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ちゅーちゅーって ネズミなの!?

こんな最初でくっついてるのにラストが131話って。

なに長い春やってたんでしょうか。謎だ。

15話

始めてこの地に来た暑い夏はすぎ、秋になろうとしていた。服装も半袖からやや長めになり、スカートの丈も伸びた。相変わらず、カロリーネお姉様のお人形ごっこに付き合う。家庭教師の下で言葉は学んでいたけれど、そればかりでは息が詰まると言っては毎日とっかえひっかえ服を着せられていた。クルトは、流石は国王となる身とあって、仕事が山積みだった。なんとかきりをつけても後から後からやってくる仕事に忙殺されていた。

 私はそれを少し面白くなかったけれど、しかたないわよね、と諦めていた。

 そんな私の宮殿にクルトがやって来た。走ってきたのか、少し汗をかいていた。

「エミーリエ! 遠乗りに行こう! 見せたい景色があるんだ。馬は乗れるだろう?」

「ええ。でもこんな夕方に?」

「だからだよ。急ごう。陽が落ちないうちに」

 手を引っ張られて厩に行くと二人で遠乗りに出かけた。急ぐクルトの馬の後ろを追いかける。ある所に来ると、クルトは馬を降りた。私も降りる。

「ほら、見て!」

 目の前には雄大な夕日が落ちようとしていた。その輝きが眩しい。秋の素晴らしい夕日に感動する。

「これをエミーリエに見せたかったんだ。この夕日の向こうに魔皇帝の逃げ延びた土地がある。だけど、今は隣の国なんだ。一つだった帝国は二つに分かれてしまった。誰を君主とするかで。法王が教皇として主となるか、王が王位を持って統べるかでもめたんだよ。そして、国は二つに分かれた。今、統一しようという動きがある。だけど、まだ戦争は起きていない。きっと俺の時代はまだ二つに分かれたまま。ヴィーがまた統一するんじゃないかな?」

「クルト! 知って・・・」

「るよ。君のおじい様の生まれ変わりだってね。本人はバレてないと思ってるから黙ってるけれど。カロリーネ姉上もね」

 目を丸くして驚く私にクルトは近づくとちゅーと言う。そのまま顔が近づいて・・・爆笑した。やっぱり笑うしかない。キスの時にちゅーなんて。子供じゃあるまいし。ケラケラ笑っていると急に抱きしめられる。どきり、とする。

「ちゅーじゃない、抱きしめるのは笑わないんだ」

「あ」

 意表を突かれて声がでる。

「じゃ、これは?」

 こちょこちょとくすぐってくる。くすくす、笑いがこみ上げる。

「クルト、止めて。笑いが止まらないじゃない・・・」

 けらけら笑っているとキスされる。

「そうやって笑ってる君を見てると嬉しいんだ。君が好きだなぁって。その笑顔が好きなんだ」

「クルト・・・」

「ちゅー」

「クルト真面目な所よ!」

 言ってもまた「ちゅー」と言う。私は笑いがこらえられなくなって大笑いする。いつしか夕日は落ちていた。夕闇が当たりを包む。

「さぁ。体が冷える前に帰ろう。この大爆笑が聞きたかったんだ」

 さっと頬にキスすると馬に乗る。私はその感触を味わっていたかったけれど夕闇に急かされて馬に乗る。そしてまた宮殿に帰ったのだった。


ここまで読んでくださってありがとうございました。

淡い想いを合わせた二人。これからのことはこれから。じれったいですが、見守ってください。

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