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陸  波紋


 ――静寂は時として、遠い昔の記憶を呼び起こすものだ。これは僕が、丁度そこで眠っているそれと同じ姿をしていた頃のことだっただろうか。あのあと僕がどうなったのかはすっかり記憶から抜け落ちてしまっているが、今こうして舟の上に在り、そして、それがいるということはつまり――


「……!」

 

 ぎぎぃと。これまた嫌な音をたて、舟が左側に大きく揺れた。行成ゆきなりの出来事に体がびくりと跳ねめくが、何とか踏みとどまる。驚いて飛び起きはしないだろうかと心配したが、それは起きる様子もなく穏やかな寝息をたてていたので、僕はほっと胸を撫で下ろした。

 やがて揺れは小さくなり、またもとの静寂が戻ってくる。一安心したところでさてと左側の湖面を見やると、舟からやや離れたところで、やけに大きな波紋がさざなみにのって揺れている様が目に入った。大きな魚でもいたのだろうか、それでもただの魚が舟を揺らすなど、できるはずがないだろう。だが誰が動いたわけでも無し、他にそれらしい原因があるとするのなら……。……やっぱり、大きな魚がいたということにしてしまった方がいいのかもしれない。




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