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死なないだけの僕がいつか世界を救う  作者: 木挽
誕生と新しい町
19/40

第19話『王都からの依頼』



その日、ギルドの空気はいつもと違っていた。

受付嬢の表情は硬く、冒険者たちの声も沈んでいた。

俺とリリィが任務報告に訪れたとき、すぐに呼び止められた。


「朔さん、リリィさん。王都から、緊急の依頼が届いています」


「……王都?」


リリィが眉をひそめる。

王都からの依頼は、滅多に来ない。

それが“緊急”となれば、何かが起きている。


---


依頼内容は、こうだった。


>「魔獣領にて、Aランクパーティーが消息不明。

> 救出のため、実力ある冒険者の派遣を求む」


魔獣領――王都の北に広がる危険地帯。

魔力濃度が高く、魔獣の活動も活発。

通常の任務では、まず立ち入らない場所だ。


「……行こう」


俺は即答した。

リリィも頷いた。


「うん。放っておけない」


---


準備を整え、俺たちは魔獣領へ向かった。

森は濃く、空気は重い。

魔獣の気配が、そこかしこに漂っていた。


数日かけて、捜索範囲を広げていく。

そして、崖下の洞窟で――彼らを見つけた。


---


傷だらけの冒険者たち。

魔獣に囲まれ、逃げ場を失っていた。

俺とリリィは連携して魔法と剣を繰り出し、魔獣を一掃した。


「……助かった……誰かが来てくれるなんて……」


その中に、見覚えのある顔があった。

鋭い眼差し。

短くなった髪。

でも、確かに――レイナだった。


---


「……レイナ?」


俺が声をかけると、彼女は目を見開いた。

そして、ゆっくりと立ち上がった。


「……朔……? 嘘だろ……お前……なんで……」


彼女は、俺の顔を見て、言葉を詰まらせた。

そして、ぽつりと呟いた。


「……お前、なんで歳をとらないんだ……」


---


>「止まった時間の俺と、進んだ時間の彼女。

> 再会は、静かに――でも確かに、過去を揺らした」


俺は、何も言えなかった。

ただ、彼女の問いが、胸に深く刺さっていた。


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