第六話。根津頭取と交際始める
第六話 根津頭取と交際始まる
※十一月一五日・土曜日。六時起きてシャワーを浴びて。支度した。七時だ。家を出た。タクシーで、新宿。小田急線口に降りた。ホームは下だ。切符の時間を見た。八時発。でも。弁当と。お茶を買った。
電車は入っていた。高級感が有る。特急列車。「箱根湯本駅行き。」三号車A五番。探して。席に座った。まもなく出発した。機関車じゃない。電車 ?
特急電車って、普通電車より、早い感じがする。空いている。周りに誰も載っていない。弁当を広げて食べている。車掌が回ってきて、切符の検査をしていた。弁当を食べて、椅子を倒して、横に成った。眼を閉じて。・・・ふとっ、脳裏を過った。初めて。お店に出た時。新日本銀行の頭取。と言う人が隣に座った。挨拶した。・・・他のお客の席には、行かなかった。・・・今、考えると。美江ママの構想だった。のか。・・・順子は、あの時を振り返った。一時間位過ぎた頃、まもなく終点箱根湯本駅に到着。と言う。音声が流れた。順子は、出る支度をした。・・・降りた。
「おー・・・山中。でも人が大勢いる。・・・やっぱり観光地だ。駅員さんに、箱根登山鉄道乗り場を聞いた。「右のほう」らしい。歩いての芝に着いた。強羅駅。書いてあった。時間表見た。直ぐ乗れるみたいだ。約、三十分かかる。乗った。・・・順子の鼓動が、外に聞こえる位鳴って居る。・・・山の景色は、絶景だ。此れが登山鉄道か。紅葉も終わりに近づいている。強羅。強羅。音声が流れた。順子は降りて。タクシー乗り場に行って。運転手に聞いた。「大和証券の寮」までお願いします。・・・乗った。寮の前に着いた。東京の人の別荘って。・・・ご存知ですか。
「あー。直ぐ其処だよ。」と言って車を走らせた。直ぐ着いた。順子は精算してタクシーを降りた。
十時半だ。
「おー。・・・」写真を出してみた。門の傍に立った。
「いらっしゃいませー」音声が流れた。ガチャ。音がした。引き戸を引いてみた。空いた。素晴らしい。・・・こんな風になって居る。順子は中に入った。ガチャ。音がした。門の扉に鍵がかかった。少し歩くようだ。叔母さんが出てきた。
「順子さんですか。・・・いらっしゃいませ。頭取が、お待ちしております」案内された。玄関ホール。広い。車が横づけられる。玄関のドアも。天井まである。二枚開きだ。叔母さんが開けてくれた。
「どうぞー・・・」順子も入った。広い。二〇畳位ある。と言う。
「おー・・・ご苦労さん。どうぞお上がりください。」丁寧な口調だ。
「失礼します。」叔母さんは。左の方へ、いなくなった。頭取の後ろを着いて行った。ドアを開けて。
「どうぞ。・・・」純子は、部屋へ入った。
「おー・・・広い。」四〇畳あると言う。ソファーに案内されて座った。コーヒーが用意されていた。どうぞ。飲んでください。
「え。・・・此のコーヒー。何となく。美味しい。・・・」
「分かりました。・・・流石、銀座のママさん。・・・此のコーヒーは、世界一と言う。コーヒーです。日本では、販売されておりません。」
「えー・・・そんな事ある。んですか。」
「有る。んですよ。・・・輸入取引って。・・・今私が、買ってくれる店を、模索しています。・・・ただ。現在の。値段の、3倍5倍に成るでしょう。・・・なかなか大変ですよ。」
「へー。・・・」
「お昼は。まだでしょう。・・今、弁当屋さんがとどける事に成って居ます。もう直ぐ来るでしょう。叔母さんが対応してくれるから。大丈夫ですよ。」
「へー・・・広いですね。家。」
「うん。・・・平屋だから。・・・山のてっぺんだから。平屋でも、眺望が良いですよ。屋敷は。三千坪。・・・今の叔母さんの土地だった。・・・私が買って、家を建てた。
屋敷の植木は。息子さんが、全部手入れしてくれているから。・・・家の管理も。任せてある。だから、家も傷まない。新しいまま。・・・」
「へー・・・お金。持ちって。・・・分からない。」
「でしょう。・・・まだまだ有ります。・・・軽井沢に。此れより広い。山も一緒だから、けれど。・・・それに熱海に、医者付き。の、老人ホームも。買ってあります。三階と六階に。二か所。・・・その老人ホームは。売りと貸しが。有って。私は買いました。・・・動けなくなったら、其処に入る。知り合いの厄介者には、なりたくない。一人で、其処に入る。」
「えー・・・凄い。・・・其処まで考えて居る。」
「そう。・・・死に顔は、女房にも、誰にも、見せたくない。・・・何故ならば。俺の人生の羽振りが。ゼロに成る。すなわち。見。素ぼらしく。成る。・・・元気な顔で知り合いと別れるのが。俺の、終支度だ。・・・よたよた、成って・車いすで、出てきて、皆の前に顔を出す。天下を取った人間が、顔をしわくちゃにして、話せない。・・・こんな姿。・・・俺は、見せたくない。綺麗な花だって、腐ったのをまだ、飾られたら、どうでしょう。花が泣くでしょう。取り替えて下さい。て。だから。元気なうちに。世の中から消える。」
「うんー・・・分かります。・・・そうです。私のお爺さんも。頑固だった時が、一番。カッコ良かった。死ぬ時、見たけれど。あんな人が。こんな痩せて、がりがりになって、誰が居るかも分からない。・・・惨めだった。」
「あ。・・・弁当が来たから。・・・食べながら話そう。」
「えー・・・これが弁当。・・・」40センチ×50センチ。二段重ね。
「どうぞ。どうぞ。静雲荘の。弁当だよ。・・・美味しいよ。」順子は食べながら聞いている。
「そうだろう。・・・俺は。もう直ぐ、七十歳だ。元気なようだけれど。足腰が痛くなる時が有る。・・・身体を気にする時が、多く成って来た。・・・俺は終わりだと決めた。・・・そこで。美江ママも、麗さんも知っている。しかし。・・・あの人たちには、十分協力したつもりだ。・・・依って。終わりにする。何故ならば。四十歳になると、人間、てやつは。ずるく成るし・体も衰える。此れは誰でもおなしだ。俺も、だ。
故に。財産の問題が。伸し掛かってくる。・・・女房にも、財産は、持ちきれない程くれて有る。・・・今の財産をどう処分するかが。俺の頭を悩ましている。・・・
所に。俺が想像していた、女が現れた。山本順子だ。・・・これは、嘘ではない。・・・それを知って居るのは。麗さんと美江ママだ。・・・二人は。俺の好みを知って居る。順子に負けた。と。思っている筈だ。・・・でも、あの二人は、老後の心配はすること無い。今、入る。お金で、楽に暮らしていける。変な使い方すれば終わりですけれど。今の儘で、十分な生活をして行ける。・・・依って、俺は、初めて会った。・・・何故、山本順子だ。・・・それは、縁。と言う。何かが有る。・・・しかし。まだ。決まったわけではない。・・・何故ならば。・・・順子が了承していないから。・・・長く成ったけれど。此れは。俺の資産の話だ。まだ有る。今、手掛けている。事業を成功させてやりたい。株式上場に、乗せて遣れば、俺の最後の仕事だ。ただ審査が三年かかる。」
二人は、もくもく食べている。初めての食べ物みたいだ。順子の脳の中は。ぐるぐる回っている。・・・でも何もない。何も知らない。・・・現在の順子の周りは、麗さんと美江ママだけだ。でも。二人は、順子に応援している。・・・やっぱりチャンスだ。帰るまでに決める。決めなきゃ。でも、慎重に成らないと。
「ま。・・・帰るまで。・・・月曜日の朝。十時に帰る。その時。謄本を渡しますよ。見て貰って。資産運用は。現資産を。二人の名義に書いておけば。贈与税も、登記代もかからない。・・・ですよ。亡くなった人の、籍が。外れるだけで。・・・腹を決めたら来週の土曜日、二十二日。プレジデントホテルで、会おう。・・・今日の、御足労分として。・・・これ挙げるよ。・・・20万円。入っている。」封筒を貰った。
「え。・・・」
「良い。んだよ。・・・お金は皆の物。・・・俺の物ではない。皆で使う。従って、廻ってきた人が。運が良かった。と言う。事だな。・・・本日は終わり。」二人は。外へ出た。 根津頭取は、身長、百七十五センチ。体重、七十キロの、スマート型だ。六十歳ぐらいに見える。
「広い。順子は、走り回っている。芝生の平坦な場所も有る。其処で。バック転。5回6回7回。回った。そして、宙返り。股さき。逆立ち統一。50メートル激走宙返り。
「パチパチパチパチ」頭取の拍手が。鳴りやまない。順子も、童心に帰って、まだまだ繰り返す。
「もう良いよ。・・・」頭取は止めた。
「はー・・・久しぶりに。」息を吐く姿を。頭取は、色気を感じた。この女で。最後にしようと。考えた。
「凄い。・・の一言だ。順子さん。・・・」
「どうでした。・・・悪い所。有った。」
「言われても分からないですよ。」
「ですよね。・・・やっぱり、着地が、マットじゃないから。怖かった。・・・ブレるし。・・・危なく、突き指するところ。だった。」手をブルブルさせている。頭取は心配そうに。傍に来た。
「順子さんは。銀座の商品だから。・・・」
「え。どう言う意味。・・・」
「銀座のスターだから。・・・商品ですよ。」頭取は、てれくそうだ。夕焼けが、順子を照らしている。・・・眩しい。二人は家に入った。ソファーに座った。
「汗かいたようだから。風呂入りますか。頭取は風呂へ案内した。
「何。これ。・・・広い。・・・」
「岩風呂で、地主の植木屋さんが、造った。んです。良いでしょう。・・・十人位、入れます。お湯溜めるのに二日、掛かります。・・・天然温泉だから。お湯の出が良くない。・・・入ってください。」
「えー・・・入りたい。」順子は。その場に、服を脱いで、風呂へ入った。やんちゃな所も有って。恥ずかしいのは。気にしない人だ。学生の時も。ハイレグの体操着の儘。体育館内を、ウロウロするぐらいだから。
「頭取も入ったらー・・・」誘った。この家には二人しかいないので。頭取も入った。すると順子が寄り添ってきた。二人は抱き合った。お湯が音を立てている。三十分ぐらいは言って居た。脱衣場に入った。ジユン子は体を吹いて。着替えも有ったのでそれを着て。今のソファーに座った。頭取も後から来た。
「順子さん。・・・凄い。・・・良い。身体だ。こんな、女性初めてだ。抱きよって来た。順子は、成り行きに任せた。二人は燃えた。ぐったりして。横に成って居た。頭取は。
「子供は、無理かな。・・・」
「ぇ。・・・そんな事無いでしょう。・・・頑張れば。・・・」頭取が時計を見た。
「六時か。・・・外へ出よう。・・・ちょっとした隠れ家レストランが有る。其処へ行こうか。二人は着替えた。順子は。麗さんに貰ったドレスの感じの服を着た。
「おー・・・似合うね。素敵だね。・・・」喜んでいる、タクシーに電話した。
一五分位で来る。門の柱に、タクシーさんだけ知って居る。チャイムが有る。二人は門へ行った。
「どうぞ。・・・」ドアが開いた。
「社長。・・・何時もの所ね。・・・」運転手は知って居た。何年も付き合って居るから。電話すると、この人が指名で来る。林だ。コテージだ。一軒。一軒。
「えー。何個ありますか。・・・何処へ入りますか。」順子は。キョロキョロしている。ガレージ月の離れ家だ。降りた。タクシーは帰った。部屋から電話した。
「へー。凄い。・・・此処泊れるの。」
「泊れるよ。ガレージ付だから。・・・此処は料理も色々あって。日替わりだから。美味しい。んですよ。」順子に。メニューを見せた。
「私は、分からない。・・・任せるわ。・・・」
「そうか・・・じゃ。・・・」頭取は。電話で注文した。何かセットらしい。
「隠れ家だねー・・・昼間も、林だから。何となく静かで。日差しも隙間から。ロマンを感じるね。・・・」
「昼間の方が。日差しが、射して、ゆったりして、休める。・・・たまに一人で来る。」
「えー・・・一人で。・・・」
「別荘の来た時は、昼間は。此処で休む。一〇時から三時まで。昼食食べて。・・」
「えー。・・・優雅ですね。・・・だから頭取は、若いんですね。・・・イオンを吸って。若いぴちぴち肌も、吸って。・・・」
「あっ。・・・ばれたかな。・・・」
「考えることは。同じです。」料理が運ばれてきた。
「お待ち同さまー・・・」大きなお膳二つ。二人で運んできた。シャンパン二本。
「さ。どうぞ。」シャンパンを開けた。・・・ポンっ・・・順子は、びっくりした。
「わー。・・・ナニ。此れ。・・・」初めてだ。
「シャンパン・て。・・・知らない。」
「知らない。・・・初めてですよ。・・・私は田舎者だから。・・・分かって居るでしょう。全て。初めてなの。お風呂でも。初めてだったのよ。・・・頭取。・・・処女を奪われたのよ・・・私の。・・・責任取らないと。」
「あー。・・・そうか。・・・やっぱり。・・・責任取りましょう。・・・俺は。こう言う。初心な。女と、死ぬまで、一度。遭いたかった。・・・それが。舞い降りてきた。・・・順子と、言う。女。・・・これが最後だから。頼むよ。」頭取は嬉しい様だ。
「でも、・・・はっきり、言って、処女を、・・・老人に挙げるとは。考えた事は無かったよ。・・・」
「ごめんね。・・・これも何かの縁。なんですよ。順子が、出世して、銀座の女帝に、成ってくれれば。本望だ。」
