第14話『告白と、始まり』
セレノアに来て、5年が経った。
街の灯りは変わらず美しく、ギルドの塔も変わらず白く輝いている。
でも、俺の周囲は少しずつ変わっていった。
リリィは22歳になった。
魔法使いとしての腕も、ギルド内での信頼も、どちらも一流だ。
彼女はもう“魔法少女”ではなく、“魔法使い”として確かな地位を築いていた。
そして俺は――見た目は変わらないまま、ギルドの中堅として任務をこなしていた。
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「朔くん、今日の任務、ありがとう。助かったよ」
任務帰り、星空の下でリリィがそう言った。
俺は、静かに頷いた。
「……こちらこそ。魔法の援護、助かりました」
「ふふ、昔は教えてたのにね。今じゃ、私より魔法うまいかも」
「……それはないです」
「あるよ。私が保証する」
彼女はそう言って、少しだけ沈黙した。
そして、ぽつりと口を開いた。
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「朔くん。私ね、ずっと言いたかったことがあるの」
「……なんですか?」
「……好き。あなたが誰よりも、私にとって大切だから。ずっと一緒にいたい」
言葉が、夜の空気に溶けていった。
俺は、驚いた。
でも、それ以上に――嬉しかった。
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「……ありがとう。俺も、リリィといる時間が好きです。ずっと一緒にいたいと思ってました」
彼女は、少しだけ涙ぐんで、笑った。
「よかった……言ってよかった」
星が瞬いていた。
その光よりも、彼女の笑顔の方が、ずっと眩しかった。
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>「誰かと過ごす時間が、こんなにも温かいなんて。
> 俺は、リリィと出会えてよかった」
その夜、俺たちは恋人になった。
静かに、確かに、始まりの一歩を踏み出した。