はシアと言うらしい。

それよりも、イリムが子供を連れてきたほうが問題だった。


今から行く場所は1000kmも離れている。

それに加え、目的地は誰も帰ってこなかった魔物だ。


そんな場所に子供を連れて行くなどイリムがするとは思えなかった。

そのため、理由を聞いた。


「なぜ子供を?」

「……言わないといけない?」


そう、軽い上目遣いでイリムは言う。

身長が小さいので自然とそうなるのだ。

少しうろたえたが、栗山がそれに答える。


「言わないといけない」

「……正直、伝えたくないけど――」


そう言って、5時間前に遡る――


――起きたら昨日のことが夢でありますよに……

だけど、夢であってほしくもない。


そんな複雑な思いで横を見る。

そこには、相変わらず気持ちよさそうに寝ているシアの姿がある。


どうやら、現実の方のようだった。

それはそれでなかなかに大変だ。


シアに今日出発する事を伝えたら、

十中八九引き止められるか、ついてこようとするだろう。


嬉しいのだが、今回は場所が場所だ……

単純に強い魔物の可能性が高いが、それ以外の可能性も考えないといけない。


その場所のダンジョン化、盗賊、道中の危険 etc……

誰も帰ってこない、すなわち情報がほとんど無いという事だ。

そんな場所に連れていけるわけがない。


そうこうしてると、シアが目を覚ました。

僕も腹をくくるしかない。そう思いシアに告げる。


「シア、僕はこの後すぐにこの街を離れないといけない。すぐ……とは行かないけど、帰ってくるまで待っていてね……」


シアはまだ眠そうにしており、完全に起きていない。

そのためか、意外な返答だった。


「うん……でも、できるだけ早く…に戻ってきてね……」


途切れ途切れだけど、たしかにそう言った。

頭は回っていなさそうだったが意味は理解していそうだ。


心が痛むが、夜中にいきなりいなくなるよりかはいいだろう。

そのまま、逃げるように部屋を出る。


もうちょっとシアの温もりを感じてから行けばよかったか?

そう思うも、今戻れば確実に僕が行けなくなってしまう。


そう考えるも、途中で何度も振り返りながら集合場所に向かう。

その間、何回も視線を感じる。


たじたじになりながら歩いているいるのだ。

不審に思っても仕方がないだろう。


だけど、なにか違和感を感じる。なにかがおかしい。

人気のない場所でも目線を感じる。そして、振り向けばその気配は消える……


もしかして誰かにつけられてる?

だとしたら、かなり腕の立つものだろう。


最近ではBランク程度の視線は即座に感じるれるようになったのだ。

魔力操作技術が上がったからだ。


だとしたら、相手はB⁺、またはAランク下位だろう。

そうと気づけば目線の位置を探る。


移動した際の目線を向けられる場所の変化からある程度の居場所を割り出す。

その後に、“魔力感知”で気配を探す。


そうすると、不自然に魔力濃度が下がっている場所を見つける。

魔力の隠し方はまだ完全では無いようで、正確な場所がすぐに見つかった。


その場所に瞬歩で移動し、背後を取る。

こういう場面では瞬歩は本当に有用だ。


そして、建物の影から僕を見ている人物を見つけたのだが――


「シア?」


その人物はなんとシアだったのだ。

途中途中で止まっているとはいえ、子供の足では追いつけないと思う。


そのため、追跡は僕が部屋を出た瞬間から始まっていたことになる。

そうなると、寝ぼけていたのも演技の可能性が出てきた。

答えは……シアから聞くとしよう。


当の本人は、急に背後から声がしたので、

その声がイリムのものと瞬時に分かったので、とてもうろたえている。


「なんで、ここにいるの?まだ朝の7時だよ?」

「えっと、その…あぅ……」


シア自身、分が悪いことを理解しているのか、言葉に詰まっている。


「……正直に話そっか」


そう言うと、ちゃんと話してくれた。

大人と違い正直だ。


「えっとね。お姉ちゃんの様子が昨日から変だったからなんとなく分かってたの。でも、ちゃんと言ってほしかったから……。でもね、聞たら寂しくなちゃって……。止めたらいけないって分かってたの。だからその……」


