〝野〟性 #18
「将軍!!!い、伊庭家が堕ちました!!」
この報せは幕府のある闘部を超えて政部、そして都をも轟かせていた。
牧野軍は、伊庭軍の将官や兵士らを捕縛し、殆どの者を登用した。
その中でも頭一つ抜けている者たちがいた。
それが、永原宗重と伊庭豊綱であった。
彼らは、武力の貢献が多く見込まれ条件としては、譜代の家臣らと同等程度とされた。
そして、牧野軍は本拠地へと戻り、数カ月が経った後に信正は将位制度を導入した。
牧野軍の将位は上から、隠帥、将帥、総大将、大将、中将、少将、将監、将曹とした。
ちなみに隠帥は、隠居した当主のことを指し、常時の役職ではないものである。
「現状の定員は、将帥1名、総大将3名、大将4名、中将6名、少将11名、将監15名、将曹20名とする。」
信正は、将位と名前が書かれた紙を強く床に叩きつけると
「戦時中や、これから先の成長によっては人数は上下する。しかと心得よ!!」
そう述べた。そして、その紙の内容は以下の通りだ。
将位
将帥 牧野信正
総大将 牧野正一 牧野尹佑 牧野純友
大将 大野照正 木下隆正 元川清定 山内一宣
中将 上杉曜道 牧野玄治 牧野頼久 牧野裕頼
真田自綱 大友晴氏
少将 牧野文頼 牧野頼澄 牧野氏兼 牧野昭光
牧野常範 牧野忠良 海野安重 山縣義輔
中野茂栄 永原宗重 伊庭豊綱
将監 将曹 _省略_
知らぬ名前も多々あるのも不思議ではない。これには、牧野家ではなく、分家の者も混在しているからだ。
主な分家は、弟國牧野家、九州牧野家、三遊牧野家の三つである。
ちなみに、勢力の大きさは本家>弟國>九州>三遊の順である。
その後、牧野軍は戦闘態勢を解除。
これから牧野家は新たな獲物を捉えるため動き出す。
また、各地では様々な動きがこの事件により生じた。
〜
闘部。幕府本拠地、仙熊城。
「はあ。、情けないことだねぇ。」
こう言いのけるのは、将軍である者だった。
側には、元帥や大将の姿も見える。
そして、伊庭家へ中将昇格の伝令をしたある兵士の姿もあった。その者は、二尺一寸にも上る打刀をもち、歳はそれなりである。
その者は将軍へと異例の進言をした。
「大事にするのは避けるべき故、間者を使って少しずつ殺していきましょう。」
これにみなは動揺したが将軍はこれを受け入れ、方針は固まった。
〜
そして、また舞台は変わる。
ここは、都の伏見邸よりもさらに奥にある場所に位置する王の住居兼、上中下級貴族ら含む官職らの集会所である巨大な城。
その城内のある部屋に、6つの闇に堕ちる影があった。
「牧〝野〟か。聞いたことないな。」
「ああ。そうだな。」
「しかし、皆川が動くとは。侮れないな。」
「うむ。どうする。〝野〟は無視するか。」
「ここまで突如として肥大化した勢力だ。無視は出来まい。」
「では、一度様子見をしようか。そのうちに牧野に調査をいれよう。」
謎の6人はそれぞれ官位が高いようにみえ、それぞれが色の違う羽織を身に着け、ある者の背には、何か見慣れた紋様が入っていた。
〜
九州牧野家が本拠地。陽高東側に位置するここは、山々に囲まれているというよりかは、山の中にある場所である。
純友と純友の嫡男である忠良が口を交わす。
「果たして、どこまでいけるでしょうかね。父上。」
「うーん。そうだなあ。、まあどこでもいいさ。、」
「父上は何も目標は無いのですか。」
「私は只、兄上を信じるだけ。兄上の〝血に逆らう〟、その志をね。」
「血に逆らう、、ですか。、分かりかねますね。」
〜
ここは、弟國牧野家の本拠地。弟國国にある霜台城。
ここでは、尹佑と息子の昭光が会話をしていた。
「あの文頼という小僧は、何者なんだろうな。」
「あれは揺るぎないものを持っておりますね。」
「まあ、でなければあそこまで強大な意魂は出せない。」
「あり得ない話では無いですね。幕府はこれをどう対処するでしょうか。」
「きっと、まだ気づいてはいないだろう。これからだよ。これから。、笑」
尹佑は何かを思い出したかのように、顔を緩ませた。
〜
誰一人としても知らぬような国にある城。
風が強く吹き荒れる中に、岩へと座り独り言をツラツラと述べる老将がいた。
「次郎が城を落としたか!!また、聞きたいのお。、アヤツのこころざし!!」
〜
陽高中にこの事件は噂として流れ、
錆びれた歯車が〝また〟動き出す。




