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6-2

「結果的には中津森の奥方様は素晴らしいお方だったって訳だ」


 イーシュの話を聞き、向かい合うベルンが何度も頷いていた。


「それに新しく選ばれた二人の将軍……エイク様とティジット様もな」


 当時は中津森のことや奥方、それに二人の将軍のことを噂にしか知らなかったイーシュも、中津森に暮らして半年を過ぎ、今ははっきりと肯定の表情を浮かべる。

 兵士であるベルンにはイーシュ以上に知るもの、感じるものがあるらしい。今度は深く、一度だけ頷いた。


「東と西の森が失われてなお、この中津森は英気衰えない。これを奥方様の力と言わずしてなんと言うのだろうな」


 煙るようなベルンの目は、窓の外にそびえる木立を越え、ここからは見えない湖の向こうに広がる森を越え、故郷の西津森の在りし日を見ていたに違いない。

 自らが生まれ育った森には、そこまでの英気が無かったこと。人材が、運が無かったこと。それを儚んでいる表情だった。

 ベルン自身が西津森では名の知れた剣士であったことも、感慨をより深くしただろう。


「しかしそんな話が出てくるとなると、愛すべき故郷、西津森の最期はまもなくの頃か……。ふっ……聞きたいような、聞きたくないような……だな」


 言葉に迷うイーシュは眉根を寄せて、別に見たくも無い床の石板の模様を眺める。


「あれはあんたが連続で三度目の御霊入れを務めた年だったっけな……」


 ベルンが話し始めたのが何のことなのか、イーシュにもわかっていた。

 

 





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