「はい。・・・きっと、成ります。」今。順子は、決まった。頭取の本音を聞き出した。一生一代の決断。だ。こんな高級なホテルに止まれて。美味しい物を食べられて。お金に不自由しない。・・・同じ人間で、こんなに差が有る。田舎のお母さんたちは、一本五円のアイスキャンディーを喜んで食べている。そんな風景が。脳裏を過る。頭取も嘘はつかないと、願うばかりだ。とにかく信じよう。二人はシャンパンを全部開けた。食べ物も、全部は食べられなかった。
「もう。・・・お腹いっぱいだ。・・・風呂に入りたい。・・・もう眠くなってきた。」
「頭取も、大分。良い気分なって居た。・・・横に成って。寝てしまった。・・・でも此処は泊れるから。順子は、風呂に入った。
「おー・・・ライトアップされて、綺麗だ。体を隅隅まで、洗った。」風呂あがって、ベッドに寝た。頭取の事は、毛布を掛けて、そっとしておいた。薄明かりが差してきた。すると、頭取がベッドに潜り込んできた。
「順子。・・・」起こされて。被さって来た。順子もそれに答えた。順子は、初めてのセックスに。何のためらいも無かった。何度も求めた。が。相手は、ノックダウンだ。年だ。頭取も。欲は有っても。セックスの欲には。どうする事も出来ない。体が言う事を。聞かない。・・・又、寝た。
順子は、若いからタフだ。風呂に入って体を流して。帰り支度をしていた。頭取も起きて、風呂に入った。上がってきた。
「順子。フラフラだよ。歩けないよ。」
「そうでしょう。頭が欲を出しても。体が就いて行けない。・・・程々にした方が。宜しいかと。・・・」
「はい。・・・その通りでした。・・・昨年の暮れが。最後。なんですよ。・・・
十一か月ぶりです。よ。・・・」頭取は、フロントに電話して。精算してタクシーを頼んだ。九時だ。タクシーが来て、家に帰った。コーヒーを入れて飲んでいた。頭取は、少し休むと言って、ベッドへ入った。順子は、庭に出て、晴れ晴れの空を仰いでいた。
こんなに広い。屋敷。ごちゃごちゃしていない。大きな木が何本か植えて。石もぽつぽつと置いてあるだけ。周りは山だけ。・・・帰ったら箱根の本を、買って、呼んでみないと。サッパリ分からない。今日も止まって明日帰る。
「順子さん。」頭取が来た。今日は、熱海に行こうか。そして明日は、熱海からだと・・・新幹線に、乗れるよ。」
「え。・・・新幹線。・・・乗りたい。・・・」
「丁度。良かったね。・・・じゃタクシー呼ぶよ。」頭取は、電話をかけた。二人は支度して、門で待って居た。タクシーが来た。十一時だ。
「熱海の。赤尾ホテルに行ってくれ。」沢岻へは熱海へ向かった。今日は日曜日だから、部屋が空く筈だ。電話しないで走った。
「熱海まで、何分掛かりますか。」
「一時間三十分位ですかね。」一時頃に、着くかな。玄関前に着いた。二人は降りて、ロビーに行った。空いているそうだ。南角の十階に・部屋を取った。入った。
「あー・・・凄い。海だ。・・・下まで海だ。・・・怖いよ。根津さん。」
「あー。此処が一番良い部屋だよ。遠くまで見えて。今日は。秋晴れで、スッキリしているから。遠くまで見えるね。・・・レストランに行って。軽く何か食べてコーヒー飲もうか。」二人は。レストランに行った。
「あ。・・・波がそこまで来ている。・・・大丈夫かな。・・・」
「大丈夫だよ。・・・眺めが良いでしょう。・・・トーストでも食べよう。夜ごはんが有るから。今は、さらっと食べて。」
「頭取は、こう言う所・しょっちゅう来る。んですか。」
「あー一年に何回か。来ますね。・・・俺は。超高級なホテルしか泊まらない。何故ならば、人格を崩さないためだ。」と。自分をアピールしている。
「へー・・・そう。なんだ。」順子は、素直に聞いている。二人は、七時間居て、部屋に戻った。
午後二時。
「順子さん。昨日の続きを話そう。・・・時間は気にしないでくれ。大事な話だ。
「はい。・・・分かりました。
根津頭取は・昨日の順子が、本当に初心だった事に。惚れ込んだ。やっぱりこの女しかいない。と。決めた。
「まず現在。妻とは、離婚している。だから不倫ではない。・・・したがって、順子の為にも。籍を入れた方が、あなたの為に成る。
俺の経歴を話そう。六本木三丁目に、生まれた。実家は、代々、燃料店を手広く経営していた。もちろん使用人も居た。戦争で燃えて今は無い。
大正五年。慶応大学を卒業後。新日本銀行に勤めた。普通の銀行だと思った。この銀行は。渋沢栄一の一派が創設した、高利貸しの銀行だった。」
渋沢栄一は。江戸時代。徳川慶喜に仕えた人物で。パリ万博の団長に任命されて。パリに派遣された。その時、二本は。維新をかけた。戦争に陥った。大政奉還で。徳川家は、つぶされた。渋沢は、二本が落ち着くまで。パリに居た。ようやく落ち着いて帰国した。渋沢は、フランスの発展を、政府に発表した。これからの日本を開拓しなければならない。アピールし。政府も、渋沢に指揮をとらせた。五〇〇社と言う。起業を創設した。人物である。日本銀行。と言う。国営の銀行も創設した。
大正時代に成り。後に、同じ一派が創設した、新日本銀行である。国営とは違う運営の仕方だ。・・・高利貸し。と言う。まだ世間では知らない遣り方である。当時は。戦争も有り。国民は、食べの物は鳴く貧困者が多く居た。でも軍事産業。鉄鋼業はどこ吹く風で。金は動いて居た。其処に参入した銀行である。財閥の金を集めて、あらゆる事業者。商店主、達に融資する。資産を差し押さえ。金を貸す。国営よりは、手続きが簡単だから、利用者が殺到する。と言う。時代だ。
一方。根津は、六本木と言う土地柄。又燃料店を営んでいたので。其処を利用し、融資に励んだ。頭脳ピカ一だ。ラクビーを遣っていたので、体力も抜群だ。ナンバーワンの成績を上げていた。三十歳の時。上司から、お見合いの話が来て、断れなかった。・・政略結婚だ。江戸時代からの名残だ。・・・この女性は。出戻りだった。子供も二人いた。連れてこなかった。知ったのは。後の事だ。昭和十六年。大東亜戦争が勃発。又ま軍事産業。鉄鋼業が盛んになり。大手企業は大盛況だ。そして、新日本銀行も動いた。下請け企業を。東京湾内。関東に斡旋して。融資を拡大させた。もちろん発展した企業も有る。潰れた企業も有る。後者の方が多い。そして、昭和二十年。日本が大空襲攻撃を受けた。都内は酷かった。赤坂に有った、新日本銀行も大打撃を受けた。これからが、新日本銀行が、手腕を発揮する。渋谷栄一の一派で有る事は、有名である。大金を動かしている事も、誰もが知って居る。動き出したのが。根津晃だ。
昭和二十年十一月。社長に任命された。
そして。政略結婚させられた。女性は。渋沢栄一の地本の勇者の娘だった。綺麗な人だが、男勝りの、気の強い女で、銀行の役員にも成っていたせいか。男性役員も歯が、立たない女だ。その夫が、社長に成った。女は、今まで以上に振る舞って居た。しかし。根津社長は、妻とは、逆に、誰にでも好かれる人物だ。でも社員は警戒していた。就任して、一年後。妻は、癌で亡くなった。其れからは、根津社長は。会社の立て直しに、誰とも付き合って。優しい社長と呼ばれるようになった。でも、イエス。ノーの姿勢は、曲げない。対応を貫く。会社の基本は崩さない。
其れから、一年後、昭和二十二年。再婚した。都内の復興は凄まじい。争いが、方々で起こっていた。新日本銀行も巻き込まれた。しかし、金融業としては、他の大手銀行と違う方向性を保っている。都内の有力者。裏社会の人達には。多大なる信用が有った。何故ならば。根津社長の器量に皆が賛同してくれている。何故なら。消して争いはしない。金で解決する力が、有る。此の事を、皆が知って居る。根津に逆らうと。金を動かすことが出来なくなるからである。そして昭和二十五年。一月。四十六歳。頭取に任命された。行動範囲も広く成り。益々根津の存在が伸びた。半面。根津は、腰を低くして。毎年増額して行った。又、株式市場では、若い頃からの投資が、増額して、多額の利益を掴んだ。そんな関係から、市場にも顔を出すようになった。頭取に成って利益が、益々膨らんだ。株式上場審査にも、相談受けるようになった。新日本銀行資産。根津頭取の資産。は。今でも謎で有る。法人税は。都内指折りで支払っている。脱税の経緯は見つからない。
「俺は、渋沢栄一と言う。一族のグループに参入で来たのが、運を掴んだ切掛けに成った。政略結婚に巻き込まれたりもした。・・・でも俺は辛抱した。其れがゆえに頭取と言う。地位を掴んだ。・・・だから、ある程度我慢するのも、運を掴む、一歩かもしれない。・・・女にも苦労した。そのせい、か。人生。終支度までは、純粋な女に巡り合えたかった。・・・其処に現れた女が、貴方だ。・・・順子だ。」
「えー・・・聞いていたら。映画みたいな、人生ですね。・・・戦争を体験して、東京を復興。再生させて。生き抜いて。資産を溜めて。その資産をどうするか悩んでいる。・・・ドラマだわ。・・・」
「此処まで来たのも。仲間に慕われていたから、なんだよ。・・・俺には、何十人もの仲間がいる。皆。何億と言う。金を掴んでいて、良い暮らしをしている。んだよ。
だから皆。俺を悪く言う人は誰も居ない。其れが俺の強みだ。・・・今でも。」
「ですよね。・・・私も今の話聞いて、麗さんと。美江ママが、凄く面倒見てくれているの。こんな、私を。」
「うん。そう言う人を大事に付き合っていかないと。いけないよ。・・・まっ・・・こんな俺の過去だ。・・・まだある。系列会社を株式上場に、載せて遣るのが、俺の最後の仕事だ。」それは、この次会った時、話そう。・・・レストランに行こうか。」
もう六時だ。二人は。レストランに行った。高級ワインと、伊勢海老のフルコースを二人前頼んだ。
「混んでいますね。・・・」
「あ。此処は、何時も混む。部屋で食事取らないで。此処で食べる。海を照らす照明がなんとも言えない。・・・」
「そうね・・・幻想的で。・・・こういう景色、好きです。」
二人は飲んで食べて、楽しそうに未来を話していた。順子も、自分なりの生き方を話していた。ただ頭取から見れば。まだまだ、試練が待って居る。根津頭取は、今後の資産の運用を教えなければならない。箱根と軽井沢の別荘だけでも、維持して行くね術を教えなければならない。二人は十時に部屋へ戻った。頭取は、風呂にお湯を溜めた。二人入れる広い風呂だ。時間が掛かる。二人はベッドに横に成り、確かめ合うように交わった。頭取も、順子の、素人と言う。純粋な振舞は初めてだ。美江や麗華とは、真剣さが違う。・・・この年にして、女の純粋さを感じた。益々。順子に行為を抱いた。二人はぐったりしていた。少し経って、風呂に入った。
「わ。・・・広いー・・・」二人。入っても、ゆうゆうだ。二人は、互に、シャンプーで。洗って挙げた。風呂から上がり。ベッドに潜り込んだ。
翌朝、九時に起きて、レストランに行った。朝食セットを頼んだ。
「順子。・・・タクシーで、熱海駅まで、送って、俺は、別荘に戻るから。」
「はい。・・・色々と。・・・有難う。」
「いいえ。・・・俺こそ。・・・この年にして。初めての体験。だったよ。お礼言うよ。」
ト言って。封筒をくれた。順子は遠慮した。
「良い。んだよ。・・・」順子は。甘えて貰った。ちょっと重く感じた。バックに入れた。十一時過ぎ、タクシーに乗って、熱海駅で順子だけ降りた。順子は、封筒を開けた。五万円入っていた。・・・驚いた。切符を買って、東京行きのホームに居た。新幹線。ひかり号だ。乗った。
「えー・・・」静かに出て走った。順子は思わず。
「え。・・・もう走っている・・・身体に抵抗なく、走った。」
「へー・・・凄い電車だ。・・・」初めての体験だ。順子は家に着いた。直ぐに寝た。疲れていた。初めてのセックスで、・・・変な気もちだ。翌朝九時に起きた。
「あー・・・大分疲れたな。・・・セックスの性かな。」一人で呟いていた。今週の土曜日に、プレジデントホテルに行く事に成って居る。シャワーを浴びて。支度をして三越に行った。相変わらず人が居る。靴売り場に言って靴を見ていた。こんなに、いろいろの靴が有る。迷っている。店員さんが来た。
「今の時間で靴を、買うには、少し、緩めが、宜しいかと。・・・何故ならば。足は、夕方に、腫れが出てきますので、・・・キツく。なりますから。」
「え。・・・そうですか。・・・」一緒に見て、合わせて、頂いた。
「はい。・・・良い様です。・・・」少し緩い感じ。でも決めた。五千円。今までの順子では、考えられない。値段だ。でも買えた。嬉しかった。帰りは、久しぶりにライオンに入った。いっぱいだ。生ハムサラダとビールを頼んだ。一時間位居て帰った。
十一月二四日。月曜日だ。仕事だ。六時に店を開けた。
「お早う。・・・」弘子達だ。店のお掃除に来た。
「ママ。七階してくるね。・・・三人。七階へ降りた。順子と弘子は。八階だ。
「あー。疲れた。終わったね。」皆でコーヒーを飲んでいた。
「もう寒く成って来たね。・・・」皆も、寒いと感じていた。
「ママね。今度部屋を、二つ借りて。二人。づつで、住んで居るの。」
「えー・・・良かったね。一人一部屋ね。」
「うん。・・・ママの御蔭で。・・・有難う。」
「皆、頑張ったからよ。」
「うん。・・・あれから。・・・男が。・・・」
「何よ。・・・あんた達。・・・男には気を付けて下さいよ。」そんな話をしていた。
