三次元の世界へ~ 陽菜はいない?!~
ある日、鏡の中から出てきた手に引っ張られて「鏡の国」へやってきた陽菜。
そこで、ウサギのアリスと出会う。
鏡の国のアリスをモチーフにした、とても不思議な世界を主人公の陽菜が旅をするお話です。
懐かしい自分の家を見ると、もう何年も家に帰っていないような気がした。
けれど陽菜は、それを振り切るように、何事もなかったかのよう元気に玄関の戸を開ける。
「ただいま~」
しかし、いつもは明るく出迎えてくれるはずの母の声はなく、家の中は不気味に静まり返っていた。
専業主婦である陽菜の母がこんな夜遅くに家にいないことは今まで一度もない。
「ただいま。お母さん、いないの?」
だが、陽菜は廊下から呼びかけるが、部屋の中は真っ暗で人の気配がない。
「ねえ、だれかいないの?」
そう言って陽菜がリビングへ続く扉を開けると、母が真っ暗な部屋で一人テレビを見ていた。
その光景は異様だった。
けれど、陽菜は努めてあかるく母に話しかけた。
「お母さん、いるんじゃない。いるなら返事してよね!」
陽菜が母に呼びかけてそしてソファーに座ろうとすると母は怒ったように陽菜に言った。
「あんただれ?」
「え?」
「あんた誰よ!」
陽菜はビックリして言葉に詰まってしまった。
「な、なにいっているの?自分の娘がわからないなんてどうかしてるよ」
陽菜は驚いて、うまく話せない。
しかし、母は今まで見たこともないくらい恐ろしい顔で陽菜を睨みつけた。
「私に娘なんていないわよ。新手の泥棒?それとも、真治さんの浮気相手?どっちにしろ警察に電話してやるわ!」
「待って!本当に私を知らないの?陽菜だよ?自分の娘じゃない」
陽菜は母に必死に言い募る。
しかし・・・
「娘なんていないわよ。真治さんはもう一週間もあの女のところに行って帰ってこないのに・・・・・こんな女が家に居座ろうとしているなんて!出て行きなさいよ。私の家庭を壊さないで。今度来たら殺してやるから!!」
泣き叫びながら陽菜に殴りかかる母を見て、どうすることも出来ずにただ家を追い出されてしまった。
〈アリス へつづく〉
お盆中は1回は投稿出来て安心していたら・・・
あと少しで8月が終わる!!
がんばります!