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アリス  作者: 冬桜
10/26

時計塔~トランプ遊園地~

ある日、鏡の中から出てきた手に引っ張られて「鏡の国」へやってきた陽菜。

そこで、ウサギのアリスと出会う。


鏡の国のアリスをモチーフにした、とても不思議な世界を主人公の陽菜が旅をするお話です。

 「陽菜さん、今日は少し私に付き合ってくれませんか?」


 朝食を食べ終え、陽菜は甘いコーヒーを、そしてアリスは生姜入りの紅茶を飲んでくつろいでいるときにアリスは言った。


「どこに行くの?」


「トランプ遊園地です」


「遊園地?行きたい!!」


 陽菜はアリスの誘いに喜んで返事をした。


「では、支度をしましょうか」


 アリスはそう言って、自分の部屋へ入っていった。


 陽菜も急いで部屋へと戻る。


 そして大きなクローゼットの中にある、アリスが用意したオトメチックな服の中から少しでもましなものを選び出した。


「色は派手だけれど、ドレスよりはましか」


 そういって陽菜は、真っ青な襟付きのシャツと銀色のショートパンツを身に着けた。


「よし!」


 陽菜は大きな鏡でチェックをしてからアリスのもとへ


「ま、まって~」


 家を出たとたんにアリスは急に遠くなり、走っても逆にアリスが遠のいていくばかりだった。


「なにしているんですか?」


 すると、遠くにいるはずのアリスの声がものすごく近くで聞こえた。


「え、え?」


 陽菜が軽いパニック状態になっていると、アリスはあきれたように大きなため息をつく。


「お忘れですか?近いものほど遠くに見えるのですよ。だから、陽菜さんに私が遠くに見えるということは、私は陽菜さんの近くにいるということなのです」


(やわらか~い。きもちいいかも)


 アリスの手は程よく柔らかく、しかもふさふさの手触りのいい毛が、なんともいえないほど気持ちが良い。


「ねえ、アリス。まだこの感覚に慣れなくて怖いから、外に出るときくらいは手をつないでくれない?」


 陽菜は恐る恐るアリスにお願いすると、アリスは何のためらいもなく承諾した。


「いいですよ。しかし陽菜さんは小さな子どもみたいですね。かわいらしいですよ。」


 アリスは微笑む。


 実寸大の可愛らしいぬいぐるみのようなアリスに”かわいい“といわれるのは心外だったが、それでも陽菜はこのやわらかな感触の誘惑には勝てなかった。


「あ、あれがトランプ遊園地ですよ」


 アリスに言われ、陽菜がふと前に顔を向けると、目の前に大きな遊園地があった。


「もう着いたの?」


 思わず陽菜が聞くと、遠くにいるアリスはあきれたようにまたため息をつく。


「陽菜さんは、料理は出来ても物覚えは悪いんですね」


 陽菜に返す言葉はなかった。


「いいです。陽菜さんが本当に選ばれし者かどうか、いささか不安にはなりますが、これではっきりしますから。どうぞ入ってください」


 謎の言葉を残して、アリスは陽菜から手を離し、陽菜だけをトランプ遊園地へと押し入れた。"


 〈選ばれし者 へつづく〉

8月中UP完了に向けて、邁進中・・・

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