第三章 さいじょうそう太①
友だちとあそんでいたらおそくなっちゃった。
お母さん、おこってるかなって思ったけど、おこってないみたい。よかった。
帰る前にトイレに行きたくなった。
トイレで、個室に入りたかったけど、人がいたみたいだから、まつことにした。
まっているあいだは、ジャングルジムで一人であそんでいた。
もう10分くらいたった気がするけど、トイレからは人が出てこない。
コンコン、ってしたけど、へんじはなかった。
だけど、人がいる気配はしたし、かぎもしまっていた。
多分中の人はお腹がいたいんだろう。
ここからお家に歩いたとしても20分はかかるだろう。
それなら、ここでがまんしていたほうがマシだ。そう思った。
月はさっきよりも高い位置に動いていた。
秋の虫のリンリンっていう鳴き声が聞こえていた。
公園の明かりはポツポツと消えかけていて、虫が周りを回っていた。
今いる公園はあまり新しいところではなくて、トイレも外側はよごれていて、中は定期的に掃除がされていると言っても、ハエが飛んでいるほどのきたなさであった。
家からは少し遠いけれど、一番近い"遊具のある"公園だった。
少しすると、トイレのドアが開く音がした。
ずっとがまんしていて、もれてしまいそうだったから、走って(すこしふんばりながら)トイレへと向かった。
トイレから出てくる人影は見えなかったけれど、個室に人はいなかった。
おかしいと思ったけれど、急いでいたからぼくは用を足した。
個室を出て、手を洗い、トイレから出ると、男の子が前にいた。
男の子は何も言わなかった。
変だと思ったけれど、ぼくは帰ろうと思った。
次の瞬間、ぼくは頭を何かでなぐられた。