第12話『魔法少女リリィとの出会い』
「あなたが、天野朔くん?」
白いローブに銀の杖。
長い髪を揺らしながら、彼女は俺を見て微笑んだ。
「……はい。よろしくお願いします」
「うん、よろしく。リリィ・エルステラ。魔法使い、17歳。Aランクパーティーのリーダーです」
彼女は、明るくて、まっすぐだった。
俺より年下のはずなのに、言葉に芯がある。
それでいて、どこか天然で、距離の詰め方が早い。
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「剣士って、魔法使えないの?」
「……使ったことはありません」
「じゃあ、教えてあげる。魔法って、楽しいよ。便利だし、かっこいいし」
「……かっこいい、ですか」
「うん。剣と魔法、両方使えたら最強じゃん?」
彼女はそう言って笑った。
俺は、少しだけ笑い返した。
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その日から、俺は魔法の基礎を学び始めた。
詠唱、魔力の流し方、属性の選び方――すべてが初めてだった。
リリィは教えるのが上手だった。
わかりやすく、丁寧で、何より楽しそうだった。
「魔法って、感覚なんだよ。頭で考えるより、体で覚える方が早い」
「……剣と似てますね」
「でしょ? だから、朔くんなら絶対向いてると思う」
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最初は火球を出すだけでも苦労した。
でも、リリィの指導のおかげで、少しずつ形になっていった。
剣の動きに魔法を乗せる。
それだけで、戦いの幅が広がる。
「すごいじゃん! もう初級魔法は全部使えるね」
「……まだまだです」
「謙虚だなぁ。でも、私より覚えるの早いかも」
彼女はそう言って、少しだけ頬を膨らませた。
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ギルドの任務でも、リリィと組むことが増えた。
魔法と剣の連携。
彼女の魔法が敵の動きを止め、俺の剣がそれを断つ。
言葉は少なくても、呼吸は合っていた。
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>「魔法を教えてくれる人がいる。
> 一緒に戦ってくれる人がいる。
> それだけで、世界が少しだけ明るくなった気がした」
俺の旅は、静かに進んでいた。
そして、リリィとの時間も――少しずつ、積み重なっていった。