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、の始まり
4/32

時化 #4


あれから、およそ2ヶ月が過ぎた頃。

大広間に牧野兄弟らが呼ばれていた。

4人が来た頃には、すでに殿や家臣らが威圧感を放ちながら座っている。

そして目の前には、兄弟らと歳が近そうな者が複数名連ねていた。

「始めましょうか。」

4人が座ると同時に、海野が司会を務めて話し合いが始まった。

「では、まず私から。」

最初に口を開いたのは、大野照正であった。

「若殿方は、牧野家で最も重要で必要不可欠な存在になることが必然的です。」

照正は、声色を強めてまた話し始める。

「しかし、今の皆様には責任感というものが、一片も感じられませぬ。任感は必須事項。よって、この歳が近しい者たちを殿方の側近として仕えさせることになり申した。」

4人は心の底から驚き、それを隠すことは一切出来なかった。

それに畳み掛けるように大野は続けた。

「各々に3人ずつ仕えさせますため、それぞれ自由にお使いくだされ。」          

4人はそれに頷くことしかできずにいた。

それぞれは、自らの部屋にその者たちを連れると、懇談会を開催した。

次郎の部屋では目の前に横に3人揃って並び座っていた。

「では、名前を聞こうか。」

次郎は自分に初めての家臣ができることに喜びを受けながら、同時に緊張と安重の思惑通りの責任感が宿っていた。

「拙者、大野照正が子息、照景と申し上げる。」

大野照景は普通の若子という印象を与え、特別これといった将来像は浮かばないほどに未来への選択に長けていそうに見受けられた。

「私は、元川清定が長子、清時と申します。」

元川清時は博識な若子であり、全ての言動に上品さを兼ね備えているが、僅かに受身なところがあるように受け取られた

「某は、木下隆正が一族、隆房と申す。」

木下隆房は自由な若子で、乱雑だと捉えられることも多々あれど、この自由さは他には変えられないものだと印象付けた


そして、彼等は口を揃えて文頼に挨拶を挙げる。

    〝これより、宜しくお願い申し上げる〟


次郎もそれに呼応するように、

「宜しく頼むぞ。」

と、僅かに笑みを浮かべながら言った。

次郎はその後、これらの側近に対し稽古は自ら積み、自らの世話は自らでするよう命じた。

そして、他の部屋でもほとんど同じことが起こっており、特に何の隔たりもなく事が進み日常の景色に戻った。


             〜


その頃。

伊庭家主城、金華城の天守広間。

ある一通の文が伊庭家の当主宛に届けられた。

「幕府からの文だ、、」

幕府より送られたことに恐怖で怯えている者は、伊庭家当主、伊庭豊親。

「では、僭越ながら私が代読致します。」

その文を代読するのは、幕府からの伝令兵である男である。 

「伊庭豊親。これを中将への昇任を認める。」

豊親は安堵した様子だったが、伝令兵は間を置かず続けた。

「伊庭家所領の一部を没収する。」

豊親と共にそれを聞いていた家臣が怒りを隠せず

〝おい!!昇進して、そんなこど、あるか!!〟

豊親はこのような怒号が飛び交う場に、自分はもはや何者か分からなくなっていた。周りは豊親に同情し、伝令兵に怒り狂っていた。

これにより、金華城内は大荒れ。この噂はたちまち話が徐々に大きくなりながら広まっていった。



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