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アリス  作者: 冬桜
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アリスとウサギと昔の陽菜~思い出の湖~

ある日、鏡の中から出てきた手に引っ張られて「鏡の国」へやってきた陽菜。

そこで、ウサギのアリスと出会う。


鏡の国のアリスをモチーフにした、とても不思議な世界を主人公の陽菜が旅をするお話です。

陽菜は一人で歩いていた。


 ――陽菜さん。あなたは”選ばれし者“として、この世界を救ってください――


アリスが言った言葉を受け止めきれず、ただひたすらに歩いていく。


昔から不思議なものは好きだった。


この世にまだ誰も知らない何かが眠っていて、それを想像すると楽しくて仕方がなかった。


だからこの世界に来たときも初めは驚いたけれど、後は不思議なことの連続でうれしかったし、楽しかったのだ。


けれどそれは陽菜が第三者としてこの世界を見ているからだとわかってしまった。


――不思議なものを見て、受け止めるだけでいい――


この世界に何か不都合なことがあっても、それは他人事で、いつか三次元の世界へと帰っていく自分にはまったく関係のないことだと思っていた。


なのに・・・現実になってしまった。


 (どうしよう)


陽菜は途方にくれた。


◇◇◇


考えながら歩き続け、いつの間にか陽菜は見覚えのない森の中へと迷い込んでしまった。


この世界に来てから、外の風景は遠近法がバラバラだったので、当たり前のように遠くが小さく、近くが大きく見えていることに違和感を感じる。


うっそうとした森を見上げても、ほとんど日の光を見ることも出来ず、時折生えている光る雑草が、陽菜の足元を心もとなく照らしていた。


時折、漆黒の闇に包まれた小道に張り出した太い枝が陽菜の顔を打つ。


それでも明るいところを求め、陽菜はひたすら歩き続けた。


まるで子供の頃に見た怖い夢が現実に起きているようだった。


歩き続けても、歩き続けてもずっと真っ暗闇で、誰にも会うことなく朝が来るまで闇の中を泣きながら歩き続けた。


その泣き声は、何も無い空間に反響するばかりでそこに誰もいないこと、独りぼっちであることをただ思い知らせるだけなのだ。


そして、すべてに絶望したころ、ようやく朝日が差しこの闇から開放される。



やがて――



道は開けた。


まぶしいほどの光に手をかざし、それでも白くなった世界から、徐々に本来の姿が映し出されると、そこには小さな湖があった。


今までの静寂と漆黒の世界がうそのようにそこには鳥たちが楽しそうにさえずり、光あふれた世界が広がっている。


天上から差す光を反射させ、水銀のような色をしている湖面に近づけば、その水は澄み渡り、吸い込まれるほど綺麗な青色が湖底に見えた。 


 「わたし、ここに来たことがある・・・」


陽菜にとってここは初めて来た場所のはずなのに、なぜか涙があふれるほど懐かしいのだ。


それは自然のことのように思えた。


〈三次元の世界へ~逃げ?~ へつづく〉


8月中UP完了に向けて、邁進中・・・

終わりが見えてきたー!!


明日からお盆中は更新できないかも。

でも、8月中には!

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