レイ #13
次郎らは、秋花家に外交という名目で姫探しに訪れ、秋花家の食卓へと共に参加することになった。そこでみたのは、墨に顔を覆われた何者かであった。奥方とは全く違った雰囲気であり謎に包まれていた。
そして、何も情報を掴めずに皆川家へと帰ると、しばらくして秋花家当主の尭義から外交の文が届く。そして、再び秋花家へ訪れると、尭義自ら次郎らを迎え今までにない雰囲気を醸し出していた。
さらに謎が深まり次郎は困惑するも、畳み掛けるように会合の3日間が始まった。
一日目。
会合中に、
「奥方がこの地に来てから何もかも変わった。」
こう言うと尭義は何やら弁当袋らしきものを外へと持ち出し何処かへ向かった。
会合が終わると、夜は更けきっていた。辺りは当然の暗闇であり、部屋に付きっきりで居てくれた世話役のおばさんが何やら霊のように見えてくる。
疲労困憊の次郎らは、着替えを済ませるとすぐに寝床についた。その時、次郎は口を開けた。
「この家。どう思う。」
この言葉から始まったこの秋花家に対する次郎の推理。次郎は照景らも巻き込みながらこの問題に立ち向かう。そして、僅かに日が昇る頃になって彼らはようやく眠りについた。
二日目。
昨日より早めに散会となり、屋敷を飛び出し例の村へと向かった。あの村の名は、散吉村。あからさまにこの地を嫌ったような名であった。
次郎らは、村の人々に話しを聞こうとするも、もはや意志はないのか、全く聞こうとせず完全に野生と化している。村の散策を打ち切りにし、屋敷へと戻りここらの地域に詳しい者を探そうとすると、真っ先に向かったのはあの世話役のおばさんの下であった。
「あの村はここ数年前に秋花家が統治し始めた村だよ。元は幕府の統治であったと聞くけどねえ」
その時。次郎の中で思いも寄らないところがつながった。
次郎が7つ頃であったか、世話役の海野安重より読み聞かせをよくされながら眠りについていた。その読み聞かせの本は大抵1つの物語だった。
ある雪が降りしきる村に仲睦まじい夫婦がいた。
この2人は子宝に恵まれ、5人もの生命を授かった。その子らはすくすくと育ち、最も上の子が10になる頃。
突然降り立った鬼により下の子供たちは魂が吸い取られてしまった。下の子供たちは、長子の言う事のみに反応し、夫婦にはもはや教育など出来ないほどだった。その後、なくなく夫婦は子供らを手放し長子に任せるようになる。再び来訪した鬼は、長子を他の子供たちをおいて攫っていった。
残された子供たちは、教育とは無関係に育った故に全くの常識がなく、その村の人口に占める割合が増加していき、崩壊した。※要約
この物語の名は、雪隷日記。
期待を裏切らない回答をしたおばさんに感謝し、また寝る間も惜しむほどに考え込んだ。
散吉村、墨の者、少女の泣き声、これまでの周囲の行動。全てが謎に取り残され、次郎らを思考のドン底へと連れ込もうとしていた。
三日目。
3日間はあっという間に終わろうとしていた。会合に、宗良より頼まれた物も多く、姫探しに一切の手を尽くせず3日目を迎えた。
「結局、分かりそうにないな。」
次郎は与えられた部屋にてそう照景らに零すと、突然戸が開いた。そこには、あの世話役のおばさんがいた。
「姫を助けて頂きたい、!」
命乞いをするかの如くこれを願うと次郎は腹を決めたように返した。
「待っていてくれ。直ちにに参上仕る。」
そう言い残し、屋敷を後にし皆川家へと戻っていった。次郎の中で考えはまとまった。
皆川家、屋敷。
「手勢をお貸し頂き感謝申し上げる。」
宗良より借りた20騎を率いて照景、隆房、清時らと共に秋花家の栖城へと戻った。その時には、もう日が暮れ始めていた。
「開門を命じる!!」
どうしても門は開かない。それもそのはず、尭義の奥方がすでに手を回し門を封じたのである。次郎は、なぜ奥方が。とは一切考えておらず、思慮の中であった。その時、門が開いた。そこには、尭義の姿があった。
「頼む!次郎殿!!」
そう次郎に言うと、これに頷き返し門を突き進んだ。こうして、策戦が始まった。
天守へと駆け、馬を降り中へと向かった。
照景らは奥方の方へと、次郎は姫の元へと行った。3日間この城内を巡った故、すでに監禁する場所は次郎らには明白だった。
栖城城内。広間。
「奥方様。次郎がこちらへ向かっております。」
そう報告を受けた奥方は、かなりの焦りがみえ、
「牧野は危険だと父上に早馬を!!早く!!」
照景らが広間へ駆け込んで奥方を包囲したが、それを奥方の付き人らが刀を抜き応戦する。
「折角の、私たちの天下が、、こんなので!!終わる訳無いだろ!!」
〝ドスン!!!!!〟
広間に現れた何者かの地鳴りが屋敷を轟かせる。
「ここは、私に任せて頂きたい。」
突如として現れたものは、太刀を手に持ち橙の衣服を着用し、怒を纏っていた。




