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お手紙攻勢。

これからも戦と戦の間は、息抜き回を入れたいです。





 南部晴政は筆まめで、たとえ敵対する勢力であっても、何気ない話題の手紙を良く送っていることで知られている。


 現代でも各地に残るその手紙は、相手を油断させるためだとか、何かの隠された意味があるなど、様々な考察がなされているが、真相は単純なものである。


 現代の人間が芸能人と話してみたいのと同じで、下手をすればそれを超える大スターとも言える戦国武将達と話をしてみたい、晴政の心の内はただそれだけであった。


 




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 天文16年(1547年)

 北条氏康に宛てられた書簡

(現代語に分かりやすく変換済み)




[初めまして‼︎ 南部陸奥守晴政です。

 

 北の国よりお手紙を送らせて頂きました。畿内に比べたら田舎仲間ですね(笑)。


 氏康殿は昨年の河越の合戦では見事、大勝利だったみたいで格好良かったです。


 僭越ながら手前も、先日の伊達家との戦では勝利を収めておりまして、氏康殿の勢いに乗った形になります。


 名前だけで実力が伴ってないくせに、偉そうにする旧勢力の連中をぶち殺すのはとても楽しいですね。


 それと神奈川湊に南部領の商品を沢山、卸して頂いているようで嬉しいです。


 ウチの商人が近く品川湊の方にも足を伸ばすと言っているので、見かけたらどうかよろしくお願いします。


 そのお礼と言っては何ですが、南部馬と南部鉄の刀を送らせて頂きます。


 馬も刀も殺し合いに使うために鍛えられた、私一押しの一品で御座います。


 関東は広くて略奪をすると楽しそうです(笑)。


 貴方があんまり格好良いものだから、出来るだけそんなことはしたくないと思ってはいるのですが、家臣団からの突き上げと、己の中に湧き上がる衝動を、いつまで抑えておけるか分かりません。


 いや、本当にそんなことはしたく無いんですけどね(笑)。


 いつか憧れの北条早雲公の墓参りがしたいです。


 まあお互いに、中央に天下人が現れるまで、乱世でしか許されない遊びに大いに興じるとしましょう]

 





「……思ったより南部晴政はイカれてやがるな。もし全面衝突が始まったときに、万を越すとも言われる南部騎馬軍団をどうやって止めたら良いんだか……。何よりオレの息子達はまともにコイツの相手が出来るのか?」


 北条氏康は北方の蛮族の脅威に、北条家の未来への不安を感じながら、煙管を吹かして溜息をついた。






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 天文19年(1550年)

 長尾景虎(上杉謙信)に宛てられた書簡

(現代語に分かりやすく変換済み)

 



[お久しぶりです景虎君。南部陸奥守晴政です。


  ねえねえ、あんなに偉そうに大義だの正義だの語って置いて、国内統一だけで随分と苦労してるじゃない。


 オレは君がもたもたしてる間に、もう陸奥と出羽の半分以上は陥してるよ。ねえねえ、今どんな気分?


 毘沙門天様に祈った甲斐があったなあ。あれ? 確かそっちでも熱心に祈ってる人がいるんだっけ? 仲間だね、よろしく言っておいてよ。


 それはそうと越後の方でも南部領の品物を、沢山買ってくれてるみたいで、ありがたいです。


 でも越後から畿内に売れる物が無いからって、ウチの商品を横流しするのは感心しないな。相当それで儲けてるんでしょ?


 いや、武器もウチの作ったものを使わざるを得ないのは分かるんだけどさ、もう少し何とか頑張ってみようよ。


 励みになればと思って、鷹を一羽送らせて頂きます。とっても大きくて格好良い奴です。


 またいつか遊ぼうね‼︎]






「……」


「か、景虎様。今、南部家と戦うのは危険です。ここは堪えて下され」


「いや、怒ってはおらぬ。南部家は朝廷と幕府より正当に支配を認められた土地を支配しておるだけだ。道理に反してはいる訳ではない」


「こ、これにて失礼させて頂きまする……」


 




 家臣が部屋から去った後、長尾景虎は家臣の前では常に保ち続けているその無表情を崩して呟いた。


「……こいつ、いつかぶち殺す……」






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 天文18年(1549年)

 武田晴信(武田信玄)に宛てた書簡

(現代語に分かりやすく変換済み)




