女の子
あの声と顔が忘れられない。
その後もりゅうは優しい。
そして、この世界に避妊具なんてない。
彩美「子供……出来ちゃう……よぉ……」
りゅう「作ろうよ」
そうニコとしながらいつも私の中に出す。
ありがたい話、まだ子供は出来ていない。
ある夕飯後、
りゅう「おれ、ちょっと寄るとこあるから先帰っててー」
彩美「分かったー!」
お互い手を振りあって私は部屋に入った振りをした。
今だ。
今しかない。
私の逆隣の隣の部屋へコソッと……
ヌヒャービン「彩美!」
彩美「きゃっ」
ヌヒャービンは走り近づき
ヌヒャービン「静かに……」
怖い怖い怖い。
助けて……。
ヌヒャービン「彩美……逃げて……」
え?
ヌヒャービン「声出さないで!」
「バレちゃうから。」
そう言うと
コンコン
私は咄嗟にベッドの下に隠れた
ヌヒャービン「はい?」
りゅう「ねー、彩美みなかった?」
いつもと違う低い声……。
ゾクッとする。
ヌヒャービン「え?彩美はもうりゅうのだから……いないの?」
りゅう「いやっ……別に……悪い。」
いつもの声。
りゅう「見かけたら彩美の部屋に戻して」
低い声。
ヌヒャービン「分かった!」
りゅうは出ていった。
ヌヒャービン「もういいよ」
「でも喋らないで」
「聞こえちゃうから」
私はこくんと頷く。
ヌヒャービン「あのね、今から言うことよくきいて……」
「このままだと、彩美は殺される」
「正式には……人間じゃなくなる」
「これ、館の地図。ここから出れるから」
「でも、きっとりゅうが……見張ってる」
「今出ないと……もう手遅れになる」
「俺は……どうなってもいい」
「彩美は助かってくれ……」
ヌヒャービンの声は震えて今にも倒れそう。
彩美「大丈夫?ヌヒャービン?」
ヌヒャービン「俺は…多分もうダメかもしれない……」
「だから彩美だけでも……」
彩美「一緒に……逃げれないの?」
ヌヒャービン「俺は無理だよ……」
「彩美ダメ……人が来ちゃうから……はやく……」
私はわけも分からずヌヒャービンの部屋な窓から外にでる。
外は寒い季節。
雪は降ってない?というか……。
とりあえず何も持たずに出てきてしまった。
ヌヒャービンの手紙には
「どうかご無事に帰れますように……」
とだけ書いてあった。
急にりゅうの事を思った。
好きだったのに……涙が流れてきたが、でもホントに優しい人はヌヒャービンだった……?のか?
逃げろって?
私は窓の死角であろう場所に座り考える。
え?私殺されるの?ヌヒャービンはそう言っていたが……
でも嘘ではなさそう。
にしても……真っ暗の中一人で探すのは困難。
すると
女の子「すみません……」
小声で話しかける人。
彩美「あっ!」
女の子「大丈夫ですか?」
彩美「あなたこそ。」
女の子「あなたも逃げてきたんですか?」
えっ私みたいな人まだいたの?
女の子「犬人間から私、逃げろって言われて……でも……場所分からなくて……」
この人……人間というか、犬人間って言ってたよね?
