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光の中に #8

皆川家での一連の出来事により、初々しい心を打ち砕かれた次郎は、皆川宗良より休暇を与えられた。

この休暇は、自分自身の大事な転換期だとして旅に出る。旅先の八田利で出会った老人クウゲンの誘いをうけ、案内されながら都へと上ることになった次郎は、今まさに降り立った。


「ここが、都か、」

 

都の大地を噛み締める次郎は、夕陽の差し込む中に華やかに輝きを放ち僅かな闇を感じさせる都の中心街へと目をやっていた。

 

クウゲンは、久々の都に緊張を覚えながらも次郎にある羽織りを手渡した。


「都ではこの羽織りを身に着けていて下され。」

 

羽織りには、七宝に花菱の紋があしらわれていた。


次郎は、これはどこの紋か分からずに言われるがまま羽織った。


笹のように広がっている竜胆(りんどう)の紋が背にしっかりと入っている羽織りを身に着けるクウゲンは、自分に着いてこいと言うと次郎を先導し始め、都の中心街へと入っていった。


「ここは、、、何なのだ、、、、」

 

次郎は息を呑んだ。中心街は、獣のような臭いが充満しており、数多の遊郭で貴族らしきものを接待している様子が隠すことなく見えていた。この目も当てられぬ様子に次郎は目を背けていた。


中心街をひたすら真っ直ぐに突き抜けると、華やかさなど欠片も無いものの、その質素さからどこからともなく上品な香りが漂う大きな門が目の前に出てきた。


その門を守り固めている守衛に、クウゲンは何やら話をつけると、門が開き先にある道を進み始めた。

 

そして、またしばらく進むとクウゲンはある邸宅の前で止まった。


「ここでござる。」

 

クウゲンの旧くからの友人の家に着き、次郎は呆気にとられていた。その友人の家は、今までに想像もしていなかった程に大きく、そして洗練された家造りであり、あの門と同じく質素さからどこからともなく美を感じさせた。


そして、邸宅の敷居をまたぐと、しっかりと鍛えられた筋肉を持っている男に迎えられ、広間?らしき部屋へと招かれた。


「どうだ!久しぶりの都は!!」


明るい顔をしながら、気品溢れる容貌で腕を組みながら入ってくるのは、クウゲンの旧くからの友人であった。


名を、伏見兼頼(ふしみかねより)といった。クウゲンは、兼頼と軽く世間話をし終えると。


「この子を、ここで鍛え上げてもらいたい。」

 

突然、クウゲンは兼頼に次郎の修行を望むと、兼頼は驚いた顔をしながらも、何やら察したかのようにそれを承知した。


クウゲンは期間はどれ程掛かるか聞くと、早くて2年は掛けたいところだ。と、述べると。


「それは無理だ。最低でも2週間だ。」

 

クウゲンはお願いする立場でありながら、かなり無理な条件を提示すると。兼頼は渋々考えると。


「それは此奴次第だな。」

 

兼頼は次郎に視線を向けながら述べると、クウゲンは次郎をこの伏見邸に置いて自らは早々と村への帰路へとついていた。


もはやその行動には慣れているかのような兼頼は、次郎らを招き入れた人物を手招きして近くに寄せると。


「先にお主の兄弟分となる者を紹介しよう。」


「拙者、御年17でござる伏見家が嫡男、伏見前久(ふしみさきひさ)と申します。宜しくお願いする。」 


前久は、深々と礼をすると、次郎もそれに応えるように礼をした。


そして、次郎も前例に則り挨拶を済ませた。


「これからは、お互いを高め合いながら鍛えてもらう。」

 

すぐに兼頼は、伏見邸の大きな道場へと案内すると、課題を次郎らに課した。


それは、1日1万と800回竹刀を用意された人形へと打ち込めというものだった。それも条件付きであった。


「必ず相手の魂、そして自らの魂を感じながら打ち込むようにしなさい。」

 

前久と共にその日は外が完全に真っ暗になり眠らない都が比較的静まるまで、ひたすら打ち込んだ。


そして、疲れ切った次郎は伏見邸の一つの部屋を与えられ、湯につかった後部屋に帰るとたちまち意識は夢の中であった。


 

 (何かに叩かれているのか…?)

 

そう感じる程に夢の中での生活で謎の痛みに見舞われた次郎は目を開けると、次郎にむかって掃除係の人が箒をはいていた。


次郎は起き上がると、廊下を伝って道場で前久が竹刀を打ち込む音が聞こえてくる。それに焦りを感じた次郎はすぐに道場へと向かった。

 

そうして、休暇三日目が始まった。





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