第11話『新しい街、新しいギルド』
セレノアの街は、空気が違った。
魔法都市と呼ばれるだけあって、空に浮かぶ灯りや、石畳に刻まれた魔法陣がそこかしこにある。
人も多い。活気もある。
でも、俺はその喧騒の中で、静かに歩いていた。
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ギルドの建物は、白い塔のようだった。
受付に並ぶ冒険者たちの装備は、どれも洗練されていて、前の町とは雰囲気が違う。
「登録希望ですか?」
受付嬢が声をかけてくる。
俺はギルドカードを差し出した。
「いえ、転入です。ランクの確認をお願いしたいです」
「かしこまりました。……天野朔さんですね。少々お待ちください」
彼女は端末のような魔導具にカードを通す。
そして、目を見開いた。
「……Aランク、です」
「……え?」
俺は思わず聞き返した。
前の町では、Cランクだったはずだ。
荷運びや護衛、薬草採取――地味な依頼ばかりだった。
「過去の依頼記録が統合され、評価が再計算されたようです。討伐数、成功率、同行者の証言……すべてが高水準です」
周囲の冒険者たちがざわつく。
「Aランク?」「あの人、見た目若いのに……」
俺は、静かにカードを受け取った。
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「天野さん、よければAランクパーティーの紹介もできますよ」
受付嬢がそう言った。
俺は少し考えて、頷いた。
「お願いします。……魔法都市ですし、魔法使いのいるパーティーがいいです」
「でしたら、リリィさんのチームが空いています。17歳の魔法使いで、実力も折り紙付きです」
「……17歳?」
俺は、少しだけ驚いた。
でも、同時に興味も湧いた。
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その日の午後、俺はリリィのパーティーに顔を出すことになった。
白いローブに、銀の杖。
長い髪を揺らしながら、彼女は俺を見て微笑んだ。
「あなたが天野さん? Aランクなのに、ずいぶん静かな人ね」
「……よろしくお願いします」
「うん、よろしく。魔法、興味ある?」
「……少しだけ」
「じゃあ、教えてあげる。剣士が魔法を使えたら、絶対かっこいいもん」
その笑顔は、街の灯りよりも明るかった。
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>「新しい街、新しいギルド。
> そして――新しい出会い。
> 俺の旅は、まだ続いていく」