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人生番外編を異世界で  作者: ラクト
2/5

番外編生活①

こっちに来てから1週間くらい経った。

前は「赤ちゃんに戻りたーい」とか思っていたけれど、憧れてた赤ちゃん生活は思っていたよりも大変だった。

まず体は思うように動かない。そして、何か伝えたくても伝えられない…。発音が上手くできないのだ。いや、その前に言葉がわからないから、発音が上手くできるようになっても意味ないな。まずは言葉を覚えよう。


さらに時間が経過した。

寝ていることが多いので、どれくらい経ったかはわからないが、色々と認識し始めた。

まずは使用人。茶髪のショートヘアで目が紺色の女性と黒髪のポニーテールで背の高い女性がそばにいることが多い。私の面倒は母が見ることが多いので、そのサポートをしているって感じだ。私はてっきり乳母さんが私の世話をするもんだと思っていたが、ここでは母親がきちんと子育てをするようだ。

なぜ、母親がわかるかって?それは、服装と態度からだ。高級そうな服を着ているし、周りの人たちから敬われている。

そして、兄らしき人も覚えた。昼間によく来ては頭を撫でてくれる。この優しさはいつまで続くかね~。

こんな感じで少しずつ私の周りにいる人たちを覚えていっている。

だけど、父親を見たことがない。

私が寝ている時に会いに来ているのか、興味がなくて来ないのか…。さっそく家庭崩壊かぁ?

とか思っていたら、父親らしき人が来た。

『はぁあぁ!!やっと起きている時に会えたよ!可愛いなぁ』

何言ってるかわからないけど、にやけ顔で私を抱き上げた。

『普段は寝ている時にしか会えなかったものね。でも、この子ちょっと怖がっているわ』

『あぁ、ごめんよぉ』

両親が何を話しているかはわからないけれど、父は少し寂しそうに私をベッドへ戻した。

おぅ…。こわった…。あと、たぶんだが今のは「ごめん」かな。


さらに時が過ぎた。

私は歩けるようになったので、中庭にお散歩に来ている。歩けるって素晴らしい!!そして、言葉もだいぶ覚えた。

「かーしゃま、こりぇ、なに?」

うぐぅ、上手く発音できん。

「これは、リーカスよ。綺麗でしょ」

リーカス。バラに似た花で赤、白、黒、紫、ピンクの五色がある。バラのように棘はない。

このリーカスのように前の世界と似た花もあれば、見たこともない花も多い。

見たことのない花を見るのは結構楽しくで、歩けるようになってからはよく母と散歩に来ている。

それにしても我が家の庭は広いわね。一人で歩いたら確実に迷子になる。

「さて、そろそろ戻りましょうか」

「はぁい」

もうお散歩終わりか。家に戻ったらなにしようかな。


家に戻るとピアノの音が聞こえた。

え、ピアノ…あるの?

「かーしゃま、こにょおと、なに?」

「ピアノの音よ。今日からルイのピアノのレッスンが始まったのよ」

ほう、兄は今ピアノのレッスン中なのか。

「ききたい」

「んー、そうねぇ。邪魔しないって約束できるならいいわよ」

「できりゅ!」

「ふふ、わかったわ」

そして、私はピアノが置いてある部屋へと連れていってもらった。

「レッスン中にごめんなさい。この子が見学したいそうなの。いいかしら」

「あら、そうなんですわね。もちろん大丈夫ですわ。では、お嬢さま、こちらへどうぞ」

「あ、は、はい」

初対面の人と話すの久しぶり過ぎてなんか緊張するわね。

「え、ちょっと。リィに見られるの恥ずかしいですよ!」

「いいじゃない。いつもいつも『リィに会いたい』って言っていたし、今日は曲を演奏するわけではないでしょ?」

「う~ん、そうなんですけど…。まぁ、いいか」

兄よ、なんかごめん。

そして、椅子に腰かけ、兄のレッスンを見学した。

まずは、音階覚えるところからか。

「これがC(ツェー)、これがD(デー)…」

ん?これはまさか、ドイツ音名?!この世界の音名はドイツ音名と同じなのか。前の世界で吹奏楽やっててよかった。覚えること一つ減ったわ。


見るだけってのは少しつまらなかったが、久々に楽器の音を聴けたのはよかった。

私も早く弾きたいなぁ。今度お母様に頼んでみようかな。

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