「いらっしゃいませ。・・・何名様ですか。」ママが出た。
「六名です。初めて。なんですけれど。店の写真を見てきました。」
「え。ー写真ね。良い子が大勢いますので。」奥の三番テーブルにセットした。メニューを見せた。つまみ、サービス料込みで五千円。ボトルワインとヘネシー。レミーマルタン。一万五千円。ママは説明した。ワインとヘネシーを取ってくれた。とりあえず完敗した。女の子六人が就いた。
「どちらから、いらっしゃいました。」
「うん。新橋です。会社が新橋です。・・・」
「有難うございます。これからも御贔屓に。」
「入口の写真。・・・噂に成って居ますよ。・・・綺麗なホステス。ばかりだって。俺もそう、思った。」
「有難うございます。・・・どうぞお好みの方を、指名して、隣に・・・」それぞれ指名されて移動した。
「皆さんお似合いですね。・・・」ママも何気なく褒めた。ドアが開いた。ママが対応した。
「いらっしゃいませ。何名様ですか。・・・」
「二人です。・・・丸中証券さんから、紹介で来た。んです。・・・」
「はい。どうぞ。こちらへ。」二番テーブルに、セットした。女の子四人座った。ヘネシーを、頼まれて開けた。とりあえず完敗した。
「あのね。つまみが美味しい。て。・・・これですか。・・・」アワビとハマグリを食べていた。
「成る程。美味しい。・・・半生で、しっとりして。・・・」
「有難うございます。・・・まだ。余り流通していない。みたいですよ。・・・真空パックに成って、風味を凝縮してあるの。・・・」
「へー真空パック」お客さんも初めて食べたと言う。
「挿し使いなかったら。・・・お名刺など。」ママは自分の名刺を挙げた。
「あー。名刺か。・・・」ママが頂いた。事務機器製造卸問屋。「五島事務機」社長、五島誠。
「事務機器。・・・」
「はい。事務系機器。です。・・・家は、製造販売。して、居る。んですよ。家は計算機。コピー機。小型印刷機を改良する先端技術を持っています。役所関係をターゲットに、邁進しています。」
「えー・・・じゃコンピューター内蔵の事務用機器が。出てきますね。・・・コンピューターも、小型化に、世界が研究に取り組んでいる。と。聞きました。」
「えー。・・・ママさんは、情報が早いですね。・・・やっぱり銀座だ。」
「えー。家は。いろんな社長さんが見えるのよ。」
「そうですか。・・・此処は、何か情報が。いっぱい。有りそうな感じがしますね。」
「何かお力添え、出来れば、・・・どうぞこれからも宜しく。」今日は一五名ほどのお客だった。十一時だ。閉店。皆、解散した。順子も帰った。
※十一月二十九日。土曜日だ。
順子は、朝十時に、区役所に行って。住民票。戸籍謄本。印鑑証明書。を五通、取った。これから、使うかもしれないので。実印も、用意した。
頭取に電話した。出た。今日、夜十一時半に、プレジデントホテルに、行くと言う、連絡をした。ドアマンが居るから。その人に頭取の事を話せば、分かるようにして有ると言う。順子は、二十分前に、用事が有る。と。言って店を早く締め。ホテルに、タクシーで向かった。ドアマンが立って居た。根津頭取の事を話した。フロントに案内され。部屋のキーを貰って、エレベーターに乗った。十階、一号室。エレベーター降りて、出たら左へ、突き当りだ、ドアをコンコン。・・・出てきた。
「おーご苦労さん。・・・どうぞ。」案内された。
「えー・・・広いー・・・ソファーも大きい。・・・夜景が。・・・」
「どうですか。・・・気に入った。」
「もちろんですよー・・・銀座。赤坂。六本木。青山。遠くに羽田空港。」二人は、ソファーに、テーブルを挟んで体面に座った。
「食事。未だだろう。・・・頼んである。」根津は、コールした。直ぐ来ると言う。・・
「この部屋は、俺は直ぐ予約できる部屋だ。何日でも取れる。最高級の部屋だ。」
「へー・・・凄い。」料理が、ワゴン車で運ばれてきた。
「失礼します。・・・」テーブル、いっぱいになった。高級ワイン、ドンペリニヨン。二本。並べて、ボーイは出て行った。二人だ。
「えー・・・これ。美味しいの。・・・」順子は、知って居た。乾杯した。根津頭取は、書類を出した。並べた。
「順子。・・・書類持ってきた。」
「はい。・・・」全部。頭取に渡した。見ていた。
「此れから使うから。こんなに有る。んだ。・・・今日は一セットで。良いから。」頭取は、順子に、書類を説明しながら。箱根一町部と建物。軽井沢宅地と続かって傾斜山五町部。其れに現在のクラブ「JUN」の。ビルも。・・・順子と俺の名義にするよ。と言われた。
「えー・・・美江ママは。・・・」
「あ。・・・十一月いっぱいで。終わりだから。今度の支払いで終わり。ただで貸していた。んだよ。・・・十二月からは。順子の、ビルだ。・・・でも俺の名前も入っているよ。・・・全部二人の名義だからね。俺が死んだら。自動的に、順子一人のモノに成る。相続は要らない。と言う。事だ。」
「えー。・・・」順子は、書類を渡されて、見ていた。本当なのかしら。心を疑った。すると。
「月曜日に。順子と二人で、登記所に行くよ。・・・確かめた方が良いだろう。・・・食べながら。・・・飲みながら。話そうよ。」順子は、嬉しそうに飲んでいる。食べている。」頭取は、順子のしぐさを見て。惚れ惚れしている。
「良かったなー・・・順子に会えて。・・・これから。なんと呼ぶかな。二人。」
「えー・・・順子。でしょう。・・・パパ。・・・」
「パパは、無いでしょう。・・・二人の時は。良いけれど・・・皆の前では。根津さんで、良いかな。・・・」
「はい。・・・分かりました。・・・嬉しいー・・・」順子は。根津に覆いかぶさった。根津は、食事してからにしよう。と。囁いた。順子は、熱く興奮している。二人は飲んで食べている。根津も嬉しそうだ。夜中の二時だ。食事も済んで。二人はベッドインした。根津も七十才。近いが、順子の初心さに乗せられ、何年か、ぶりに。燃えていた。あくる朝。十一月三十日。
二人は、十時に起きた。シャワーを浴びて。パジャマに着替えて、ソファーに座って、いた。根津は。
「順子。俺の仕事の事だが。帝国証券。丸中証券。・・・この二社は、俺が半分。投資して有る会社だ。・・・それも順子の名義にするよ。・・・その子会社。フューチャー・ジャパン。大森部品。もそうだ。・・・先日、順子が社外役員に、推薦したことは、聞いた。其れに、スミダ・ケミカルの事も、知って居る。・・・順子の音頭で、アメリカの企業と取引が決まりそうだと聞いている。「ジャパン・ケミカル株式会社」と言う、名称にした。と言う。・・・だから、順子は。俺が相談役に推薦するよ。その方が、アメリカの企業は。遣りやすくなると思う。・・・何故ならば順子にも、決定権が有るから。もし。株式上場すれば、順子も儲かるし。此の会社が起動に乗れば、俺の仕事は、終わりにする。・・・後、二、三年だ。・・・そして、全て順子に挙げるよ。・・・俺は、元気なうちに、熱海の施設に入る。・・・その施設に、二億円。預けてあるので。百歳まで居られるのだが。その前に死ぬだろう。俺が死んだら順子のお母さんその施設に入れるよ。・・・金は間に合うはずだから。・・・最後の女は。順子だ。・・・順子も運が良いね。・・・俺も運が良かった。んだ。・・・子供の頃から・金に困ったことは、まったく知らない。慶応大学で、ラグビー三昧。・・・補欠で終わったけれど。・・・とにかく人数が多いから。選抜されるのは一握り、・・・でも楽しかった。・・・あ。其れに順子。金の使い方を、研究して。・・・絶対無駄金は使わない様に。・・・本来ならば、子供が欲しいけれど。もう駄目でしょう。・・・子供出来ても、楽に暮らせる。んだが。」
「えー・・・頑張りましょう。・・・パパ。・・・私は頑張れるけれど。・・・お医者さんに相談すれば。良い方法が、有るでしょう。・・・」根津は嬉しい。様だ。
「順子。お金は、絶対貸さないように。此れだけは約束してくれ。・・・返せない人が借りに来る。投資はその限りでは無い。でも五分五分だ。・・・若し投資するなら。大手企業。絶対倒産しない。其処の株を最低二十年。持っていれば損はしない。又。俺が生きているうちは。インサイダーで、儲けさして上げるから。・・・新会社設立の情報は。我々が一番早い。何故ならば、会社を設立する時。資本金と言う見せ金を、銀行に預けなければならない。例えば五〇〇万円。一か月間。・・・その資金の融資の相談が必ず来る。新日本銀行は、融資の手続きが、都内で一番簡単。なんですよ。何故なら俺が良い。て。言えば。即決融資。・・・他の銀行は、手続きが難しいし。故に時間がかかる。・・・家は、その代わり融資先の管理は完璧な情報を掴む。・・・一番貸しやすい人は。国家公務員の役付き。国会議員。大臣たちの保証人を付ければ。・・・特に良い。そんな関係から株の相談にも。俺が関わる事に成る。どんな大手企業の社長でも、新、設立会社の情報は、探すのが大変である。故に、俺の所に来る。
例えばだが。一株、一〇〇円で会社を創設させる。その会社を上場させる。
一〇〇円の株を。一人一万株買う。=百万円が必要だ。
その金を俺が貸す。代行は山本順子を通して。帝国証券がその株を管理する。と言う仕組みになって居る。
上場申請してから、審査結果が出るまで。約三か月かかる。その間の資金だ。
三か月後には、三倍五倍。企業の実績によって、異なる。何故か。株売買の金額が多い程。評価が高い。ので。五倍に成る可能性が有る。上場申請する前に。何百万株を売って、株主を増やして置く必要がある。
一人、一万株=百万。を百人に買わせる。=一億円に成る。するとこの会社は、一千万株の会社に成った実績が買われて。上場に載せられる時の。発表株は。五百円と言う結果に成る。
一株百円が、五百円に成った。・・・と言う事は、一人で十万株=百万円分買った。此の人は。五百万円に成ったので。四百万円の儲けになった。もともと順子を通して。俺が貸した、百万円だ。じゃ金利は、一ヶ月二割で貸す。審査が三か月掛ったので、三か月分の利子。六十万円は。俺と順子が取る。でも、五百万円から百万+六十万=百六十万円払っても。三百四十万円の利益になった。・・・名前だけ貸して、百万円借りて、三百四十万円の利益に成る。・・・これが上場、三か月前に買う。・・・これを、「インサイダー取引」と言う。・・・ただ会社関係者でないと、買えない。・・・けれども、貸せば利子が入るので。法律違反だが、俺は、此の計画を立てた。だから、のっかってくれる人を探す。手続きは、我々の方で遣る。名前だけ上げるだけ。ただ振り込みは、借りた人へ行くので。逃げられない人でないと。駄目だ。でも金は帝国証券を通して、入ってくるから。融資金額と利子を差し引いて払う。と言う結論だ。だから身分をしっかりした人。更に情報を漏らさない人。でないと。いけない。・・・分かったかな。順子。」
「えー・・・難しい。・・・一寸分からないことが有る。」
「そして。百六十万円から百万円引くと。六十万円が利子分となる。此れを二人で、三十万円。づつ。分ける。・・・これが結果だ。」
「えー。・・・私が、一人紹介すると、三十万円貰えるの。・・・」
「そうそう。・・・分かった。ジャン。・・・順子は、キレるよ。・・・分かったでしょう。・・・」
「何となく。・・・」
「此れは、当然、法律違反。に当たる。しかし。日本と言う国は。初めて作った法律には、抜け道が有る。従って、処罰は薄いですよ。・・・厳重注意で終わる。・・・インサイダーを、誰もが遣って、マスコミが騒ぐと。厳しくなり。罰則が科せられて、罰金とか懲役に成る。従って、誰も遣らないうちに、俺が遣る。・・・責任は俺が取るから、順子には、迷惑は掛からない。・・・俺は、今までも、危ない橋は、全て俺が渡り、解決している。・・・世間はそれを知って居るので、俺の存在が、有名になり。逆らう人が居ない。・・・でも俺は威張ったりしない。だから皆俺に就いて来る。・・・責任は、俺が取る。」
「えー・・・なんか。怖くなってきた。・・・」
「ま。・・・順子は。純粋だから、怖く成るのは当たり前だ・・・でも其れで良い。俺の言う通りに動いて居れば、おのずと金は入ってくる。
「そうか。その為に。国会議員。国家公務員。を。巻き込む。・・・でも部長以上か。・・・」
やっぱりパパは。頭良い。・・・凄い。・・・抜け道を考えないと。・・・成る程。」
「順子。十二月からは、順子の店に成るから、・・・国会議員の秘書を、俺が向けるよ。奴らは、選挙に成ると、半年前から、資金集めに歩く。・・・これが通例だから、必ず参加するよ。・・・言葉が悪いけれど。実際の事だから。心配するな。・・・あの人たちは金の猛者。だから。・・・金が無い議員は、皆から相手にされない。胸を張って歩けない。・・・」
「分かりました。・・・十二月一日は、給料日なの、・・・美江ママと会うので。」
「あ。そうか。・・・俺が電話して置くよ。・・・」
「お願いします。・・・」順子は、腰を低くしていた。
「へー・・・でも、返せない企業も出て来るでしょう。・・・」
「それは。有る。・・・でも俺の特別な手段が有る。此れは社員でも教えない。俺自身が出て行く。・・・俺は必ず解決する。だから皆は。俺を怖がっている。」
