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えー! この忙しいときに婚礼あげるのー!? いくら保険とは言え乙女の夢は……

この話も物騒なことになりました。みじかいし。

今日は金魚の子が酸欠事件を起こしているのでこの眠り姫だけの更新です。

時間を早めにしていればいいのですが、野球見ながらやっていると集中できなくなってしまって。やることが多過ぎ! 執筆したいよー。ということでずずいっとどうぞ。

 もうすぐ、カロリーネお姉様の婚礼が執り行われる日が近づいてきた。


その頃、クルトは執務である書状を見ると表情を氷のように一変させ、以来、殺気が漂っているような緊張感ではりつめていた。ただ、私と一緒の時はいつもの優しいクルトだった。

このずれに恐れを抱きながらお姉様の式の準備を手伝っていた。私の方は依然と進まず、どかどか宮殿をわざと取り壊しているようなそんな工事をしていた。まるで引き延ばすような……。

 ある日。同じ執務室で執務をしていると、クルトが絞り出すような声でつぶやいた。

「これまで……か」

「クルト?」

「東から三度目の招待状だ。夏の祭りが終わるまでにどうぞおいでください、と。実質来い、ってこと。教皇が待ちかねているとまで書いてある。姉上の新婚旅行を蓑にして魔皇帝の宝物も納めて来よう。ヴィルヘルムとフリーデも海外旅行だ。ヴィーがいないと土地がわからない。魔皇帝の里が。婚礼後にと言っていたがしびれを切らしたようだね」

 

私は東の皇太子がご所望と言っていたアウグスタ様の言葉を思い出した。怖い。誰とも知らない相手に嫁ぐなんてできない。それに私はクルトを愛している。他の誰かなんて考えられない。

「エミーリエ……」

 机の上でぎゅっと握っていた手にクルトが手を重ねる。

「大丈夫。守り切るから」

「クルト……」

 二人で見つめあっていると意外な声がかかった。


「仮の婚礼を上げていくか? 寝室も一緒ならもう結婚したも同然だろう」

「お父様!」

「父上!」


「なんだ。その顔は。まさか、まだ、なのか?」


「当り前です!」

 二人でハモって答える。


「クルトは優等生だったか。私なら最初の日に手を付けている。相変わらず、手だけ握っているのか?」

「そうです。キアラが真ん中に寝ているんですよ。どう転べばそうなるんですか!」

 恥ずかしさが頂点に達して私は声を上げる。


「すまないね。クルトとエミーリエがそこまで優等生とは思わなかったのだ。許せ。しかし、寝室をともにし、執務も同様にこなしている。クレメンス様にそっと仮の婚礼を上げて、指輪を交換するといい。指輪がはまっておれば、さすがに東も強奪はできまい」

「お父様! 知って」

「いたよ。再三、せっついてきているのも。とにかく、仮の婚礼を上げてから東にはいきなさい。実際の婚礼の夜は二人の決断に任せる。こんな優秀な跡継ぎに恵まれるとは私も鼻が高い。では、な」

 お父様はまた王座のある自分の宮に帰って行かれた。


「仮の……」

「婚礼……。あげてしまう?」

 私もクルトも恐る恐る顔を見合わす。


「指輪は効果的だろうね。確かに。クレメンス様のところで話を詰めよう」

「そうね。いい案があるかもしれないわね」

 二人して立つと手をつないで神所に向かう。キアラが後ろをついてくる。

「キアラも旅行についてくるの?」

 聞くとにゃーん、と答えが返ってくる。

「まぁ。贅沢な猫ちゃん。海外旅行に行くのよ?」

 私が言うとしらないー、とばかりにたっと駆け出していく。間違いなく神所に向かっている。不思議な私の影。キアラがいれば少しは気が楽ね。


「俺は?」


「もう。また流れたの?」

「エミーリエはそのままで……。心を閉じてしまわないで」

 クルトが肩に手を回す。愛情が伝わる。私は甘えながら歩き始めたのだった。sss

ここまで読んでくださってありがとうございました。

清純なプラトニックラブの二人。そんなアメリアのようなことはさせられません。そこは自主規制。

キスと書かないのもそのせい。ちゅーならコミカルになる。一切その気を消しているのがこのお話。たまにありますが。なので、初夜もなーんだんで終わるぐらいなんです。とネタばらし。アリアーナも自主規制対象ですからね。親子の血は争えない。エレオノーラの娘だから優等生です。ま。そういうことでまた明日。

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