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墨雪物語
12/32

奇奇怪怪 #12

夢姫からの頼みにより、とある姫探しに外交という名目で秋花家の栖城へと訪れた。秋花家は中将位の尭義が当主となっており、次郎らを萎縮させる程の威圧感を放っていた。しばらく尭義と共に会話をしている内に食事への誘いを受けた次郎らは、そのまま成り行きで秋花家の食卓へついた。


「どうだね。秋花家の食事は。」


一言一言が何故か威圧を感じるがその中に僅かな怯えが感じられた。


「とても美味で御座います。」


次郎は疑問に思いながらも応答し、照景らと共にしばらく広間にて子供らを部屋へと戻してから話し合いをした。


「そうですか。廻沢の国衆も幕府を真似て将位制度を入れようとしているのですね。」


(奥方の話し方はまるで相手を貶めるかのようだ。)


次郎は会話をする最中にそう感じた。


随所に相手を貶す言葉が紛れ込み、皆川家はあまり重要とみていないのかと考える程であった。


(しかし、あの例の者とは似ても似つかない。例の者は相手に直接感じさせるのではなく、自らの空気感がそうさせているが、こちらは直接伝えてくる化け物だ。)


15歳を迎えた次郎すらそう感じさせ、照景らも同様の感情であった。

 

話しも終わり次郎らは秋花家に一泊することとなり、用意された部屋へと案内された。


そこは、秋花一門衆の屋敷とはかなりの距離があり、外がよく見えるもので川の流れがよく分かる程であった。

 

夜も静まり。辺りは闇に包まれ、隙間風がよく聞こえる。その中で、人の音がした。


用心の為か、番人が置かれたようだった。一応敵国であるが故であろう。


そして、今日はそのまま寝床についた。


 

秋花家に日が照り始めた。


次郎らは起床するとすぐに、帰り支度をし、感謝と別れを告げに尭義の元へと向かった。


「また来てくれ。今後とも秋花を宜しくお願い致す。」


そう宗良へ伝えろと命じられると大手門を出て、例の村を過ぎた。


しかし、例の村は静かなもので、村人は一人たりとも居ないようでまるで廃村であった。


そして、皆川家へと平穏に帰宅しようとしていた。


それでも、次郎の顔は晴れた表情をしていなかった。


(あの墨で顔を覆っているのは一体何者なのか。それに、あの例の者と奥方は明らかに異なる雰囲気を感じるが、何なのだ。)


「何をしてきたのだ!!!!」


皆川家へ帰ると忽ち響くのは夢姫の珍しき次郎への叱責。


それもそのはず。次郎らの目的の外交は表面上のものであり、元は姫探しであったのだ。


次郎らはそれを失念していた上に、外交は円滑に進んでしまった。


まあ良しとしようではないか。


と宗良は言うも夢姫は納得できないご様子で、次郎らはしばらく口を聞いて貰えなくなった。


あれから10日、突然秋花家訪問の日程が誕生した。


次郎が夢姫の機嫌を治そうとして、花を摘みに出掛ける時だった。


突然、風を切る音が次郎へ迫った。それを辛うじて避け、その何かは木へと刺さった。


それは、おおよそ矢文と見て取れた。次郎はそれを開けた。


『皆川家 次郎殿。


 如何御過ごしだろうか。之には次回の会合日程を示す。次郎殿の益々のご健勝の程お祈り申し上げる。


          中将 秋花家当主 尭義』


これの締めに日付と期間が述べられていた。


次郎は突然のことで頭が回っていなかったはものの、これを承知し宗良らと掛け合いながら準備を進めた。


秋花家の会合の期間は3日となっており、参加者は皆川家代表として執事の次郎そして側近の照景、隆房、清時らが向かう。


「よく来た。次郎殿。歓迎するぞ。」


今回はなんと夕刻になっているにも関わらず尭義本人が迎えに参上し、次郎らを自ら屋敷へと導き案内した。


そして、風呂へと入るよう促し立ち去っていった。


しばらく過ぎた後、風呂へと向かうべく次郎らは部屋を後にした。廊下を通るときに、小娘の苦しみ藻掻き泣く声が聞こえてくる。


その場所を探そうとするが、次郎らは見つけられない。


続けて、何かを叩いている音や、鈍い音が聞こえてくる。


しかし、見つけられない。


そして、音が聞こえなくなると次郎は秋花に対して一定の不信感を抱き始めた。


その後、風呂へと入りながら次郎は考えていた。


照景らが話しかけたとしても薄っぺらな応答のみが返ってきた。


(あれが、あの墨の者?小娘?を甚振っているとしても、何故それがバレるように尭義殿は促した。そして、奥方は何者でどんな関係なのだ。)


頭が破裂しそうである次郎は風呂を照景らが上がるのを見ると慌てて共に上がった。


次郎は決定的な証拠を掴めずに、姫探しも机上の空論で会合の3日間が始まる。


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