同僚の体験談2~倉庫~
そこそ怖、手持ちで1、2番に怖い話でお気に入り2です。
年上の同僚の体験談です。
大学生時代に同僚は中古買取の本屋でアルバイトをしていたそうです。
そのバイト先には敷地内に店舗と倉庫が有りました。
その倉庫について店長から絶対に守ってほしいルールとして
1人では入らず必ず2人以上で入る、ということでした。
なんでも1人で入ると勝手に窓が空いたり、ドアが閉まったり
変な事が起こるそうです。
昔そのせいで、1人で入ったバイトが閉じ込められる事があったそうです。
ですが、2人以上で入ってしまえば何もなく
一応、入り口に塩を小皿に盛っていますが
広さもあるので倉庫としては重宝していたそうです。
その日は開店前の準備をしていました。
同僚と、先輩の女性と後輩の男性3人での作業でした。
以後、同僚、先輩さん、後輩くんと書いていきます。
先輩さんと後輩くん、同僚で別れて作業をしていました。
同僚の作業が終わった頃のタイミングに後輩くんが来ました。
「倉庫から商品を取ってくるので手伝ってくれませんか?」
「わかった、倉庫の鍵はもう取ってきたか?」
「あ、すみません取ってきてから声かければよかったですね」
「いいよ、鍵取ってくるから先に倉庫の前に行っててくれ」
事務所から鍵を取ってきた同僚は倉庫前で待っていた後輩くんと合流し
鍵を開け倉庫に入りました。
倉庫は鍵は同じなのですが外と中に鍵付きのドアが合計2枚ある作りでした。
中のドアも開け同僚が中に入った時
バタン!!ガチャッ
と勢いよくドアが閉じ鍵も閉まりました。
同僚は少し驚きましたが、直ぐに後輩君がイタズラをしたんだと思いました。
「おいおい、もうすぐ開店なんだから、ふざけてないで早くやるぞ」
と声を掛けますが返事が有りません。
「もういいだろ、ちゃんとビビったからいい加減開けろよ」
後輩くんに声を掛けますがなぜか返事が有りません。
ここまでされると同僚もだんだんと怒ってきました。
「あのなぁ、別にふざけるなって言う気はないけど、
忙しい時くらいはやめようぜ。あとなんとか言えよ」
返事は有りません。
同僚はどんどん怒りが増してきてついに怒鳴りました。
「いい加減にしろよ!!」
返事はありません。
同僚は埒が明かないと思い、扉を破ろうと体をぶつけました。
ドアを壊せば怒られるでしょうが
頭に来ていた同僚は知ったことではありません。
ドン!!ドン!!とぶつかり3度目と思ったとき
ガチャガチャ、ガチャリとドアが開きました。
やっと開けたかと見上げると後輩くんと先輩さんがいました。
何故、先輩さんも?とも思いましたが、
そんなことより悪ふざけをした後輩くんです。
「おい!なんで閉じ込めるなんてふざけた真似したんだよ」
後輩くんに掴みかかりました。
「ま、まってください!何のことですか!」
「お前が俺を閉じ込めたんだろうがよ!
鍵まで閉めて!!」
そこで先輩さんが止めに入ります。
「まって!落ち着いて!
あなたが一人で倉庫に入ったんでしょ?」
先輩さんの言葉が同僚には意味が分かりませんでした。
「いや、後輩くんに頼まれて倉庫まで来て
一緒に入ったと思ったら閉じ込められたんですよ」
「確かに先輩(同僚)に頼みましたけど
先輩が先に倉庫に入ってたじゃないですか」
「は?、俺が鍵取って倉庫前にいたお前と一緒に入ったじゃないか」
「俺、先輩に頼んだ後トイレに行ったので直ぐには倉庫に行けてないですよ?」
「いやいや、俺を倉庫の前で待ってたじゃないか」
「急にトイレに行きたくなって急いで済ませた後に
待たせちゃ悪いと思って直ぐに倉庫に行ったんですよ。
そうしたら先輩が倉庫の中で誰かとしゃべってるかと思ったら
怒鳴りだしたんですよ」
「え?」
「何度か声かけたりドアを開けようとも思ったんですけど
先輩聞こえてないみたいだし鍵も閉めてるみたいなので
事務所からスペアキーもってこようとしたときに先輩さんにも声かけて
一緒に鍵取って来たんですよ」
「え・・・?」
「先輩さんと来た時に先輩が内ドアからぶつかる様な音がしてたんで
急いで鍵を開けたんです」
後輩くんの言い分が同僚には訳が分かりません。
「いや、さっきも言ったように後輩くんと一緒に入って
内ドアに俺が入ったタイミングで閉じ込められて・・・鍵も閉められて・・・」
同僚はハッとします。
鍵はずっと自分が持っていた、内ドアに入った時も自分で開けた
その後は・・・
同僚のポケットにちゃんと鍵は有りました。
倉庫の鍵はスペアと合わせて2本しかありません
後輩くんが元から持っていれば閉じ込めることもできるでしょうが
先輩さんと一緒にスペアキーを取ってきたので、それもありません
そもそも後輩くんは一緒にいなかったとも言っています。
3人はだんだんと怖くなってきました。
後輩くんが正しいとすると
倉庫に入った時にいた後輩君は何だったのだろうか・・・
「とりあえず、お店に戻ろうよ」
先輩さんがそう言い倉庫にいても不気味なので
店に戻ろうとしました。
「ひぃっ!?」
外のドアを出るときに後輩くんが悲鳴を上げました。
「どうした!?」
同僚が声を掛けました。
「み、見てください・・・」
後輩くんの指さす先には小皿に盛られた塩が有りました。
ですが、小皿は真っ二つに割れており、塩が崩れていました。
もしかしたら、前から割れていたのかもしれませんが
先ほどの体験と、気休めとはいえ置いていた盛り塩がこうなっていては
さすがに耐え切れず3人は走って店まで戻りました。
後ほど出勤した店長にそのことを話すと
さすがにおかしなことが起こりすぎるという事で
今後倉庫は使わないこととなったそうです。
その際に、同僚は聞きました。
「あの倉庫、なんであんなことが起こるんですか?」
「俺もわからないんだよ、
いわくが有るとか、事故物件とかそんな事は無いはずなのに
おかしなことが起こるんだよ」
怪談とか体験談を調べたり、聞いたりするのですが
何もないはずの場所がおかしくなるような話
たまに聞くんですよね。