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27/62

仙台会戦。

この頃、仙台なんて名称はないけどね。


当時の地名なんて調べてもほとんど出てこないのですよ。


明日は多分投稿休みです。



 

 伊達家連合軍は参加した全員が納得してはいないものの、軍議の結果、多数決で包囲される葛西家の救援に入ることと相成った。


 寺池城を包囲する南部軍を、後背より攻撃する作戦である。


 南部軍が包囲を続けるなら、そのまま後ろから攻撃することが出来る。


 南部軍が包囲を解くなら、葛西軍が城から打って出て、これまた南部軍の背中を突いてくれるだろう。


 南部軍が連合軍と野戦をする隊と、城を包囲する隊の二つに分かれてくれるならば、こちらは数で大きく上回ることとなり、各個撃破が狙える。


 筋は通っている。


 だからこそ多数決でこの策が採用されたのだ。


 しかしここでも懸念はやはり裏切り者の存在。誰かが裏切ったら、作戦はそこで崩壊する。


 進軍中も再び意味深な矢文が射かけられたり、森の中から謎の太鼓の音が鳴ったり、狼煙が上がったりしている。


 南部軍から裏切り者への何かの合図なのだろうか?


 諸将の猜疑心は既に限界に達していた。


 そしてその空気は隠し切れるものではない。


 いつの間にか、家臣や兵卒達の中にも裏切り者の存在が、公然の事実として知れ渡っていた。


 兵の逃散も相次いでいる。


 行軍も各将が互いに背中を見せるのを嫌い、それぞれがかなり離れて移動する始末。


 それに加えて南部軍の妨害が激しい。


 南部軍は伊達家連合軍に対して、騎兵による散兵戦術を巧みに使って兵站に度々攻撃を加えている。


 離れて行動する伊達家連合軍はどうしても対応が遅れ、有効な対処が出来ないまま縦横無尽に動き回る騎兵に、良いように翻弄されていた。


 南部軍の騎兵は一人につき三頭の馬を操っており、走りながら乗り換えることで、馬の疲労を抑えている。


 その圧倒的な速度故に、追撃することもままならない。


 いつ瓦解するか分からない諸将の信頼関係と、南部軍による兵站の破壊によって、伊達家連合軍は短期決戦へと舵を切るしかなかった。


 明らかに南部軍によってそうなるように仕向けられたのは、誰もが理解しているが、だからと言ってどうすることも出来ない。


 そして南部軍に誘導される様に辿り着いたのは、仙台平野の北部。寺池城から程近い平原であった。


 しかしここである違和感に気付く。


 寺池城を包囲しているはずの南部軍の姿が、どこにも見えないのだ。


 撤退した? 明らかに有利なのはあちらのはず、何故?


 諸将の疑問と共に更なる異変が起こった。


 前方の小高い丘の向こうから、にわかに激しい太鼓の音が鳴り出したのだ。


 それとほぼ同時に大軍の足音が、大地を揺らす様に徐々にこちらに迫って来ている。


 そしてそ(・)れ(・)が姿を現した。






 

 南部軍二万 蜂矢の陣


 





 地獄の具現化とも言える、おぞましい漆黒の軍勢。


 その中心で彼らを率いる一人の男が、静かだが良く通る声で言葉を発した。


 「ようこそ伊達の皆様方、そしてさらば。これにて詰みよ」


 さも当然と言った風に、その男は表情一つ変えず、そこに立っていた。




 


 南部軍総大将 [風神]南部陸奥守晴政






 男がすうっと息を吸い込む。


 そして辺りに走る緊張を打ち破る様に、当代最強の破壊力を誇るその黒い暴威を敵にぶつけんと、自らの手足である二万兵に一斉に号令を掛ける。







 「突喊(とっかん)‼︎‼︎‼︎」 







 合戦の舞台となったこの地には、こんな歌が残っている。


 伊達(いだて)の集むる二万兵(にまんぺい)、陸奥(みちのく)魔物(まもの)の生き餌なり。風神怒りを鎮むるは、やはり二万の贄(にえ)が良し。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



          北

          


    南部軍(蜂矢の陣)

       ↓

                     城

                    城 

西                   城  東

    蘆名軍  最上軍       城

             相馬軍   城 寺池城

                   城

 伊達軍(晴宗) 伊達軍(稙宗)    城

                    城   

                     城



          南



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 

 「謀られたか‼︎」


 蘆名盛氏は一瞬で状況を悟った。


 寺池城は恐らく既に落城していたのだ。


 南部軍は包囲する振りをしていただけで、伊達家連合軍は寺池城の葛西軍を頼れない互角の野戦へと誘導された形になる。


 当初の予定と違い、南部軍は包囲に兵を割かず全戦力をこちらに差し向けることが出来る。


 兵士達も南部軍の威容に萎縮しているのが、伝わって来る。


 南部軍が取っているのは蜂矢の陣。攻撃型の陣形である魚鱗をより攻撃に特化させた陣形だ。


 南部軍の誇る騎馬の破壊力を、全力でぶつけるということだろう。


あれと正面からぶつかるのはまずい、瞬時に判断した盛氏は蘆名軍に指示を出す。


 「全軍、雁行の陣を敷け‼︎」

 



 

イメージ(下方向が前)


   魚鱗     蜂矢     雁行

 OOOOOO   OO    OO

  OOOO    OO     OO

   OO    OOOO    OO

          OO      OO

                  OO

   


 

 盛氏は軍を斜めに配置する雁行の陣を取った。南部軍を真正面から受け止めるのではなく、斜めに受け流す腹積もりである。


 そして南部軍の突撃は最上軍と相馬軍に請け負ってもらう。彼らは南部軍との戦が終わったあと、再び敵対する勢力となる者達だ。


 彼らに犠牲を出させることに躊躇いはなかった。


 そして南部軍の突撃が彼らに向いている内に、蘆名軍は南部軍の横腹を突く。蜂矢の陣とは防御を捨て攻撃にその力を全て振り切った陣形である。


 いかに精強無比な南部軍といえど、蜂矢の横腹を攻撃すれば崩すことが出来るはず。


 戦後の状況までを見越した完璧な一手。しかしその時、盛氏の目に衝撃的な光景が写った。


 蘆名軍が雁行の陣へと移行するのと同時に、最上軍も同様の行動を取ったのだ。

 

 考えていたことは最上軍も同じ、南部軍の突撃を蘆名軍へと差し向ける気である。


 するとどうなるか?


 マズイ、それは非常にマズイ。


 二つの雁行は開いた両翼へと変化する。伊達家連合軍は軍全体で見ると、鶴翼に近い体勢となるのだ。


 そして鶴翼とはその性質上、中央が手薄になり易い陣形である。






 かの徳川家康は三方ヶ原の戦いにおいて同様の状況となり、武田軍に中央を突破され、糞を漏らしたという逸話が残っている。


 漆黒の矢が、伊達連合軍の開けた中央に突き刺さった。






目指せ総合5000ポイント‼︎


オラに元気を分けてくれ‼︎

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[気になる点] 仙台になる前は「千代」だった、と郷土史では教わりました
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