「分かりました。今言われた事は必ず守ります。お金は絶対、貸さない。大手企業に二十年投資する。・・・ですね。」
「そうだ。・・・」根津は、顔を洗ったとき、風呂にお湯を溜めて置いた。ので、風呂に行った。
「順子。風呂湧いているから、一緒に入ろう。」と誘った。順子も来て一緒に入った。・・・これも久しぶりだ。・・・根津は大分若返った気持ちだ。順子の背中を洗ってあげた。順子も、他人に身体を洗って貰うのは、初めてだ。順子も根津の背中を洗ってあげた。すると根津は。元気を出した。暫くぶりに風呂で燃えた。
二人は風呂を上がって身支度を整えて。最上階のレストランに行った。赤坂。六本木を見えるテーブルに座った。ワインとステーキセットを頼んだ。ワインは直ぐ来た。乾杯した。
「あの辺りが俺の住んで居るマンションだよ。神谷町だ。俺の部屋は、古いから。何十年も住んで居る。・・・どっちかと言うと。ホテル泊りの方が、多いから、家に帰って居ない。・・・だから、肌着は、十セット位持って歩いている。・・・ワイシャツは、ホテルで、クリーニングに出してくれる。一日で仕上げて来る。」
「えー。そう。なんですか。」料理が来た。分厚いステーキだ。五センチ位有る。
「パパ。此れ。厚い。ずぎない。」
「厚いけれど。柔らかいから、食べてごらん。」
「あー。本当だ。・・・初めてだ。・・・美味しい。・・・美味しいね。・・・」根津も嬉しい。順子の顔見ていると。気分が良い。
「順子さ。・・・順子と居ると。長生きしそうだな。・・・」
「えー。長生きしてくださいよ。・・・百まで。」
「うん。・・・でも仕事は七十で、終わることにした。・・・よれよれの姿は、今までの知人には、見せたくない。俺の真骨頂だ。・・・施設に入ったら。時々来てくれよ。」
「えー。・・・まだ大丈夫ですよ。・・・パパ。」二人は何年も付き合っているみたいに、打ち解けている。順子も、今晩泊って、明日が楽しみだ。二人は食事を終えて。部屋に戻った。ソファーに座った。すると順子は。服を脱いで。リビングで、ハイレグのスキャンテ。一枚に成り。体操のポーズを取り始めた。
「パパ。・・・見ていて。」柔らかいポーズだ。逆立ち宙返り、又割り。倒立して足を広げる。ハイレグだから尻の穴が見える。根津も興奮している。
「はあー・・・たまにやると疲れます。・・・本当は、毎日、一時間位。此のポーズを遣らないと。直ぐ訛っちゃうの。・・・これを維持して行かないと。寂しくなる感じがする。」
「そうか。・・・それは大変ですね。・・・維持していく。・・・これは続けた方が、良いと、思うね。・・・此のポーズを見せたら。どんな男でも。いちころ。だよ。順子」
「そうー。・・・叔母さんに成っても。・・・大丈夫かな。・・・」
「それは大丈夫だよ。・・・叔母さんで。今のポーズ、出来たら。男が群がって、くるよ。叔母さんで出来る人は。絶対いない。聞いた事が無い。
「よし・・・八十歳まで。キープしよう。・・・ハハハハハ。」
※十一月三十日。月曜日。
順子と根津は。朝。八時に起きた。シャワーを浴びて、支度して、レストランで食事をして。タクシーで、法務局に行って、手続きを終えた。銀座の喫茶店に入り、根津は、美江ママに電話した。今日の夜。開店前にお店に来て、順子に話をする。と言う。根津は今。順子と居ることは、話さなかった。
「美江が、順子に話すと言って居るから。・・・安心して、今まで通りに。していれば、疑われずに進むよ。」
「はい。有難う。・・・今度いつ会えますか。・・・」
「うん。・・・そうか。帝国証券の堤と店に行くか。その時、ジャパン、ケミカルの話をしよう。この会社を上場して、後は。五社ぐらい、探そう。」
「はい。宜しくお願いします。・・・」順子は、深々と頭を下げた。
「あ。・・・最後に、二人の事は、誰にも話していないから。自然に分かるまで、秘密にしておきましょう。」と言って。根津は先に帰った。順子は時計を見た。一二時か。お昼は要らないので、散歩しながら、部屋に帰った。ソファーに座った。
「あー・・・疲れた。・・・こんなに疲れたの。生まれて初めてだ。・・・でも、こんなに順調に進む何て。夢みたい。・・・今夜で、全てが私の。上り詰める。一段目のステップに成る。・・・もう。十二月だ。・・・今年の正月は、田舎に帰って、お母さんと会いたい。弟。妹二人。此の調子で行けば。三人を東京の大学に上げて遣りたい。もっともっと、勉強するように、伝えよう。順子は、目覚ましを四時にかけて。寝た。
※十二月一日。
リリリリ。目覚ましで起きた。シャワーを浴びて、支度して、お店に、歩いて行った。美江ママが来ていた。
「あら。お元気なようですね。・・・」
「はい。・・・今月の分。整理して有りますので。」帳簿を渡した。
「はい。ご苦労様です。えー・・・こんなに有りました。」
「はい。三百万円です。・・・」
「何時ね。・・・お給料の分。一人、二十五日×二〇〇〇円=五万円。二十人×五万円で=百万円。お手当・一人五千円で。プラス十万円お手当で。六十万円で。残=二百四十万円です・・・順子さんの分。・・・」
「え。・・・ママに任せます。」
「本当。・・・この店ね。今月で、契約切れで。・・・終わりなの。・・・聞いているでしょう。・・・」順子は、何と答えたら。・・・迷って居る。・・・
「え。・・・麗さんに、ちょっと。」
「新日本銀行頭取の。建物なの、内装も全て頭取が造ってくれていたの。・・・だから。有難かった。麗さんも知って居るの。・・・何となく寂しい。・・・でも。此れが私の引き際。かな。て。考えると。心残りは無い。んです。・・・順子さんが来てから、こんなに沢山。稼いで頂いて、何と申し上げたら良いか。・・・麗さんとの出会いが。きっかけで。私達二人は。・・・ずーと。楽しく過ごしてきたの。・・・引き際も、大事だから。どうぞ。順子さんの成功を祈って居ますので。頑張ってね。・・・これは、今までの、御礼ですので。受け取ってください。・・・二十万円入っています。」封筒を渡された。
「えー・・・こんなに頂いて。・・・」
「良い。んです。受け取ってください。・・・それと近いうちに。麗さんと三人で、ライオンで会いましょう。お昼しましょう。」
「はい分かりました。・・・」美江ママは帰った。ゾロゾロ入って来た。女の子達だ。
「皆さんお給料を支払います。・・・」皆に封筒を渡した。一人。五万五千円。
「えー・・・ママ。こんなに、頂いて、良いの。」
「良いのよ。皆さんが、頑張った。んだから。・・・」
「有難う。・・・」皆。喜んでいた。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか。」ママが出た。
「あら。いらっしゃい。」一人で来た。テレビの芸能営業の佐藤さんだ。真ん中の二番テーブルにセットした。ボトルを出して、取り敢えず乾杯した。
「今日は。良い事有りました。・・・」
「うん。・・・もう、十二月ですよ。ママ。早いもので。其れで、お店の一年を振り返って。少し早いけれど。そんな話をしたくて。ママと。」
「えー・・・一寸。気が早くない。・・・」
「だから・・・早いけれど。て。言ったでしょう。・・・」
「良い事ばっかりでした。・・・家は。・・・アメリカのバスケット。バレーボールとバスケットボーの選手たちが、来てくれて。・・・お金を落としてくれて。」
「え。・・・それ。聞いていないよ。僕。・・・」
「えー。知って居たでしょう。皆に伝えたはずよ。・・・」
「知らなかった。・・・俺も来たかったな。・・・取材に。・・・絶好のチャンスだったのに。・・・ママ。」
「早く言ってくれれば。招待したのに。・・・」すると、店のドアが開いた。ママが出た。
「いらっしゃいませ。何名様ですか。」すると。
「日本テレビの佐藤と言う記者が、来て居ると。思う。んだが。」
「あー。先生。ご苦労さんです。こちらへどうぞ。」芸能部の人が。テーブルに招いた。
「ママ。紹介します。芸能界の重鎮。渡辺プロダクションの社長です。」
「初めまして。渡辺です。」名刺を交換した。
「へー・・・テレビに大勢。出演なさっている。歌手たちが、所属している。・・・」
「そうです。え。・・・ご苦労様です。・・・改めて、・・・初めまして。順子と申します。どうぞ今後とも御贔屓にお願い申し上げます。」順子は全員集めた。
「入口の写真見てきたが。皆さん美人ですね。」
「有難うございます。・・・皆。芸能界の方よ。・・・楽しいお話聞かれそう。」
「えー。聞いた事有る。・・・ナベプロ。でしょう。・・・通称。・・・素晴らしい。・・私どうかしら。・・・」ポーズをとった。
「駄目よ。・・・東北、訛りは。・・・直ってから。・・・」
「え。直らねーよ。・・・」賑やかに過ぎていた。十時だ。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。・・・」頭取だ。
「あら。どうぞ。こちらへ。」奥の三番テーブルに、案内した。帝国証券の社長と二人だ。ボトルとつまみを用意して、座った。
「頭取。・・・ちょっと、挨拶してきますから。」ママは、二番テーブルに、お客対応の旨を話して。三番テーブルに、戻った。
「今ね。ナベプロの社長さんが、見えているの。」
「えー。・・・知って居るよ。・・・でも今日は。・・・」根津頭取が言った。とりあえず。乾杯した。頭取が。
「ママ。堤社長と来たのは。ジャパン、ケミカルの事で。以前にも二人で、話していたのだが。アメリカとの関係も、ママの紹介だから、今後の為にも、相談役に格上げしては。と。俺から話したのだが。・・・どうかね。・・・ママの意向も聞かないと。」
「え。堤社長さえ、良かったら。・・・私は、良いですけれど。・・・でも、鈴木社長の。承諾は、良い。んですか。」
「あ。・・・そうか。其れは私が話して、今日、書類を持って来ましたので、・・・この書類です。」順子は書類を見た。
「はい分かりました。」順子は、了解した。そして堤社長は、
「はい。私は、根津頭取の考えに、依存は有りません。・・・お願いします。」
「よし。・・・ママ・・・それで、良いでしょう。」
「はい。有難うございます。これからも宜しくお願いします。」
「この前、言っておいた。書類。取ってありますか。ママ。」
「あ。はい。」飾り棚の引き出しから。書類。謄本。印鑑証明書。住民票。実印を出してきた。
「おーママ。・・・準備万端で。・・・」
「はい。・・・これで宜しいでしょうか。」
「大丈夫です。明日にでも、鈴木社長に伝えて。この書類を渡します。」堤社長は、根津の前で、書類に実印を押して、二通作り。一通。づつ。持ち帰る。
「有難うございます。勉強しますので、宜しくお願いします。」
「はい。改めて乾杯。」根津頭取の乾杯で。安心した。
「此れでアメリカとの連絡待ちで。・・・宜しいかな。・・・堤社長。」
「はい。そうですね。順子相談役に、先方の連絡をお願いします。」
「はい。分かりました。・・・今、アメリカに電話してみます。・・・午後三時。位かな。」順子は。電話した。英語でスティーブン、ジョンさんを指名した。
「ハロー順子です。・・・ジョンさん。・・・今ですね。・・・ジャパン、ケミカルの、幹部達と、有って居ます。書類が整ったので、アメリカに研修に行きたいと言う。話になりまして。・・・貴社のご都合は、如何でしょうか。」
「はい。私どもはいつでも歓迎です。・・・土曜日。日曜日以外でしたら。何時でも対応します。・・・宜しく。」
「土曜日。日曜日。以外は、いつでも対応出来ています。と。言う、回答です。」
「そうか。・・・分かりました。鈴木社長と連絡を取って。日時を決めます。パスポートは、前日取りました。・・・相談役は。」
「え。パスポート。・・・有りません。・・・」
「じゃ。明日、申請すれば。・・・アメリカ領事館の方が、早いかな。」
「はい。分かりました。・・・明日行きます。」
「あー・・・良かった。・・・心配していたよ。・・・じゃ。上場の準備に取り掛かります。・・・そっちの方は、俺に任せて下さい。・・・とりあえず、落着。ママはナベプロの社長が帰るので、席を外した。
「どうもご来店、有難うございました。何もおかまえ出来なくて、ごめんなさい。」
社長は又来る。と言って、帰った。
「そろそろ俺達も帰るか。」頭取が言って。二人も帰った。順子たちも店を閉めて帰った。順子は、パスポートの事が、気がかりだ。・・・久しぶりに寿司屋へ入った。
「いらっしゃいー・・・・あ。どうぞ。」
「暫く。です。・・・でも無かった。」何時もので。大体分かって居るので、直ぐに出て来るのが、嬉しい。
「嬉しいですね。・・・常連は。・・・直ぐ出てきますから。」喉が渇いているので、ビールを頼んだ。
「あー・・・・美味しい。・・・まずはビールか。」
「順子ママ。綺麗になったみたいだよ。」するとママが。
「恋している。んじゃない。・・・女は、分かりますよ。・・・」
「えー・・・ママ。見破られました。・・・本当に分かるの。」
「分かります。・・・私は。百%。・・・」
「じゃ。お祝いに、大トロ一個、サービスです。・・・」
「えー・・・有難う。・・・う。何時ものと違う感じ。・・・」
