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中立地ハウゼム
23/32

Runner #23

「放て!!!」


「確実に奴らを仕留めろ!!!」


飛び交うのは矢と鉄の塊と中立地らしからぬ言葉。

文頼らが進むにつれて、これは増すばかりであった。

今の文頼、照景、隆房、清時らは、この襲撃の指揮を執っているであろう中立地ハウゼムの主である長野豪久の殺害を目的として、城へと進んでいる道中である。


「殿!これより先には守衛の詰所が在ったはず、どうされますか。」

照景が目前に迫る危険をどう回避するか問うと、

「そんなの愚問だな!」

文頼は何やら少し前とは違う姿を見せる。

「詰所を破壊して先へ進むぞ!!」

この思い切りのある覚悟は文頼からどう生まれたのかは分からぬが、この覚悟はどちらへ転ぶのか、神次第となる賭けなのは変わりない。



詰所の前に警備兵が居るのを確認すると真っ先に照景がそれに襲い掛かる。

すると、中側から援護兵が顔を出すと隆房が槍にてその顔面を突き破る。

そして、後方より追い掛けてきていた百鬼夜行を清時は自らの刃から血飛沫を散らした。

文頼が仕上げに詰所の建物を真っ二つに破壊すると、彼らはそのままハウゼムの巨大な城へと進んだ。



ハウゼムの巨大な城。

これは陽高の城というよりかは、海の外側からの知恵により作られたものであり、外の国の城に酷似している。

城の名前は外の国からの遣いの者に呼ばれた名をそのまま用いている。

その名は、ディモン・レックス城。

建てられたのは今から数百年前となり、建てられてからというもの、中立地としての象徴的な役割を担っていた。



そして、ハウゼムの中でも戦場の中心となりつつある重洋らが戦闘をしている場所を、ブルート街という。





「お前ら!!すぐに火矢の支度をしろ!!急げ!!」

城内は文頼らが近付くにつれて騒がしさが増していき、豪久はディモン・レックス城内の最上階に位置する大広間に佇んでいた。涙を浮かべる顔を落としながら。


「豪久様。ブルート街にて危険分子との戦闘が始まった模様です。」


「そうか。文頼とやらは城に向かっているのか。」


「その通りで御座います。城内に居ります兵士らを向かわせましたが、これがどのくらい保つかは分かりませぬ。」


「まあ、よい。ここで殺さなければ明日は来ないのだから。」




その頃。

ブルート街にて。

始まったばかりの戦闘が僅かに激しさをチラつかせていた。


「おい。ここまでする貴様らの目的は一体なんだ。」

落ち着いた様子で則慶が尋ねた。


すると、いち早くそれに応えたのが伊勢盛時だった。

「まあ。陽高を取り戻す為って言っておいたほうが良いかな。」

それを聞いた長克は何やら悪夢を見た後のように表情を暗くさせる。

「陽高か…。お前らにとっての陽高はなんだ。」

今度は長克が尋ねた。まるで、取り調べのようだった。

「陽高は、おれらにとってのサイゴの城かな。」

そう応えたのは、畠山重洋であった。


「良い言葉だ。」


「冥土の土産に言わせてやれて良かった。」


「さあ。次は殺す気でいく。」




そして、再び文頼らの居るところへと移る。

その後の文頼らは、真っ直ぐに中立地ハウゼムの巨大な城であるディモン・レックス城へと向かっていた。


「この門を抜けたら本丸でそこから天守へと上れます。」


「よし。お前らは、本丸の兵士らを蹴散らせ!!」


「は!!」


本丸に照景、隆房、清時らを残し、文頼は単独で本丸を突っ切り天守へと駆けた。

門を抜けた先には、1000にも上りそうな兵士が蟻のように群をなしていた。

しかし、文頼はこれを真正面から抗った。

もちろん。その兵士らもそれを簡単には許すはずもない。

ここは一瞬にして、意地のぶつかり合いに他ならない程の気合で満ちた。

照景らの連携は凄まじいものを魅せた。

少し前とは見違えるほどに。


その後、照景らによる援護もあり無事に天守への入り口にたった。


文頼はひたすら階段を上った。


たとえ、兵士に刺されようが、撃たれようが。


ひたすら走った。


彼らの思いと共に。




そして、遂に辿り着く。天守の最上階。


「来たか。ドブネズミの頭領!!」

そう声を上げるのは、まるで人に化けた猛獣。

 長野豪久であった。









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