彩美「犬人間?」
女の子「え?知らなかったんですか?」
「ここは犬の世界。」
「好きな男の子出来ました?」
なんだこの急なガールズトーク。
女の子「私、いたんですが、毎日ヤリまくってて笑」
何の話だよ……。
女の子「でも、避妊しないから突っぱねたんですよー」
「そしたら犬人間が急に態度変えて……」
何の話を聞かされてんだ。
女の子「でー、ちょっと調べてたら外出れてー、なうです笑」
彩美「はぁ……そうですか……」
女の子「めっちゃヤリまくってません?」
いやいやいや笑
やべーなこの子……。
私が無言でいると。
女の子「あなた、ここから出たい人ですか?」
彩美「あっ、あの……逃げれって……殺されるって……」
女の子「あぁ……まだ儀式見てなかった?」
この子ずっといるんだ多分。
女の子「いけにえってか、なんてんだろ……」
「子供が出来たら産ませて終わりです」
「私、何人も見てきました……」
彩美「子供……出来てない……ですよね?」
女の子「私は……大丈夫でした笑」
「子宮ないんで笑」
「子宮ガンで笑とってます笑」
女の子は明るく話すが、まだきっと若いはず……。
女の子「それを知らずヤリまくってて笑」
「そりゃ子供できないですよね笑」
何とも言えない……。
女の子「だから、そろそろ殺されるかと思って出てきちゃいました笑」
彩美「はぁ……そうですか……」
いや、それしか言えない。
女の子「え?もしかしてあなたここの生活慣れちゃった?」
彩美「慣れたとは?」
女の子「1番は食事」
「朝と夜はドックフードですよ」
「それをオシャレにしてます」
考えたら吐きそう。
女の子「お昼は人間食です。」
「私は朝と夜食べないで昼しか食べて無かったんだけど……」
「もしかしてあなたお昼食べてない?」
彩美「……はい……」
女の子「あぁ……結構そっちに行っちゃってるな……」
彼女は考える。
彩美「もしか……して……私……犬に……」
女の子「そうだね……犬化してるかも……」
彩美「いつしか……お昼が不味くなってて……」
女の子「あぁ……結構重症……だね……」
「どうしよっかな……」
彼女はそう言いながらどこからか薬を出す。
女の子「これ、飲んで!」
「実は私笑この世界はじめてじゃないの笑」
「4回目笑」
「死にそうになるとここにくるの笑」
「昔飼ってた犬がいて、その子がここにいつも連れてくるの」
と言った時、彼女の腕の無数のキズをみた。
リストカット。
のあと……。
女の子「あっ笑みえちった笑」
「凄いでしょ?笑」
「日に日に増えちゃって笑」
「んで深く切った時が4回目あって笑」
「その時かな笑意識が無くなって、あっ……私死ぬんだって思って起きたらここ笑」
「で、多分私の犬人間はあの子だろーなってやっと気づいたのよ笑」
彩美「そうなんですか……」
女の子「え?あなたの犬はなんての?」
彩美「私犬飼ったことないんです……」
女の子「え?なんで?じゃあなんでここにいるの?」
彩美「排水溝に柴犬が挟まってて助けようとしたらなんか渦みたいな?のにのまれて、起きたらここでした」
女の子「えっ……とっ……なんか私とは……違うんだね……」
彩美「みたいです……」
女の子「多分……その柴犬が、あなたのパートナーだったのかもしれない」
彩美「あと、2人いて……柴犬じゃない人が逃げてって」
女の子「は?3人もいたの?」
「あなた、何したの?」
彩美「全く身に覚えがないんです……」
「ぬいぐるみは3体あって、柴犬とチャウチャウとゴールデンレトリバーです」
女の子「そうなんだ……ハーレムじゃん笑」
苦笑いをされた。
彩美「いや……」
女の子「で、誰を選んだの?」
彩美「柴犬の……」
「りゅう」
女の子「りゅう」
え?
彩美「え?」
女の子「やっぱり……」
「りゅうは1番気をつけないと……」
「1番子供を作ってるから……」
「……そう、その分私たちみたいなのを殺してる」
背筋がゾクッとした。
女の子「りゅうは優しいの。だからみんな好きになる」
「私も2回目の時に危なかった」
「セックスも1番うまくて……」
なんかそれは聞きたくなかった。
まだ……私はりゅうが好きなのか……。
女の子「あっ……ちょっと……喋りすぎた?私笑」
「ってか、あなた、ホントに帰りたいも思ってる?」
彩美「う……ん……」
女の子「ここに居たいなら私先に帰るから」
「じゃーねー」
彼女はそう言って去っていった。
どうしよう……。
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