「有難う。・・・分かって頂いて。・・・良かった。・・・最高の部位。大マグロ一匹で。百グラム。取れるか、取れないかの、部位です。・・・それ一個で終わりです。ママは、運が良いてすね。・・・後。何か月後。ですよ。・・・市場で分け合って頂く。んですよ。・・・順番で。」
「えー・・・本当。・・・やっぱりあの人の運。なんです。・・・もの凄い。運の持ち主と、出会ったの。・・・お店に出て。一番。最初に、私の脇に座った人。」
ママが。
「えー・・・有る。んですね。たまに聞くけれど。・・・ドラマね、順子さん。・・・私も、あやかりたいわ。・・・でもね。この年じゃ。」
「おいおい。此処に居るじゃないか。・・・あやかりたい人。」息子が笑っていた。
「でも寒いね、ママ。・・・明日から十二月ね。・・・」
「家も忘年会の予約が、ボチボチ来ています。・・・順子ママが来る時間は、誰も居ないですから。空いていますよ。・・・どうですか。忘年会の予約は。」
「えー・・・家は、どうでしょう。・・・初めてで分からないですね。」
「どっちかと言えば、幹部達の二次会かな。・・・」
「でしょうね。・・・悪いけれど社員のお給料じゃ。来れ、ないです。」
「そうか。・・・そうですね。」
「でも良い社長さんばかり、来てくれて、助かっているの。よ。・・・企業の在り方とか、何を造れば売れるとか。投資に湧いている人達、ばかりです。」
「投資。・・・どの会社が良いか、分からないからね。投資のしようがない。・・・我々には。・・・」
「そうです。・・・以前大阪の人が言って居ましたね。・・・此処で。其の通りでしたね。でもね。マスター。新会社設立情報を、持っている人が。現れたの、家の店に。」
「へー。じゃ。その人に聞けば、この会社が良いとか、悪いとか。分かる。んですか。」
「そう言う事。なんです。・・・ちょこちょこ来る。と言って居ました。」
「そうか。やっぱり情報をいち早く掴んだ人が、儲かることに成る。て。事か。」
「色んな人が。来ますので、じっくり聞いてみましょう。」
精算して順子は帰った。遠、周りだが。防犯灯のついて居る道を通って帰る。
順子はすぐ寝た。次の朝。九時半。アメリカ領事館に電話して、パスブートの申請の仕方を聞いた。東京都の観光課に行って下さいと教えられ、都庁に行って手続きを済ませた。難しくて。三時頃まで係った。一〇日で発行できると言われ。済ませた。根津頭取に電話した。
「もしもし。パパ。今日パスポート申請してきました。十日後に発行されますので、ジャパン、ケミカルの社長達と、アメリカに行く日を決めて頂ければ。・・・」
「あ。そう。じゃ相談して、鈴木社長を、店に行く様にする。」
「お願いします。・・・」順子はライオンで、夕食を済まして、店まで歩いて行った。弘子達も来た。皆で掃除を済ませた。
「弘子さん。・・・今日から、七階と八階の店。私が経営者に成りましたので。皆に伝えてください。・・・お願いね。」
「え。・・・本当。・・・美江ママは、もう来ないの。」
「そうです。・・・七階は、今まで通り、弘子さんに任せますね。そして、店閉めた時。全部精算して、八階に持ってきてください。・・・お願いね。」
「はい。分かりました。」
「あ。其れから、飲み物とつまみの、在庫のチェック、して、報告をお願いします。欠品に成らないように。ね。」
「はい。分かりました。」七階と八階に分かれた。女の子。全員来た
もう。十二月一日だ。順子は、日々が過ぎるのを早く感じていた。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。・・・何名様でしょうか。」
「六名です。・・・」一番テーブルに、セットした。六人が座った。
「初めてでしょうか。・・・」
「あ。・・・えーと、城南開発の、社員です。本田と申します。」名刺を交換した。
「実は。・・・忘年会の事で。相談に来ました。」
「えー。有難うございます。」女の子達が、ボトルを用意した。
一番テーブルです。女子達。一〇名座った。
「おー・・・写真の実物だ。皆背が高くて。銀座に合いますね。」
ママと本田が、隣のテーブルで、話をしていた。
「えーと。工務店の社長さん。で。一五名です。貸し切りで。と言う。・・・家の社長からのメッセージです。・・・予算を。決めて来い。と言う。事です。」
「はい。分かりました。・・・一五名さん。えー・・・と。ドンペリニヨン二本。ヘネシー四本。つまみ食べ放題。お寿司。大桶三個。=十八万円で。如何でしょうか。」
「はい。・・・分かりました。・・・大丈夫です。僕が幹事です。宜しくお願い致します。」
「はい。分かりました。八階で。・・よろしくお願いします。」決まった。二人は席に座った。
「ママ。ですか。・・・こんなに美人揃いで。・・・幹事。高いでしょう・・・」
「はい。ま。其れなりに。・・・工務店の社長さん達だから、今後の事も有るし。こんなに美人のクラブで、びっくりするでしょう。・・・社長達。・・・あ。失礼しました日時を決めるの。忘れていた。・・・ママの性だ。上がっちゃって。・・・十四日。月曜日七時からで、・・・」
「はい。大丈夫です。まだ誰も決めて居ないですから。宜しくお願いします。」
忘年会。一社。決まり。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。」
「二人です。」二番テーブルに、セットした。女の子三人座った。
「初めてでしょうか。・・・」
「はい。初めてです。噂を聞いて。・・・ドアの写真。見ました。評判。なんですよ。ナイトクラブ。JUN」・・・」
「有難うございます。」メニューを説明した。ヘネシー一本。ボトルで。つまみも出した。ホタテ。アワビ。とり貝。ハマグリ。
「え。此れ美味しいね。」
「有難うございます。」
「此れって。蒸したの。・・・」
「はい。現地の市場で活きた儘。蒸して、真空パックされて、とても新鮮な、貝です。」
「へー・・・見た事無い。聞いた事無い。・・・凄く美味しい。」
「はい。まだ。多くは、出回っていない。みたいです。」
「差し支えなかったら。お仕事等。・・・」
「あ。・・・証券会社です。・・・社員です。・・・赤坂の。」
「はい。分かります。・・・山一さん。」
「だよね。赤坂の証券会社。・・・家しかないから。・・・悪いこと出来ないね。」
「どうですか。高度成長期で。・・・」
「動いて居ますね。・・・固定相場制だから。アメリカと付き合えば。儲かりますよ。日本で製造すれば、奴らは。儲け放題だよ。一ドル=三六〇円。・・だから、アメリカに行くには。飛行機運賃が、高いから。・・・これがネックだ。片道だけでもアメリカで出してくれれば、ま。良いか。て。感じだね。」
「えー・・・幾らですか。飛行機料金。」
「うん。四十万円から五十万円。位でしょう。」
「えー・・・そんなに。・・・」
「だから。アメリカで往復買うと、安いですよ。・・・円安だから。・・・でもね。ママ、日本からの輸出は、高いですよ。儲かりますよ。・・・だからアメリカ人は、日本人の安い給料で造らせて、アメリカに運ぶ。・・・これ。輸出じゃないから。日本では儲からない。・・・だから。何かを発明して。アメリカに売るなら。凄く儲かりますよ。・何か発明して。特許を取れば。必ず儲かる。」
「え。・・・そうですか。まだまだ。其の相場制とやらは。続く。んですか。」
「これが、難しい。・・・発明でなくても、マネして改良して、技術を売れば、儲かるね。・・・中小企業。町工場の、技術の持っている人を探して、アメリカの部品を改良する。・・・これしか無い。・・・発明は無理でしょう。」
「えー・・・これからコンピューターを。小型化しようと、世界中が、開発している。と。聞いていますが。」順子は、知らないふりをしている。
「えー・・・ママ。情報が早いね。」
「え。・・・新聞見たの。日本経済新聞。」
「そうか。流石。日経。読んでいる。・・・銀座だな。」大分感心して居る様だ。此の儘。ジョンさんと。共同企業体に成れば。見通しは、明るくなる。・・・そして。部品の改良だ。日本人の勤勉さを、生かせば、改良は可能かと、感じる。順子は、閃いた。
閉店なので、城南開発の本田さんが精算しに来た。そしてママは、本田様に、五千円を封筒に入れて、お店を指名して頂いた御礼です。と言って、差し出した。
「え。・・・」
「良いの。受け取ってください」ママは、・・・渡した。受け取ってくれた。
皆さん精算して帰った。順子たちも帰った。
※十二月二日。
六時に店に行った。弘子達も来た。そうじを終えてコーヒーを飲んでいた。
「お早う・・・」鈴木社長と三人が来た。
「あら。お早いこと・・・」ママが対応した。
「じゃ。奥の三番テーブルで」四人が座った。女の子が、飲み物をセットしてくれて取り敢えず乾杯した。
「初めに。山本順子様。家の相談役、歓迎します。・・・そして、・・・アメリカ、研修の事で進めたい。んだが。・・・我々三人と技術部三人。が。内定しました。其れに相談役も、計六名で行きたい。んだが。どうでしょうか。」
「はい。・・・あ。どうぞ、飲みながら。・・・それで、私も考えましたが。私は行かなくても良いのでは。・・・と思います。と言う事は、仕事の事は、無知なので。」
「はい。・・・ジョン社長は。日本語、話せるでしょう。」
「パスポートは、申請して。十日後に発行するそうです。・・・でも先程のように。私は行かなくても。・・・と。考えます。」
「そうですか。相談役が良いなら。・・・私達だけで。」
「そうすれば。ロサンゼルス空港で。待ち合わせで。宜しいですね。」
「えー。日本航空。○○便で到着。が。分かればおのずと、出口も分かるでしょうから。其処で待っていただければ。・・・ジョン社長に連絡します。日時がハッキリすれば。」
「それ。なんだが。・・・来週七日。月曜日。から三泊四日で。・・・時間は旅行社に行って。手続きすれば。はっきりわかります。其れにホテル。なんですが。」
「そうね・・・分かった時。私に電話いただければ。ジョンさんに伝えます。・・・ホテルもお願い、しましょう。」
「ご苦労掛けます。・・・相談役。」
「何か。トントン拍子ですね。・・・私は、良く分からないけれど。日本に機械。とか。設備を造ってくれるでしょう。・・・建物は、鈴木社長の工場を使用できる。」
「はい。工場は、広いから大丈夫です。・・・どのぐらいの。大きな。機材。か。アメリカへ行けば直ぐ、分かります。・・・工場は大丈夫です。」
「今。電話します。」順子は。アメリカへ電話している。
「ハロー。ジャパン順子。・・・ジョンさん。が出た。ジャパン、ケミカルが、六人で、十二月七日。ロサンゼルスに、行きたい。と言って、居ますが。ジョンさんの、御都合は、如何ですか。」
「えー・・・調べます。・・・十二月七日。月曜日。・・・分かりました。ロスアンゼルス空港。・・○○便か。教えて下さい。」
「はい。お願いします。・・・後です。ね。ホテルを取って頂きたいのです。六名様。」
「おー・・・オーケイ。」
「はい。・・・分かりました。・・・大丈夫です。て。・・・ホテルも。・・・後は飛行機の時間だけね。・・・出来れば、月曜日の朝。到着の、便が有れば、良いと思います。」
「そうですね。・・・分かりました。探します。・・・これから相談役の。呼び名を、順子さん。で。・・・宜しいでしょうか。」
「あ。・・・はい・・・良い。じゅない。でも呼びづらく無いですかー・・・」
「私どもは。大丈夫です。・・・順子さん。」
「ほら・・・順子さん。」皆で笑った。鈴木社長が。
「順子さん。この仕事は、まだ日本でだれも遣って居ない仕事だから。夢が有りますよ。家の若い社員たちが。待ち遠しがって。居る。んです。」
「そうですか。・・・私には、チンプンカンプンです。・・・でも、日本人の器用さを発揮して。改良しながら。・・・ほら。ソニートランジスターラジオ。みたいに。・・・出来るでしょう社長。」
「その細かい仕事が、家の、売り。なんです。若い社員が、開発してくれると、思います。・・・」
「そう願いましょう。皆で。」順子は、嬉しかった。そして、行かなくて済んだ。まだ会社に、シャシャリ、出るのは、早いと感じたからだ。此れが順子の、勘の切れどころだ。もう九時か。順子は。
「皆さん。これからどうされます。・・・」
「誰も今日は。此処で終わりです。」
「そうですか。・・・一寸、待ってね。」順子は、お寿司屋に、電話しに行った。特上。五人前。お店に届けて。下さい。・・・直ぐ来ると言う。
「今。お寿司。取ったから。少々お待ちください。」皆で雑談に成った。やはりオリンピックの話だ。
「俺は、柔道が。可哀そうだった。猪熊。応援して居た。んだが。巨大な像が被さりやがって。・・・柔道じゃ無いよ。ね。」
「そう。皆言って居るよ。・・・寝技と言えば、寝技かもしれないが。」
「でも今までにない。参加国が。九四カ国かな。・・・多かったよ。」
「聞いた。・・・オリンピック関連投資金額。相乗効果で動いた金。一兆円を超えた。此れを引き連れば。これから、景気上昇でしょう。・・・期待して頑張りましょう。」
「あら。お寿司が届きました。・・・どうぞ食べて下さい。」
「おー。俺達。まだ夕飯、食べて居なかったから。・・・美味しいね。・・・何処の。」