[初めまして、南部陸奥守晴政です。


 日本の北部なのに南部こと、南部晴政で御座います。


 我が南部家は家系図によると貴方方、甲斐源氏の庶流に当たるのだとか。


 つまり私と貴方は遠い親戚に当たることになります。今から私のお兄ちゃんですね‼︎


 ウチと同じく、甲斐も貧しい国だそうで、他国から奪わなきゃやってられないですよね。お気持ち本当にお察し致します。


 友好の証として南部馬を数頭、送らせて頂きます。是非とも木曽馬と並べて走らせて楽しんで下さい。


 海の幸も沢山送ります。干物だけど美味しいですよ。


 私達はお互い大悪人ですが、そんなこと気にせず、これからも奪って奪って領民達を食べさせてあげましょう。先に日和った方が負けってことで。


 最後に、衆道って何が良いんですか? 武士としては恥ずかしい限りなのですが、ちょっと私には理解出来ません。


 てな訳で、もし会うことがあっても、無理に誘わないでね。私は嫁と仲良くやってるので]






「……」


「お屋形様、何か良くないことでも?」


「……これなるは、南部陸奥守殿よりの……」


「わあ、北方の大大名様ですね」


「……いや、奪いの楽しみを知っておきながら、男の真の楽しみを知らぬ。哀れな……」


「男の真の楽しみ? それは何ですか、私も知りとう御座います」


「……()いのう、今から存分に教えて進ぜよう……。源五郎、まずは上から脱ぐが良い……」


「お、お屋形様……⁉︎ アーッ‼︎」


 逃げ弾正、逃げること(あた)わず……‼︎






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 天文20年(1551年)

 毛利元就に宛てられた書簡

(現代語に分かりやすく変換済み)




 「南部陸奥守殿か……。いつ滅びるかも分からないウチに手紙をくれるなんて、随分と物好きな人だね。ボロっボロだけど……」


 毛利元就は余りに長い道中で、ボロボロのシナシナになった書状を少し可哀想な目で見ながら、笑っていた。


[はじめまして、南部陸奥守晴政です。


 元就殿は息子が一杯いてみんな優秀みたいで、非常に羨ましいです。


 妬んでる訳じゃないよ? いやホントに。


 妬んでる訳じゃねえよ‼︎


 気を取り直して、そっちの方にも旧勢力の衰退の波が来てるみたいで、楽しそうですね。


 こっちは伊達家の奴らが負けたときの、信じられないといった風な絶望してる顔が忘れられません。


 自分達の名門の血筋を長々と語った後に、断頭台に乗せられる彼らの表情は、それはもう最高でした。


 今からそれが見られる貴方方が、本当に羨ましい限りです。私も出来ることなら観戦しに行きたいくらいです。仕事が忙しいので行けそうにありませんが。


 大内さんとか尼子さんとかお金持ちだし、きっと良い顔してくれるんだろうなあ。


 こっちも来年には奥羽の平定に本格的に移るつもりなので、みやげ話を沢山作っておきます。


 あっ、これは機密事項でお願いします。


 何分、距離が離れ過ぎているため、何も物を送ることが出来ませんが、ご武運をお祈りしております]






「ふう、北の魔物は随分と恐ろしいみたいだね。伊達の人達には同情しちゃうな。私は大内にも尼子にも、優しくしてあげるつもりなんだけどね」


「また心にもないことを……。魔物ですか、貴方も充分そちらの類ですよ……、父上」






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 天文20年(1551年)

 島津貴久に宛てられた書簡

(現代語に分かりやすく変換出来ず)




「読めん……」


 島津貴久は余りに長過ぎる道中で、最早読むことも出来なくなった紙くずを眺めて、首を捻っていた。


(かわや)おいちょけ……、ケツば拭っとに使ゆ」


「名案にごわす」


 日の本を縦断した紙くずは、非常に貴重な物だったが、どこぞの薩摩隼人の糞を拭くのに使われ、敢え無く捨てられた。


[南部晴政の書状]は、ボロさ臭さにおいて傑出す‼︎






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 天文21年(1552年)

 蘆名盛氏、最上義守、相馬盛胤、その他伊達系諸侯に宛てられた書簡

(現代語に分かり易く変換済み)




[てめえら、いつになったら投降して来るんだ?


 コイツが最後通牒だ。あんま舐めた真似してっと、目ん玉くり抜いて、手足引き千切って、城下で鋸引きにするぞ。冗談だと思うなら試してみると良い。


 来年が楽しみだ]


 放送禁止用語が入らないように、かなりオブラートに包んで翻訳したものである。






書き終わったら投稿みたいなスタイルなので、投稿日が安定しません。

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