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アリス  作者: 冬桜
14/26

アリスとウサギと昔の陽菜~選ばれし者の答え~

ある日、鏡の中から出てきた手に引っ張られて「鏡の国」へやってきた陽菜。

そこで、ウサギのアリスと出会う。


鏡の国のアリスをモチーフにした、とても不思議な世界を主人公の陽菜が旅をするお話です。

 「・・・さん。・・・てくだ・・・、はるなさん」


 暗闇の向こうからアリスの声が聞こえてくる。


 (もう少し眠らせてよ。・・・・・・でも、今日に限ってアリスのほうが早く起きるなんて珍しいわ)


 陽菜は寝返りをうとうとしたが、なぜか体が動かない。


「う・・・ううっ!」


 それでも無理やりに体を動かそうとすると、暗闇の世界にまぶしいくらいの光が差し、不意に体が動くようになった。


「やっと目が覚めましたか」


 目の前にアリスがいた。


「あれ?わたしは――」


 周りを見渡してもテントも回転木馬も、何もない。


 不思議に思いアリスを見ると、彼は嬉しそうにニコニコと笑っていた。


「陽菜さん。あなたはやはり“選ばれし者”でした。おめでとうございます」


 アリスは深くお辞儀をした。


 陽菜は訳がわからず、じっとアリスを見るとアリスが話し始めた。


「”選ばれし者”がこの世界に現れたとき、この夢の世界は三次元の世界へと解き放たれます。そして世界は幸福に包まれる。そんな言い伝えがあるのです」


「え!でも、わたしなにも・・・」


 その言葉をさえぎり、アリスは陽菜のネックレスについている小さな青い球を手に取った。


「これが”選ばれし者“の証です。いつしか人は夢や希望をなくし、それを見つけてしまうことを諦めてしまいます。本当はいつでも傍に眠っているというのに・・・夢を失った人間は、知らないものなどもうないと決め付け、不思議な世界のことなど探しもしないのに、ないものと決め付ける。そんなゆがんだ想いもこの四次元の鏡の世界に流れ込んでくるのです」


 アリスは紫色に変わった空を見上げる。


「私たちのことなど忘れ、不思議なことなどないと決め付ける。忘れ去られた私たちはどうすればいいのでしょう。昔の子どもたちは魔法を信じ、そして奇跡という魔法を使えていたのに。今は子どもでさえ魔法を使えない・・・・・・溜まった負のエネルギーはこの世界にもゆがみを生じさせています」


 そしてアリスは、ゆっくりと視線を魔女キュアーのいる純白の神殿へと移した。


「私の仕事は時計を管理することです。けれど、本当の仕事は”選ばれし者”を導き、世界を幸福に還す案内人をすることです。それが真のトラーの仕事でもあるのです」


 そのとき一陣の風が吹いた。


「・・・・・・・・・、なぜ”選ばれし者“が必要なの?この世界がゆがんでいるようには見えないよ?」


 陽菜は消え入りそうなほど、小さな声で聞いた。


「見えないですが、確実にこの世界のゆがみは限界に達しています。その証拠に、魔女キュアーが消えつつあるのです」


 アリスは、キッパリといった。


 陽菜は言葉を失う。


 そして、アリスは話し始めてから、はじめて陽菜と視線を合わせた。


「驚きましたか?」


 そう言って、アリスは穏やかに微笑んだ。


「そうでしょうね、この世界の最重要機密事項ですから。でも、本当です。魔女キュアーは日に日に弱ってきています。そもそも魔女キュアーのエネルギーは人間の想像力なのです。その力を使って、この世界に流れ込んでくるゆがみのエネルギーを無害なものとして反映させているのです。しかし、もうすぐ魔女キュアーは消滅します。そしてあなたがやってきた。この意味、わかりますか?」


 陽菜は答えられない。


 アリスはそれを気にせずに、話を続けた。


「陽菜さん。あなたは”選ばれし者“として、この世界を救ってください」


 アリスはまだ穏やかに微笑んではいたが、その目は本気だった。


 陽菜はアリスが何を言っているのか理解できなかった。


 〈アリスとウサギと昔の陽菜~思い出の湖~ へつづく〉

8月中UP完了に向けて、邁進中・・・

終わりが見えてきたー!!

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