「はい。築地です。私の行きつけのお寿司店。です。」
「えー。美味しい。」大事な話なので、女の子達は居ない。ママもちょっと、食べていた。
「順子さん。これから、まだまだ相談に参加して頂きたいので。・・・此処の三番テーブルで、宜しいですか。」
「あ。はい。・・・社長達が良ければ。大丈夫です。」
「じゃ。又来ますので。・・・一人一万円会費に、して頂いて、宜しいですか。」
「そうね。・・・そうして頂ければ。助かります。・・・今日のお寿司は、私の奢りです。じゃ。三万円で。」三人は帰った。順子は七階に、行ってみた。
「あら。弘子さん賑わっていますね。・・・一寸見に来ただけ。帰ります。」
たまに七階を視察することが有る。中までは入らない。もう閉店時間だ。解散した。順子は、寿司屋へ精算しながら入った。
「お早うー・・・今日は、有難う。・・・」
「はい。こちらこそ。五人前も。」
「知っている方が来て、夕食食べていない。て。言うから。・・・真か。ラーメンは取れないでしょう。・・・冗談よ。お寿司の方が美味しいから。・・・ワイン。ボトルである。私の。」
「あ。・・・もう底見えています。」
「じゃ入れてください。一本。」順子は。気分が良い。少し食べて精算して帰った。直ぐ寝た。
リリリリ。電話が鳴った。起きた。十時だ。寝坊したようだ。
「はい。順子。私。麗華。・・・美江ママから電話来て、良かったら、ライオンで、順子さんと三人で、会いませんか。て。・・・どー。ご都合。」
「はい。大丈夫です。・・・空いています。・・・じゃ。支度して行きます。」順子は寝坊していた。十時か。ビックリした。・・・シャワーを浴びて、化粧して、家を出て歩いた。
「順子さん。・・・美江ママが見えた。麗さんも居た。」三人で店に入った。
「今日は。私に奢らせてね。」美江ママは、張り切っている。何かあったのかな。
「はい。取り敢えず。乾杯。・・・」三人は暫くぶりだ。
「麗さん。・・・順子さんにお世話になりました。・・・色々とご苦労掛けて。」
「そうね。順子も、美江ママと会って、良かったね。・・・でも。これからが大変よ。」
「はい。・・・私の方こそ有難う。ママに色々教えられて。此処まで来たの。・・・まだまだ勉強しなくちゃ。いけないし。・・・たまにこうして、会えるなら、嬉しいです。」
「私達も何か、趣味を見つけて、身体を動かさないと駄目ね。」
「そうね。・・・トレーニングセンターに、通いますか。二人で。・・・これから流行るみたいよ。無理しないで遣れば。大丈夫でしょう。」二人は老後の事を話すようになった。でもまだまだ。若く、見える。順子は。二人に様々な相談をすることにしている。二時だ。・・・ライオンを出て、三人は分かれた。順子と麗さんは、三越に入った。麗さんは、化粧品を買いたいものが有る。ので。化粧品売り場に行った。順子も見ている。・・・二人で少し買った。麗さんは、タクシーで帰った。順子は、歩いて帰った。疲れて少し。ソファーに横になった。
そして二日後。
※十二月四日。朝十時。鈴木社長から電話が有った。
「もしもし鈴木だけど。・・・切符を買いました。十二月七日。アメリカ時刻。午前十時。ロサンゼルス空港に着きます。日本航空。五四五便です。・・・宜しくお伝下さい。」
「はい。ご苦労様でした。・・・直ぐ伝えておきます。」順子は、メモした。でも、時差が十六時間あるので、よる十時頃電話しよう。順子はシャワーを浴びて、化粧して支度して。散歩がてら。出かけた。此処が資生堂か、・・・千疋屋に入った。三階レストラン。コーヒーと、スパゲティーを頼んだ。結構流行っている。此処は他のレストランより。値段が高い。でも、入っている。東京は女将持ちが多い。ですね。スパゲティーが来た。美味しそうだ。コーヒーも来た。・・・やっぱり美味しい。店の造りが、高級感が有るから、商品も高給に見える。のかな。店を出てフラフラ歩いた。身支度も皆さん違う。何となく、都会風だ。・・・皆歩くのが早い。忙しいのかな。
店に着いた。弘子たちも来た。
「お早う。ママ。・・・」
「お早う。早いじゃない。今日は。」
「はい。・・・何となく早く来ちゃった。」皆で掃除をした。八階でコーヒーを飲んで居る。
「もう。一二月で、お正月ね。・・・皆さん田舎に帰るの。・・・」
「えー・・・帰らない。・・・」
「お店。ね。二九日から一月四日までお休みね。・・・五日は、三時頃来て、皆さんにお寿司をご馳走します。・・・弘子さん皆に伝えてください。・・・まだ早いけれど。そのような計画をたてて。降りますので。」
「はい。・・・分かりました。」それでは、それぞれ。・・・別れた。リリリリ。電話が鳴った。
「もしもし。はい。パパ。・・・そうですか。九時ですね。・・・待って居ます。」根津が、一人で来ると言っている。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。」
「十名です。・・・新橋ケミカルです。」
「あ。・・・どうぞこちら。一番テーブルへ。二番テーブルと。並べた。」女の子全員で、セットした。ボトルを出した。取り敢えず乾杯。
「ママ。今日は、家は忘年会なの。・・・早くやらないと。混むでしょう。」
「えー。それにしても・早いですね。・・・黒沢社長。さん。・・・」
「お。覚えて、いてくれた。流石、ママ。・・・一回、来ただけで、何時だったか」
「六月頃かな。・・・鈴木社長とは会って居ますか。・・・」
「会っています。二日前かな。近、近。アメリカに行くって、言って居ました。・・・順子ママが、ジャパン、ケミカルの、相談役に成った。て。・・・僕とは通だから。」
「え。そう。なんですか。・・・お世話に成ります。」
「でも社長は、褒めて居ましたよ。ママを、中々切れる人だ。て。」
「えー。私より皆さんの方が、素晴らしい人達。ばかりで。・・・ま。頑張ります。」
「家も、お願いしますよ。ママ。・・・株の事で、詳しい方。知りませんか。ママの顔で。」
「中々、・・・皆さんの方が詳しいでしょう。」周りの社員たちは。大騒ぎで飲んでいる。
「皆。無くなったら。頼んで良いよ。・・・あ。そうだママ。お寿司取ってもらえないかな。・・・」
「え。良いですよ。頼めば直ぐきます。・・・一皿。大で、五人分入って、千円から千五百円です。・・・じゃ。二鉢で。」ママは寿司屋へ電話した、
「直ぐ来ると言って居ました。」社長は気分良い様だ。
「皆。今。寿司取ったから。ジャンジャン、飲んで。
「社長。・・・太っ腹・・・」社員たちも喜んでいる。四十分で届いた。女の子達が、寿司を並べた。
「おー美味しそうだ。」皆喜んで食べたり飲んだり。賑やかだ。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。・・・どうぞ。」奥の三番テーブルにセットした。根津頭取は座った。女の子達は、座らないように言ってあるので二人だけだ。
「小林から連絡来たでしょう。」
「はい。アメリカにも連絡しました。十二月七日月曜日。ロサンゼルス空港に、朝九時に着くそうです。・・・ジョンさんが、出迎えると、言って居ました。
「来週の月曜日か。・・・早かったね。順子。」
「はい。・・・アメリカでも急いで居るみたいですね。」
「そうか。・・・うまく行くでしょう。・・・それから。今晩さ。プレジデントホテルに来てよ。この前の部屋。借りて有るから。其れで明日と明後日。休めないかな。と言うのは。軽井沢に行きたい。んですよ。雪が降ると、行けなくなるから。・・・急で申し訳ない。けれど。・・・」
「そうですか。・・・大丈夫でしょう。任せられる女の子が。居ますから。・・・」
「十二時前には、着くでしょう。・・・タクシーで。来れば。明日は。ハイヤーを頼んであるから。アメ車でキャデラック。で行きます。着替えは、良いでしょう。もし肌着を替えるなら。軽井沢にも店が有りますから。俺も、肌着は、そこで買っているよ。」
「あ。そうですか。・・・分かりました。」根津は帰った。ママは。忘年会の、席に参加した。忘年会は賑やかに終わった。社長が精算した。
「十一万三千円です。・・・」
「あ。そうですか。」財布を出して。十二万円。出した。おつりは要らない。と。言って。取らなかった。今日は此れで、閉店にした。弘子を呼んで。明日。ママが、急用で、居ないので。弘子にお店を頼んで。鍵を渡した。
「え。・・・ママ。休みですか。」
「そう。なんです。急に・・・お願いね。・・・お金は、弘子持っていてね。」
「はい。・・・分かりました。・・・大丈夫です。私達五人いので、力を合わせれば。」
「そうね・・・お願いね。」皆別れた。弘子達は毎日掃除に来て居るし。大丈夫だ。タクシーでホテルに着いた。この前のボーイが居た。案内して頂いた。エレベーターで十階で降りて部屋へ行った。ドアが開いていた。
「ただいま。・・・」
「お。ご苦労さん。・・・早かったね。・・・食事用意して有るよ。シャワーを浴びてきたら。」
「あ。はい。」順子は風呂へ行った。シャワーを浴びて、パジャマに着替えて、来た。ドンペリニヨンが一本。根津が、蓋を開けた。二人は、対面に座って、乾杯して、落ち着いた。
「明日は。六時に出るので。・・・何故ならば、混むので。早く出ないと。・・・ボーイが、電話で、五時に、起こしてくれるから。・・・大丈夫だよ。」
「えー五時。・・・はい。分かりました。」
「順子・・・ジャパン、ケミカルの、資本金は俺が出すことに成って居るから、知らないふりして、いてね。・・・だからどうしても。成功させないと、いけない。順子はアメリカへ行かないって。聞いた。・・・正解だ。仕事の中まで入っては。駄目だよ。ぜん、ぜん、素人。なんだから。・・・運営に関しては、入っても良いだろう。けれど。事業をまとめるのは、大変だから。責任取るような言動は。謹んで。任せなさい。」
「はい。・・・分かります。・・・だから今回は、お断りしました。でも。パスポートは申請して、十日後に、都庁に取りに行くの。五年間にした。」
「おー良かったね。・・・俺もパスポート切れていないかな。・・・」
「パパ。一時よ。・・・明日、早いから。・・・」
「あ。そうか。」二人はベッドインした。
朝。リリリリ。電話が鳴った。二人は起きてシャワーを浴びて、支度して、ロビーでハイヤーの運転手が来るのを待って居た。
「お早うございます。・・・根津様ですか。・・・荷物を持ちましょうか。・・」
「あ。荷物は無い。んだよ。」二人はハイヤーへ行った。
「なにー・・・この車・・・大きいー」順子は。びっくりして居る。二人は後部座席に乗った。運転手は、行先は知って居る。人を頼んだ。休憩も任せてある。
「ぱぱ。・・・凄い。・・・ふわふわだ。」ソファーが、ゆったりして。初めて乗った人は、殆んどびっくりする。エンジンの音も。静かで。すー。と走った。
「パパ。これ。外国の車。」
「そう。アメリカの車で。最高級車だ。キャデラック。て。言う。」
「へーお金持ちは。凄いですね。・・・これで田舎に行ったら。・・・村人全員集まってきますよ。・・・」
「そうです。・・・一度。栃木の山の町に行った時。人が大勢集まったよ。」
「でしょう・・・パパ。気持ちよくなって。眠くなっちゃった。」順子は寝た。根津も遅かったので寝た。お昼前に着いた。二人は起きた。外へ出た。門の前だ。
「はい。・・・此処だ。」
「えー・・・此処。パパ。・・・」順子は。大きい石造の門にびっくりして居る。」運転手が。門を開けてくれた。家が遠くに見える。両脇。白樺林だ。小さな小屋が建っていた。少し歩いた。広い芝生の中に平屋の長い家が建っていた。
「へー。大きな家だ。細長い。平屋建て。南向き。て。言うの。」
「そうだよ。・・・」来るときは、木陰だったが。此処は芝生が生えていて。からっとして、日当たりが良い。広い。運動会が出来る。広さだ。家に入った。大きい材木。まる出しで。昔風の造りだ。
「へー・・・パパ。広すぎない・・・」
「あー。初めて来た人は、そう見える。馴れると、そうでも無いよ。」
家の中央が広いリビング。西東。両側に。十畳二間の、寝室が有る。リビングの北側に、台所と、浴室。洗面。トイレが有る。家の西側に、野天風呂が有る。周りは。三メートルの板塀が張ってある。内側に垣根のように。サザンカ。サクラ。ミヤマツツジ。イタヤモミジ。ハナミズキの木が並べて植えてある。風呂中は、大きな石が積んである。いわゆる、岩風呂だ。
「パパ。此のお風呂。・・・沸かすのに大変じゃない。」
「あー・・・一日、掛かります。だから年に二、三回だけ。・・・お湯入れるのは。あそこのボイラーで、沸かして、お湯を流す。」
「へー一日。・・・」
「此処もね。管理人さんが居るから。・・・もともとの地主さんで。家族で管理してくれている。此の辺りの一般労働賃金で。だから。安い。・・・年間、五万円位かな。」
「へー・・・此処もパパと私の名義なったの。」
「あ。そうだよ。俺が死んだら。自動的に、順子、一人の名義に成る。」
「えー凄い。・・・広さは、何処まで。」
「そうだな。直ぐは、分からない。・・・一町歩。だから・・・三千坪だ。」
「分からない。・・・」
「順子。町へ出よう。・・・駐車場も有るし。肌着も買えるし。」
