妖精
妖精
目が覚めたら、部屋に妖精が居た。
身長は15センチぐらいだろうか、背中から透き通った羽を生やし、ヒラヒラした衣装を身に付けた、おっさんだ。
「なんで、おっさん?」
寝起きだというのに、僕は思いっきり突っ込んだ。
「なんや、妖精は可愛い女の子だけやと思とったんか?」
「いや、だって、妖精といえば、ちょっと生意気な可愛い女の子じゃないの?」
「そんなピュアな妖精ちゃんが見えるんは、ピュアなハートの持ち主だけや、おんどれみたいな汚れた心の持ち主には、俺みたいな汚れ……汚れたおっさんが……うぅぅ……」
「自分で言って泣くなよ、汚れのおっさん」
「汚れ言うな! 好きで汚れた訳ちゃうわ!」
「何か理由があるのか?」
「当たり前や、妖精って言えば悪戯好きって決まってるやろ、だから俺も小さな女の子に……」
「帰れ!」
「ちっ、しゃーないな、何か食わせてくれたら帰ったるわ」
「食う物っていっても、冷凍ピザぐらいしか無いぞ」
「朝からピザって、どんなジャンクな食生活やねん……」
「嫌なら食わせないぞ」
「あぁ、待て待て、食う、食ってやるから有り難く思え」
「なんでだよ……」
心底ムカつくけど、とにかく帰ってもらいたいので、冷凍ピザを電子レンジで温めて、出してやった。
「かぁ、いかにも冷凍って感じの、やっすい味やなぁ……」
ムカつくので、タバスコを頭からぶっ掛けてやった。
「め、目がぁぁぁ、目がぁぁぁぁぁ……」
妖精のおっさんは居なくなった。
今日からは、妖精避けにタバスコを持ち歩く事にしよう。