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、の始まり
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国衆の役目 #3

春のそよ風が桜の花びらをのせながら大広間に入ってくる。

殿はあれから一つ間を置いて、一段と鮮明な声で話し始めた。

「知っての通り我ら牧野家は、この廻沢の一帯を領地として得ている。所謂、国衆だ。」

家臣らは一つ一つの言葉に気持ちをのせながら思考の中に居た。

「しかし、私達の実権のほとんどを廻沢やその他隣国を治めている伊庭家が持っている。」       

その時、老将ら含む一部の者の勘が思考の中で働く。

「現在の廻沢では都から帰国した者共から伝えられた土産話が大きく広まり、都との格差で不満を抱く者が数多くいる。」 

殿はまた一段と声を張り上げて続ける。

「これを解消させるために動かねば、国衆としての恥と心得る。しかし、私達には兵力があまりにも足りなすぎる。」 

      〝よって、伊庭を乗っ取る〟    

大広間に緊張が走る。

伊庭家は幕府の配下にあり、国衆が勝る要素など何処にも隠れてすらいない。

正に禁忌ともいえる発言であった。

しかし、そんな中でも殿の意見を遂行するために進言するものがいた。

それが、海野安重であった。



その頃。

次郎は弟たちの部屋から追い出され、茂栄から余計なことを言われるのを嫌い、竹刀をもち庭へと向かっている途中であった。

「お!次郎ではないか!」

10代後半であろうか、かなり立派な筋肉をこの歳ですでに持っていた。この若者の名は、すでに元服を迎えた長男の玄治であった。

「兄上!やはり兄上は怠りませんね。笑」

次郎は気さくに玄治に話しかけると、玄治も笑みを浮かべながら話し始める。

「当たり前だ!私は頭を使って算術をするのは大の苦手でだしな。武術を磨かねば何も残らん。」 

玄治は長男で元服を迎えていながら、兄弟の中で

下の4人を除いて1位2位を争う程算術が苦手であった。

「あれ、兄上と次郎ではないか!」


「本当だ!まさか考えることは同じか。笑」

この2人は二男と三男であり、どちらも似たりよったりで歳も近い。名は、頼久と裕頼である。

「おー!やはりそうか。」


「兄上達も家臣らがみな大広間に行ってしまって   

 暇を持て余しているのですね笑。」

遺伝なのであろうか。この兄弟はみな共通して兄弟愛が強く、仲が良い。

「よし、じゃあ稽古を積むか笑!」

笑みを浮かべながら玄治が稽古を始め、弟たちもそれに乗じて稽古を積み始める。


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