二人は町へ出た。
「えー・・・こんな。町。・・・商店街。・・・なんでも有りそうですね。」
「そりゃそうだよ。此処で暮らして居る人。大勢居るよ。何千人。」
「へー・・・良いな。」
「何処へ入ろうか。・・・何を食べるか。・・・」二人はイタリアンに入った。
「あれ。運転手さんは。・・・」
「運転手は。自前の弁当食べて居るよ。車中で。何故ならば。仕事だから。・・・でしょう。車が。オヒス、だから。」
「あ。そうか。・・・ですね。」二人はナポリタンと。ワインを頼んだ。
「此処のナポリタンは。美味しいよ。」
「御待ちどうさま。どうぞ。」運ばれてきた。ワインを飲んだ。
「パパ。美味しい。此のワイン。」
「うん。・・・此処の町は。一流のシェフが。腕を振るっている。・・・だから不味い店は、無い。んだよ。お客さんは、殆ど東京のお金持ちだ。」食べ終わった二人は、店を出て、順子が、洋品店で肌着を買った。車で帰った。家に入った。運転手は玄関の脇に立っている。小さな小屋が有る。其処に寝るそうだ。何時もの運転手だから知って居る。辺りは、ソファーに対面で座って、コーヒーを飲んでいた。
「順子。いよいよ本格的に株の仕事に取り掛かるよ。ジャパン、ケミカル株式会社。先ずは、株主を大勢集めて、上場の準備に入る。そして製造卸の実績を作り、更に投資金額を増やす。二年位掛かるだろう。其れから上場の申請に入る。実績が良ければ、三か月ぐらいで、株式市場に乗る。其の認承額が、三倍か。五倍か。此処が勝負だ。最低三倍に成るように。頑張らないといけない。」
「え。難しそう。・・・実績って。」
「うん。株券を何万株。発行したか。が。・・・実績だ。・・・それから、大きな声では言えないが、申請直後に、投資者を集めて。俺の金を動かす。・・・
順子。金は。貯めるだけでは駄目だ。動かさなければ、金じゃない。・・・世の中には、金持ちが大勢いる。九割が、ただ持っているだけだ。懐の金は外に出さない。貯めるだけ。この人達は。ただ欲張りなだけだ。俺は金を動かして、倍にする。その金をまた動かして、倍にする。・・・俺の真骨頂だ。・・・その窓口を順子に依頼する。もちろん順子にも手数料を払う。必ず儲かる。と言う。仕組みを作る。」
「えー・・・大丈夫ですか。・・・」
「そこが大事だ。・・・誰も出来ない俺のやり方が有る。・・・正月過ぎ、十日ごろから動く・・・俺が年内に、段取りを。する。・・・だから、クラブ「JUN」は、忙しくなるよ。」
「本当ですか。・・・」
「八階を、貸し切りにして、情報の拠点にする。各社長一人で入る。部下は七階で待って居る。そして国会議員の秘書を集める。・・・そして、帝国証券を六階に入れる。全て帝国証券が管理する。」
「成る程。大体流れは分かります。・・・パパ。発車しないと、ピンとこないですね。」
「そう。其の通り。・・・順子なら直ぐ馴れる。・・・年内に国会議員の秘書を何人か生かせるから。そうすれば奴らは、正月休みに、議員通しで、噂を広げる筈だ。」
「えー。パパ。凄い誘導で。私らが動かなくても、議員たちが動く。」
「その通り。・・・奴らは、金銭のやり取りには、口が堅い。俺の経験から分かる。」
「やっぱり。なんでも、経験と実績ですね。・・・パパ。」
「はい・・・今日の講義は、これまで。」根津は、お湯を入れて風呂に入った。順子は、時計を見た。十時半だ。店に電話した。
「もしもし。順子です。・・・弘子さんに代わってください。・・・私。どうですか。お店の状況は。」
「はい。・・・七階。八階、両方十人を、超えています。・・・ママが居ないって。ざわめいています。もう閉めます。」
「そうですか。・・・月曜日に、ライオンで会いましょう。皆で来てね。お願いね。」
大丈夫なようだ。根津が風呂から上がって来た。続いて順子が入った。辺りはベッドインした。次の朝。日曜だ。二人は起きてコーヒーを飲んでいた。
「順子。ドライブしながら帰ろうか。・・・十国峠。浅間山を見て東京へ帰った。お昼過ぎた。順子が。
「今晩どうする。・・・」
「う。・・・どうしますか。・・・泊るか。」
「良いです・・・。私は。・・・」
「じゃ運ちゃん、プレジデントホテルに行って。」車は、ホテル玄関前に横付けした。二人は降りて。フロントに受付して。最上階のレストランに行った。サービスエリアで、ケーキを食べただけだ。サーロインステーキと、ドンペリニヨン一本。注文した。
「ぱぱ。・・・パパの人生。て。男の中の男ですね。・・・だって、世間の話を聞いていると。お金持ちの人は、威張って居るし。お金の無い人を見下げるし。相手にしないし。・・・」
「あーま。・・・そうでしょう。九十%。・・・俺はそれが嫌。なんだな。金使わないでどうする。例えば、百万円。十年、持っていて。物価が二割上がったら。八十万円の価値、しか。無い。二十万円損をする。と言う。方程式が有る。多く持っていれば、其れだけ損失が多くなる。だから金は天下の回りもの。て。回さなければ、損をする。順子には、その方程式を教える。俺と居れば、自ずと身に着く。」
「はい。分かります。」ステーキが運ばれてきた。
「え。・・・熱い。鉄板事、来た。」
「あ。初めてか。・・・此処は、熱、熱の儘、出て来る。・・・食べよう。」根津は、今後の、順子の立ち回りに、常に気を配っている姿勢が表れている。二人は食べながら今後事を話している。
「順子。社長たちがアメリカから帰ったら。話を詳しく聞いて、おそらく金の話になる。その時は、相談役が実力を見せる。何故なら俺の金は、相談役を経由させる。」
「えー。・・・そうか。私が実験を握る。」
「何時も話しているだろう。・・・消して威張ったら。駄目だよ。・・・女らしくしおらしい、姿を見せる。・・・分かるか・・・実験は握っている。から。全員が分かって居る。皆が認めている。・・・だから威張る必要は、無いでしょう。此れが人生の哲学だ。俺は現在も。その姿勢は崩さない。・・・これが出来ない上司が、居る。・・・それを空威張り。と言う。空威張りして、金儲けして人は、いない。皆に嫌われるだけ。そんな会社は、絶対伸びない。俺が今まで見てきた限りでは。」
「私は、まだ子供だけれど、理屈は充分分かります。」
「貧乏育ちで、だが。頭が良いので、助成金で東京大学を卒業して、国会議員に成り、大臣まで、登り詰めた。故に、金に目がくらんだ。毎日。金・金。金。何億円も掴んだ。自分一人のモノにした。自分で儲けたと、勘違いしていた。頂上まで上り詰めた。最後には、汚職でパクられ、この世から外された。・・・人生最後に乞食に成ってしまった。
頂上まで上り詰めた。・・・人生終わり良ければ、全て、よし。・・・これが俺の最後の結末だ。・・・だから、七〇歳で引退する。」
「えー・・・カッコ良い。・・・パパ。・・・そう言う人達。テレビに、いっぱい出て来る。・・・でもさ。無くならないよね。」
「それは。無くならないの。何故か。・・・人間は、人の物を欲しがる。性質を持っている。・・・しかし、理性を考える能力を持った人は、遣らない。・・・能力ではない。理性を重んじるのが。大事だ。・・・講義終わり。」
「ハハハ。・・・パパ。・・・講演者に成ったら。・・・」
「ま。理屈だけ述べても、実行する事が大事だ。・・・順子。」
「はい。分かります。・・・今後も又、教えてください。」二人は部屋へ行った。根津は風呂にお湯を入れた。風呂に入って、休むことにした。順子は、ソファーで、横に成って居た。ウトウト寝ていた。
※十二月七日・月曜日。二人はホテルを出た。順子は、ライオンにタクシーで着いた。未だ十一時だ。弘子達が来て居ない。辺りをブラブラしていた。三越前で弘子達と会った。
「ママ。・・・」
「あら。弘子達。・・・行きましょう。」六人で、ライオンに行った。奥の方が空いていた。座った。順子が一杯注文した。取り敢えずビールで乾杯した。
「あー美味しい。・・・」すると弘子は。順子に封筒を渡した。
「土曜日の上がりです。」
「あ。・・・そうですか。」順子は、開かないでバックに、収めた。
「ご苦労様でした。・・・その分、此処は私の奢りね。・・・今夜のお仕事に差し支えないようにね。」
「そうか。仕事が有るね。・・・あまり飲めないね。」全員ニコニコしている。順子も嬉しい。
「弘子さん達さ。・・・これから。度々、用事が出来て、お休みになることが有るので。・・・その時は。又、頼むね。」
「良いよ。皆で協力すれば大丈夫だから。」皆で楽しい。五時に出て、六人で店まで歩いた。
「銀座の町、初めて歩いた。えー・・・裏通りだ。古い建物も有るね。でも何となく胸が躍る・・・私。」
「本当ね。・・・田舎の人達に見せたいな。」田舎を思い出している。店に着いた。そうじを済ませてコーヒーを入れて飲んでいた。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。」
「三名です。・・・ナベプロの社長の紹介で来ました。」
「あら。そうでしたか。社長には何時も御贔屓にさせて頂いております。どうぞ。一番テーブルに、セットした。十人が対応した。
「え。表の写真。本人たちだ。・・・綺麗な女の子達だ。・・・社長がママと会う価値が有る。て。催促されて来た。ですよ。」
「本当ですか。・・・嘘でも嬉しいわ。」
「差し支えなかったら。名刺など。」
「あ。名刺ね。・・・私は、・・・西川興業です。浅草です。」
「え。・・・浅草のプロダクション。だって。」
「俳優ですか。歌手ですか。」
「家は歌手です。村田英雄。北島三郎。山田太郎。新川二郎。大月みやこ。大下八郎。五月みどり。西川峰子。等まだまだいます。」と言って、名刺を頂いた。社長・西川。
「家も銀座に引っ越したい。んだが。場所が無い。んですよ。」
「えー。何故ですか。」
「そりゃ。なんてったって。知名度が上がりますからね。・・・皆さん綺麗な子達だね。粒揃いで。貴方がママですか。」
「はい初めまして。順子と申します。どうぞこれからも御贔屓に、・・・」
「おー。こちらこそ。宜しく。・・・でも。若いね。・・・失礼ですけれど。」
「はい。一九歳です。・・・」
「えー・・・」
「社長―・・・・」順子は自分の口に手を当てた。社長も分かった。
「そうですか。・・・それで。ナベプロの。・・・うん。本当だ。」
「今度家の村田を連れてきますよ。・・・綺麗な女性好き。なんですよ。・・あいつ。此処なら。選り取り見取りだから。常連なるよ。」
「えー。是非。ご一緒に。」
「いや。奴とは、一緒にこれ、ない。・・・好みが一緒だから。取り合いになるので。」
「そう。なんですか。・・・男性の方は。難しいですね。」
「え。女性だって。好み有る。んじゃ無い。・・・」
「そうですか。私はあまり気に成らない方です。・・・お金さえあれば。」
「ほら。出た。金だ。・・・もう金の時代になりつつあります。日本は。」
「冗談ですよ。・・・やっぱりお金だけじゃないのよ。・・・社長ね、家のお母さんの話を聞いたの。お母さんの時代は、結婚しなくちゃ。恋愛は、出来なかった。て。だからセックスも。・・・しかも、親たちが決めた男で。初めて見た男。でも従った。て。親の言う通りに。だから、好みとか、好みでない。とか。言っている暇は無かった。て。決まれば。直ぐセックスできるので。女性たちも。男性達も。それが今は。て。お母さんが厳しいの。・・・家は今でも。親が認めないと。」
「えー・・・何処の国ですか。貴方は。・・・今。都会じゃ。自由な恋。て。・・・親たちは反対出来ないですよ。・・・恋愛は。其れも。年の差なんか。て。歌も有るし。家の歌手も歌って。居ますよ。・・・あなたに上げる。て。」
「へー。面白い。・・・ですよね。恋愛まで、親の権利は、無いですよね。」順子は、久しぶりに、はしゃいだ。今日も賑やかに、終わって、閉店して、帰ろうとした。十一時過ぎた。すると、リリリリ。電話が鳴った。
「もしもし。・・・ハロージョンさん。・・・良かったですね。宜しくお願いします。」鈴木社長達が、ロサンゼルスに、着いて、会社に行ったそうです。順子は安心した。
※十二月八日。火曜日。朝十時。リリリリ。家の、電話が鳴った。
「鈴木です。・・・工場の近くの、ホテルからです。ロスで朝二時。です。今日は。八日で、工場見学に行きます。・・・昨日も会社を、ちょっと。見学に行きました。」
「どうぞお気をつけて、活躍を祈ります。」頑張っているようで安心した。
順子は、シャワーを浴びて。ソファーで横に成って居た。ウトウト寝たようだ。少し疲れているみたいだ。夕方まで寝ていたようだ。目が覚めた。化粧して、店まで歩いた。弘子達が来た。
「ママお早う。」皆で掃除を終えて、コーヒーを飲んでいた。
「お早う・・・」帝国証券と丸中証券の、社長二人だ。
「あら。・・・早いです事。・・・」
「あ。今日は。根津頭取に言われて。六階の部屋を見に来た。んです。・・・鍵はママが、持っていると言われたので。」
「あ。はい。・・・」順子と三人で、六階に降りた。順子がカギを開けた。
「おー広いですね。三分の一を相談室に仕切って、広い分を、事務室にすれば。机。二つ置けるでしょう。・・・ちょっとした事務だけだから。・・・書類は全て。持ち帰るから。此れで良いでしょう。・・・あ。相談役おめでとう。情報は入っています。