「ついてきてしまった…と」


そう聞くと、シアは、小さくコクリと頷いた。

直接言ったわけではないが、今朝のやり取りを演技をしていたのだろう。

眠そうにしている演技を。


だとしたら、この子はかなりの才を持つことになる。

僕は、子供に関してはかなり盲目的だと思う。


だけど、下手な演技は流石に分かる。

上手くても、ある程度の疑心は抱く。


加えて、城から3kmほど歩いても視線を感じると思っただけで、すぐに気付けなかった。もし、追跡対象が神山とかだったら最後まで気づかないだろう。


それほどまでに、シアの気配の消し方が上手だったのだ。

神山でも気づかないと言ったが、この世界に来たばっかりの僕でも気づかなかっただろう。


最近では、視線にさらされることが多くなり、死線もくぐり抜けてきた。

それなりに危機感知能力が上がっているのだ。


それでも、しばらくして気づいたのだ。

シアの才能は本物だろう。


……冒険につれていく基準には達している。

何なら、生存率だけで言えば神山たちよりも上だろう。


そこで、こんな質問をした。これは子供に聞くのは少し酷かもしれない。

だけど、これだけは確認しないといけない。


「シアは、僕達が冒険に行くことは分かってるよね?」


「……うん」


そう言い、またも小さく頷く。


「これは、とても危険な旅になると思う。絶対に、命の保証はできないよ……それでも…ついてきたいと思う?」


そう聞くと、しばらく考えた後。


「…………。うん!」


そう、元気良く答える。

ここで、何も考えずにすぐに答える、小さく頷いていたら連れて行くことはできなかったと思う。


シアは、同い年のこと比べたらかなり利口だ。

そんな子が、ちゃんと覚悟を決めて頷いたのだ。


元気もあり、生きる気持ちもちゃんとある。

これは自論だが、生きる気のない奴は長生きしないように思える。


それはどこにおいても同じだ。

異世界でも、社会でも、会社でも……“家族でも”だ。


それに、長生きはただ単に長く生きるというわけではない。

社会的にも、精神的にも、もちろん肉体的にも長くは持たない。


逆に、周りが見たら滑稽と思えるほどに生きる気持ちが強いほうがどのような場面でも揺らぐことがない。


たとえ、命の危機に脅かされようが正しい判断を行える。

それが、悪党だったりした奴が最悪なだけで、善人ならその真反対を行く。


僕が見た中では、そういうやつは人のために動ける。

自分自身が人一倍生きたいと思うから、他の人にも生きてほしいと思う。


死の痛みを知っているから、他の人にそれを感じてほしくないと思う。

そういうやつが、生きる気力を無くすのが一番最悪だ。


元が優しいから誰かを守るのに自己犠牲を厭わない。

悪党でも、生きるのを諦めたら瞬間、大抵の場合死ぬ。


そのため、シアがちゃんと生きる気があるのか確認したかったのだ。

そして、シアは生きようとしている。


当たり前のようだが、これが人の……冒険者にとっては更に大事だと思う。

最後まで生にしがみつく――死に抗おうとする力が。


なので、シアは冒険に連れて行ってもいいだろう――


――って思ったから。それにあそこから城に戻ったら時間に間に合わないし…」


僕は、みんなにそう説明。

何故かはわからないが、みんなの視線が少し冷たい。


「まあ、イリムの感は結構当たってる気がする。シアはなんだか死ななさそう」


栗山さんが賛同してくれる。

それを聞いた桜凛さんも似たような意見らしく、


「私もそう思う!それに、旅は人数が多いほうが楽しいしね!」


それに、神山も続く。


「…………」


それに、神山も……

と思いたいが、そういうわけではなさそうだ。


「……イリムは、絶対にシアを守りきれる自信はあるのか?それが知りたい」


長考の後に出した言葉は意外にもちゃんとしたものだった。

それなら、嘘偽りなく答えることが礼儀だろう。


「正直、向かう場所も悪い。絶対には約束できない――」

「なら――」


神山の反論を制し、続きを言う。


「だからこそ、旅の途中でシアを強くする。僕の感が合っていたら、この中でも一番“生きやすい”と思う。もちろん、僕よりもね」


そう言うと、全員が驚いた様子を見せる。

まだ小さい、攻撃など全くできなさそうなシアがイリムよりも生きることに関しては上だというのだ。


三人の中では、イリムが何においても一番だと思っていた。

そのイリムが自分よりも上だと言ったのだ。そりゃ驚く。


「まあ、今の現状では僕よりかは下だと思うけど。それでも、神山たちよりも上なのは確実だと思うよ」


それで、三人とも胸を撫で下ろすが、生存という一点においてだけでも勇者よりも上の時点で十分おかしいのだった。

私の中でかなり大事だと思うことなのでいっぱい書きました。

これは、イリムの言葉であり、私の言葉でもあります。みなさんもどうか大切にしてください。

もし、しんどくなっても悲しむ人がいる。ではなく、『自分が苦しむ』を真っ先に考えましょう。

そして生きましょう。生きようとさえ思えば人はどこまでも頑張れるのですから。

これは、私の経験を大きくしたものを使っているので結構信憑性があると思いたいですね。

最後に、《あくまでこれは個人の感想です》これを言っておかないとね!自己保全大事!

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