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御成り #2


「わー!!次郎兄上だー!!!」

兄である次郎の期待に応える元気溌剌な声が無事に耳元へと運ばれる。

「若様!こちらに来てはいけませぬと、あれほど殿から仰せつかったではないですか!」

そして兄弟の戯れを掻き乱すように割って入るのは、未だ世話係に慣れていない、若衆の中野茂栄(なかのしげひで)であった。

「まあまあ。良いではないか!」

次郎が茂栄を説き伏せようと試みるも、敢え無く撃沈。

「良くはありませぬ!会いに行く頻度が年々増してきて勉学に支障が出ていると、報告が上がっているのですよ!」

弱点を痛くつかれ追い出される形で外へ出された次郎は、大広間に数多の家臣らが集まっていくのをみていた。


その頃、既にほとんどの家臣らが大広間にて殿の参上を待っているところであった。

「遅くなり申し訳ござらん。」

安重は想定よりも早くの集合に戸惑い、息を荒げていた。

「よいよい!」

そう安重に説くのは、立派な着付けをしておりながらも、何処か武士としての魂を感じさせる佇まいで白髪がちらつく者で、名は大野照正(おおのてるまさ)

「まあまだ、殿も来ておらぬしな。」

少し棘のある言葉にら上品さをも兼ね備え、しっかりと整えられた髪をもつ者が話していた。名は、元川清定(もとかわきよさだ)

「はっはっは!!やはり世話係は大変か!!」

荒々しい笑い声を大広間中に響かせ、白髪で完全に頭が覆われており雑さが垣間見える家臣は、木下隆正(きのしたたかまさ)

彼等三人は牧野家屈指の老将であり、安重と共に牧野家を支え続けている者たちである。 

「私の力不足故に、申し訳ない。」

安重は自らの世話係の力を悔いていた。

「まあまあ、とりあえずここに座るがいい!」

照正が自らの隣の席に手を当てて安重を安心させる。

「大野殿、かたじけない。」

そうして、牧野家の家臣団が全員この大広間に集結した。

左側に座るのが、照正を筆頭に安重、中野らが続き、

右側には、隆正を筆頭に清定、尾多らが続いていた。

そして、側近らが大広間へと入ってくる。

    

    〝殿の、御成りでござる〟


赤黒い羽織を纏い白髪をうまく使いこなしながらも、かなり進んだ流行りを取り入れた髪型をして、大野らより僅かに年下に見える男が緊張に包まれる大広間へと割って入る。

そして、その男は段が一つ上へと上がっている所に座った。

その男は、殿と皆から言われ牧野家の当主として、そして一人間として慕われている男であった。

「よく集まってくれた。これより、現時点での私の展望を議題として、皆の衆にはそれを成り立つものとしてもらいたい。」


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