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
「順子さん。と。呼ばせて頂きます。・・・早速ですが、帝国証券と丸中証券で一人。づつ。女子が、ここらに、派遣して、常駐しますので。宜しくお願いします。来年一月。早々に、開業します。お店の八階奥の部屋で、相談役が、取りまとめた書類を、此処で整理する。と言う。頭取の指示です。」
「あ。そうですか。・・・はっきりは、して居なかった。のですが。分かりました。」
「ロスから電話が有って。視察に入っているそうです。」
「そうですか。良かったですね。・・・あの三名だから。旨くやるでしょう。帰りは九日ですか。」
「はいそうです。・・・日程は。どうですか。八階で。」
「じゃ寄っていきますか。・・・」四人で八階に行って。奥のテーブルにセットした。女の子達五人を呼んだ。
「いらっしゃいませ。・・・お久しぶりです。」社長達は、リラックスしていた。
「ママ。最近。ちょっと、・・・一段とさわやかな感じがしますね。」
「えー・・・そうですか。別に変ったことは、無いですけれど。」
「気の性かな。・・・」社長たちは。濁した。
「この前、城南開発の社長と。会った。んだが。建て売りが、ものすごく売れて居て景気が良いらしいです。」
「へー建て売りですか。・・・東京郊外でしょう。」
「そう。なんですよ。マンションより。庭付きが良い。て。二LDK。三LDKが。飛ぶように売れている。らしい。」
「そう言われれば。・・・庭付きが、良いかな。・・・思いますね。俺も。・・・今はマンションだから。コンクリートは、寒く感じるかな。て。」
「でも幾らですか。・・・」
「それが、百二十万円から二百万円。位らしい。」
「そうか。年収。十年分か。・・・」
「ただ。住宅ローン。て。・・・銀行で、貸出しする。三十年払い。で。」
「うん。・・・利子入れても。年、七万円。か。・・・一か月六千円。」
「払えるかな。・・・良いかもね。・・・」
「時代だな。庭付きか。・・・考えちゃうな。アパート暮らし。」
「えー皆さん。お給料。高い。んで、しょう。・・・買える、かもね。皆さん。」
「一般サラリーマンで。一か月。二万円。そこそこ。ボーナスが、五万円。・・・買える。かもね。」確かに、電車網が、郊外に延びている。車両も、六両編成とか。
「そうか。不動産屋。流行る。ね。」順子は社長達の話を聞いて、高度成長に入って居るかも。衣食住。東京は、庭付き住宅が夢。なのかな。此れに乗り遅れないように、慎重を極める。真剣に考えよう。
店も閉店だ、社長達には、今日は、サービスした。
「ご馳走様。ママ、」三人は帰った。ジユン子達も帰った。寿司代金を払いにス社へ入った。
「いらっしゃいー・・・あ。昨日はどうも。」マスターは、ニコニコだ。
「皆さん。美味しい。て。喜んで食べて居るよ。」
「有難うございます。・・・何時も。・・・今日は、ママに。何サービスしようかな。」
「えー良いですよ。そんなに、気を使わなくても。・・・マスター。」
「そう。言われると。気を遣う。」大トロの巻物を出してくれた。
「此れ。・・・ワインに合う。・・・大トロでしょう。巻物初めて。美味しい。」
「良かった。分かってくれて。・・・ママも。寿司通に。なりましたね。」
「そう。此処のお寿司でね。・・・良かった。此処に引っ越して。」
「俺もママと会えて。顔見られて良かった。」奥さんは、笑っている。順子は、大桶二つ分と今日の生産をして帰って寝た。
※十二月九日。アメリカ出国すれば、日本着。十日だ。順子は帰国が待ち通しい。又、最近。身体の太り気味を注意するように。心掛ける様になった。朝は野菜スープだけを取るようにした。店では、アルコールは、控える様に、心掛ける。自ずと美容にも機を配らないと。不味いと、感じる様にも成った。銀座で生きて行くには、美容も大事だと分かって来た。調子に乗って食べ過ぎないように。気にするようになった。
※十二月十一日。
ジャパン、ケミカル株式会社の社長達が帰って来た。七時にお店に来る。連絡が入った。掃除を済ませ。待機していた。ドアが開いた。
「いらっしゃいませ、何名様ですか。・・・あら。どうぞ。お疲れさま。でした。」奥の三番テーブルに、セットした。ママと三人で座った。とり合えず。ご苦労さん。乾杯した。
「どうでした。アメリカは。」
「えー。凄いです。とにかく広いです。国が。工場の敷地も、建物も、広いです。これからの開発地域。と。言う土地で、・・・・とにかく機械も見たことが無いです。家の若い社員たちが、説明を聞いて、・・・指導は受けました。二日間。夜中まで、機械の使い方。を。教しえて頂いて、・・・三人で動かしたりしました。・・・とにかく、難しかった。て。言って居ました。・・・結果を申し上げると。何とかできます。と。言いました。ジョン社長が、ずっと、三人に、付きっきりで教えて頂いて、お褒めの言葉を頂きました。この三人は、やる気、満々で、其れをジョン社長が、見ていたらしいです。・・・そして、年度明けに、日本で製造する。契約を結んで。・・・市川の、工場を見て、どの機械を入れるか、決めるそうです。」
「じゃ。・・・日本で、契約を結んで。工場を見て、機械を導入して、設置して。」
「はい。・・・全てアメリカから持ってくるそうです。材料。原料。・・・下請けと言う。形で、動いて頂きたい。と言う。事です。」
「当面は、・・・そうでしょうね。何名の、人を確保する。んですか。」
「最初は。二十名位で。稼働しよう。と。言って居ました。」
「そうですか。人員は、確保できますか。」
「町工場に、声掛けて、何とか成ります。」
「どの位の大きさ。何ですか。・・・」
「約、五十センチ四方ぐらいで、奥行き四十センチ。位ですかね。・・・画面。枠一体。箱型。・の中に、部品を組み込む。・・・最初は部品も、アメリカから、調達するようになります。・・・日本で全て。造るには。何年か先です。・・・ただ努力次第です。」
「そうか。・・・設備資金は。どの位、見込んでいますか。・・・当面は、全て、アメリカの機会ですから。・・・掛かりません。・・・ただ。ジョン社長は。早く覚えて、日本人。独自で造って組み立てて、完成させて、アメリカに輸出するように。目標を置いてほしい。と。言って居ました。」
「そうか。輸出するように。・・・そうしないと日本が儲からないから。・・・じゃ。ジャパン、ケミカル株式会社を。生産社にして、あげたい。と言う。・・・バックアップ。と言う。本気で取り組んでいるのかも。ね。」
「だと思います。」
「そうですか。年明け早々。・・・日時は、まだ、決めていない。」
「そうです。・・・資本も掛かる事だから。バックアップの、目途を付けて。準備しないと。大変なことに成りますので。・・・相談役にも、入って頂いて。計画を立てようと考えて居ます。」
「分かりました。・・・皆で力合わせれば。行けると感じて。居ます。・・・技術的には。大丈夫ね。」
「大丈夫です。・・・家では、社員十五人居ますから。知人に頼めば、五人。十人は。直ぐ集まります。・・・見込み着いたら。来春の。新卒者を、募集掛けます。これからの最先端の仕事ですから。電子科。の。高卒が大勢、居ると、確信しています。」
「私もそう感じます。・・・家は、様々な社長の、お客さんが多いので、何時も、コンピューターの。会話になります。・・・事務機器販売の社長も、必ず、コンピューターの時代に成る。と。何時も言って居ます。・・・日本は。ソニートランジスターラジオ。テープレコーダーの小型化。開発に成功していますから。ジャパン、ケミカルも。最先端を走るように。・・・設備投資。資金繰りは、新日本銀行の根津頭取に、頼めば、大丈夫ですよ。」
「其の辺りを、・・・相談役に。頑張って頂いて。・・・」
「分かりました。頑張ります。・・・もう十時ですよ。お腹、空かない。・・・お寿司取りますので。待っていて。」順子は、寿司屋に電話した。上寿司、大桶一つ。大至急。
「社長達。本当に、苦労しますね。」
「でも。・・・順子さん。生きて行く。糧とは。・・・人間が、必要とする物を、造らないと。・・・又それを探すのが、大変。なんですよ。・・・たまたま、この店に来て、順子さんと、会えたから、我々も大きな夢に、向かう事ができて、・・・とにかく若い社員が、挑戦できる仕事だから。頑張らないと。・・・それに日本では、初めての商品だから。此れを達成、させれば、我々も安泰だ。」
「あ。・・・お寿司が届きました。・・・食べましょう。・・・向こうは、女の子達に任せてあるから、心配しないで。」四人で飲みながら食べ名から今後に、夢を馳せている。順子は、この資金繰りを、考えて遣れば、一段、上がれると感じていた。
社長達は。年明け早々。話し合うとして。解散した。もう看板だ。弘子達に告げて、閉店した。順子は、寿司屋へ寄った。
「いらっしゃいー。ママ。」
「お早う。今日はどうも有難う。急いて頂いて。」
「大丈夫ですよ。家は、・・・頑張りますから。」
「今。店で食べて来たから。精算しに寄ったの。」
「何時でも。良いのに。・・・」
「忘れると困るから。・・・色々重なって、頭が混乱しているの。」
「ママ。とこ。・・・忘年会。早いですね。」
「そう。なんですよ。・・・遅くなると。混むから。て。・・・で景気、良いようですね。・・・建て売り屋さんも、売れている。んだって。・・・景気が良く成って居るみたいね。・・・忘年会で、七、八万円。使って。くれるの。・・・」
「へー・・・銀座だな。・・・この場所とは、違いますね。」
「そりゃ。・・・ママね。女の子。二十人でしょう。・・・私には考えられない。出来ない。し。・・・毎日ですからね。」
「はい。私も。自分でびっくり。・・・何も知らないで。来て。・・・」
「順子さん。・・・人間の繋がりは、凄いですね。」女将さんも。喜んでいる。
「はい。・・・そう。なんです。・・・アメリカの人とも、繋がって、忙しいの。」
「へー。オリンピックの時の。・・・」
「そう。なんです。会社を経営していた、人だったの。・・・その会社と。日本の会社を。会わせて、・・・交渉中で。」
「へーそれは大変だ。・・・」
「年明けに。契約を結ぶことに成ったの。」
「凄い。順子ママ。・・・」
「うん。どうなるが、分からないけれど。・・・うまく行くと、良いな。」
「コンピューター。・・・我々には、分からない。」
「来年が楽しみです。・・・精算お願いします。」順子は、店の分も精算して帰った。
十二月は、忘年会が入り。店の、売り上げは助かった。七階・八階合わせて、四百万円の売り上げに成った。
お店は官庁に合わせて、二十八日で終わり。二九日~一月四日まで休み。五日はお店の新年会。十一時から。・・・六日から通常通り、運営する事に、女の子達に話した。
根津頭取から、電話が有り、二九日。ジャパン、ケミカル社長達、三人。帝国証券社長。丸中証券社長。順子相談役。と。頭取の七人で。店の八階で、忘年会をする事に成り。午後三時に来る事に決まった。順子は、お寿司。大桶で二皿。店に三時に、届ける様に頼んだ。
二八日。十一時。女の子達と。八階に集まり。関東一本締め。で。解散した。
※十二月二九日。順子は、二時に店に行き。帳簿を全て整理し、来年の飲み物。つまみをチェックして。多めに頼んだ。・・・片づけをして、ワイン。ヘネシー。おつまみ。寿司を並べて準備、していたら。七人が来た。
「お早う。悪いね。お休みの所。」堤社長が言った。
「いいえ。・・・ご苦労様です・皆さん。」奥の三番テーブルにセットした。
「おー、やっぱりこの部屋が、一番良いね。」根津頭取が先に座った。皆さん体面に座った。順子は、雑用が有るので、手前に座った。取り敢えずビールで乾杯した。
「固い挨拶は抜きにして、・・・皆さん本年は、お疲れさま、でした。」根津が挨拶して、静かに始まった。
「まさかアメリカの会社と、共同とは、驚きましたね。・・・順子ママの。音頭と、言うか。お手柄、と言うか。・・・本当に。・・・時代の世代を走るコンピューターに携わる。何て。誰も、考えても居なかったよ。」根津頭取が、順子を褒めた。作戦だ。順子も感じた。
「そうですね。私達も、この三社が、一つになる。何て。・・・その後三人で、何回も会いました。それぞれ、皆さんの特技が分かり。それぞれ分散化で仕事が出来るし、こんな素晴らしい事は有りません。」鈴木社長が皆さんを称えた。
「後は一月。・・・何日に、アメリカから来て頂くか。・・・」
「そうですね。今のところは此処まで。・・・ジョン社長達が、来てからで、」
「仕事の流れによって、機械の配置。設置。が有るでしょうから。・・・一番肝心な、投資、資金繰りが、気になりまして。」鈴木社長が。言った。根津頭取が。
「あー。資金繰りは、・・・俺に任せて下さい。・・・変わりと、言っちゃ、何だが。俺の名前は、表に出せないので。順子相談役を使って頂きたい。・・・密に連絡を取り合って、・・・事務所は、墨田区向島か。・・・ま。其の辺は、旨く遣ってくれ。」
「有難うございます。・・・助かります。・・・じゃ相談役と。進めますので、宜しくお願いします。」順子も。