エピソード0 誘拐#1
目が覚めたら周りには幾つもの色の配線が至るところに張り巡らしている部屋にいた、明かりはほとんどなく唯一複数のモニターの光で周りがある程度確認できるくらいだ。
此処は何処だ?何故俺はこんな所にいる?誘拐か?
周りを見渡しても一人っ子一人もいない、というより人の気配がはない、それに体を拘束されてもいない、誘拐にしては無用心すぎる。
だが出入口らしき扉も見当たらない、どうしたものか、脱出ゲームにこんなシーンがいくつもあるが、これは現実でゲームにしては雑すぎるし説明も一切ない。
目が覚めてから何分経っただろう?少なくとも30分以上は経っている、もしかしたら1時間は過ぎてるかもしれないが、なんせ寝間着姿の為時計を持ち合わせていないのだ、この数十分辺りを調べたがあるのは壁や床に引かれた数本のコードと先ほどがザーザーっと砂嵐のホワイトノイズを出すモニターが5個ほどある、この音が不安と苛立ちを煽って来て気が狂いそうになる。
一度状況を整理しよう、まず此処が何処だかわからない、周りに人もいなく気配もない、出入口も見当たらない、誘拐にしては体を拘束されていないし、無理やり連れて来られた訳でもなさそうだ、マジで俺を誘拐して何の得がある?あるのは、配線コードとモニター、自身の私物はなく寝間着のパジャマ姿、パジャマ姿ということは俺は寝ている時に連れて来られたという事になる。
寝る前の事を思い出してみよう。
まず、午前中は二丁目に住むの坂上さんの迷いネコのノラを探して、というよりいつもの二丁目公園から連れ戻して
坂上さんは78歳の老夫婦で飼い猫の(本当に飼われてるは怪しい)ノラをいつも放し飼いにしておりいつも家から居なくなったらすぐ捜索依頼をくれる方々だが、何度首輪を着けろ、ゲージに入れろと言っても
「そんなのノラが可哀想」と言って聞き入れてもらえず、毎度ノラに逃げられる人達だ、だが等のノラはいつも決まって坂上さんの家の裏にある?二丁目公園で日向ぼっこをしているだけで、暗くなったら普通に自分で帰る賢い猫だ、というよりただ坂上さんの家に勝手に住み着いているだけにも見える。
依頼の連絡が来る度に公園にいると言っても、わからないの一点張りでいつも呼び出される。ノラも元々人懐っこい為名前を呼んだら喉を鳴らしながら普通に近づいて来て、抱っこをしても嫌がらない為楽な依頼ではあるが。
さすがにそんなの依頼で老夫婦から金を取る訳にもいかないので最近は金を貰ってはいないが、それでは申し訳ないと飯をご馳走してもらっている。近所からも評判の良い、お人好しな老夫婦だ。
坂上さんの家でノラの捜索依頼の報酬から昼飯を頂いたあとは、緑が丘商店街のスーパーサニクの万引きGメンをして地元の中学生二人の万引きを捕まえた。
その中学生は泣きながら警察と学校と親には言わないでと懇願してきたが、問答無用で『ふざけるな!』と言うと同時に拳骨を張ってやり、2時間説教をしてやった、スーパーの店長がやり過ぎと止めるまで、俺も我に帰り警察と学校には言わないが親には言うと中学生二人に親を呼ばせ、まず一人目の親は両親が来て父親が俺の拳骨でできたたんこぶにさらに拳骨を加えすぐさま店長に頭を下げていた。
もう人の子の親も母親だけだったが、すぐ来て平謝りではあるが店長にいち早く頭を下げて「おいくらですか?」と言ってきた。
そういう問題じゃねぇだろ、と俺と店長は思いつつ一呼吸ついて店長が「幸い商品に傷等がついてる訳ではないのでお金は要りません。私は彼等に反省して欲しいだけです」と言った。
俺も横でただ頷いた
両親が来ている家庭はそれは勿論と言わんばかりに俺と同じタイミングで頷くが、もう一人の子の母親は具体的にどうすれば、という顔をしていたので、俺が横から口を出す。
「今回は学校と警察につき出したりする事はしません。」
その言葉を聞いて2それは二家族は小さく安堵のため息をつく、その気持ちはわからんでもない、続けて喋る
「ただし、万引きも泥棒行為のれっきとした立派な犯罪です」犯罪に立派という言葉は使いたくないが、やはり使ってしまうな。と余計なことが頭をよぎったがさらに続ける
「こいうのは、どうでしょう?丁度もうすぐ夏休みですし、夏休みの初めの一週間店を手伝って貰うと言うのは!!」
店長も含め俺以外の全員が「え!?」と言った。