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目覚めたらすでに白馬のお婿さんが迎えにきていた。ゼロ日婚って何????

ふたたび、なろうに来ました。最後の眠り姫131話まで宜しくお願いします。

 エミーリエはふっと目を覚ました。館の中は薄暗かった。精霊と契約を結んでいるはずなのに誰もいなかった。手元には燻製音声の機械があった。ボタンを押すと懐かしい人の声が聞こえてきた。ぽとり、と滴が落ちる。

「お母様・・・」

 エミーリエは母エレオノーラの魔術で眠り姫となった。戦が激しくなったからだ。祖父の帝国は滅び、祖父達は東に逃れていった。母達だけがなぜか西へ行くように言われて逃げ延びた。そこでも戦争は激化し、十六歳のエミーリアは母エレオノーラの術で眠り姫となった。ただ、精霊との契約は終わっているらしい。母にはそこまでの力がなかったのかもしれない。一度心肺停止に陥ったこともあり、魔力はあまりなかったと父が言っていた。それでも無理して眠り姫にしてもらった。あれから何年経ったのか。エミーリエには解らなかった。靴を履いてそっと屋敷の外に出た。その目の前にはなぜかこんこんと水が湧き出る泉があり、その側では白馬に水を飲ませている青年がいた。

「君がエミーリエかい?」

 青年の口からエミーリエの名が飛び出た。

「どうして私の名を・・・」

「古い手紙が我が王家に伝わっていたんだ。泉のほとりに建つ館にはエミーリエという姫君が眠っていると。そしてその目覚めるときまで書いてあった。その日付に会いに行ける王子がエミーリアの夫となる、と」

「お・・・夫ですってー!!」

 先ほどの不思議な色を称えた榛色の瞳が大きく見開かれた。不思議な雰囲気はもう消えてしまい、一人の少女として青年と向かい合っていた。

「私、まだ十六よ。そんな早くに婚礼なんて・・・」

「だったら、待てばいいじゃないか。俺の名前はクルト。気軽に呼んで」

「って・・・。何者かわからない女の子と結婚するって嫌じゃないの? 勝手に決められてるのよ?」

「俺は、特に文句ないよ。エミーリエすごく可愛い顔してるし。目の色も髪の色もとっても素敵だ」

「それは外見上でしょう? 性格知ってるの?」

 ああ、とクルトは簡単に言う。

「手紙に一通り書いてあった。プライドが高くて、わがままで、お転婆だって。好きな食べ物とかいろいろ書いてあったよ」

「って・・・。お母様、何を書いたの?」

 娘の隅々まで書き込むなんて。

「目覚める日付の部分だけ字が違うんだ。おそらく、魔皇帝の字だろうね。未来を予測できたらしいから」

「って、今、何年後?」

「二千五百年後。五百年前に、末娘のエリアーナ姫が覚醒して、王子と結婚した。その家系の端っこの方にいた俺の一族が今、この国を治めている。魔皇帝が治めていた時代は非常に平和だったんだね。それがある帝国の侵略で奪われた。その王家も滅んで別の王家がこの地にきた。それが俺の出所。東と西で王国は別れたけれどね」

「なんだかややこしいわね。歴史の本は持ってるの?」

「宮殿に本ならずらりとあるよ。列王記が。読みたいなら着いてきたら? 結婚はもう少しあとにするから。十六の花嫁は流石に若いから。あ。俺? 十八。適齢期なんだ」

 エミーリエが言おうとしていたことを先にクルトは言ってしまう。

「もしかして、私の声が聞こえるの?」

 いや、とクルトは首を振る。

「魔力を共有しないと出来ないらしいよ」

 ほっと、エミーリエは胸をなで下ろす。母と父のように流れっぱなしでは困る。制止の方法は教えてくれなかった。自分で考えるように、と。


 お母様、お父様。この現状を知っていたのですか?


 見も知らぬ王子に嫁げとはあんまりよ。


 私は真っ青な空を見上げて両親へ文句を言った。暑い夏が来ようとしていた。

恋愛ファンタジー小説だけど、果たしてロマファンかというと違うかもしれません。題名もそれっぽく改題してます。もともと眠り姫シリーズがあるのですが、大人なシーンがでてくるやつもあるので、マイルドなラストの物語を載せます。宜しくお願いします。

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