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第5話 変身?



第5話 変身?



あれから二人に慰められ、「気にしないで」と言われたので気にしない事にしたルカ。新しい体に早く慣れようと決意した。

取り敢えず、呼び捨てでいいと伝える事が出来た。そして用意された部屋に移動した。

青緑の間は、二階に位置しているがテラスからは庭に出る事が出来る。部屋は広く、床に厚手の絨毯とクッションが置かれ、背の高い家具が無いので視線の位置が低くなった体でも快適そうだ。

流石王宮、手配が早い。


今日は慌ただしいからと、部屋で食事をとる事になった。

アレクシオンは用事が有るからとフィリップと2人である。食事は部屋の前まで運ばれ、そこからはフィリップが運んだ。ルカを余り刺激しないようにとの配慮だ。


テーブルに配膳しルカとフィリップは床に座った。

ルカの食事もテーブルに置かれた。一瞬フィリップは床に置こうとしたのだが、ルカがテーブルの前に座って待っていたのでテーブルに置いたのだ。今回の二人の食事はルカの様子見も兼ている。

流石に王宮でも獣の国賓は初めてで、探りながらの対応である。部屋に使用人が入ってこないのもその為だ。


(生のお肉だ。)


ルカの食事は、一口大に切られた何かの肉だった。せっかくでっかい(ヒョウ)に成ったのだからと、恐る恐る食べると美味しかった。どうやら味覚も変わっているようだ。

ガッツク事無く上品に食べて行くルカにフィリップも安心して食事をした。これなら人に見せても大丈夫だと。食事は王族と共に取る事になっているのだが、ダイナミックに食べられたらどうしよう、と話し合われていたのだ。

ルカは神の愛し子。神と同列で立場的に王族よりも上だ。しかし獣。対応を王宮中で模索中。

厄介な客である。


「美味しい?」


コクンとルカが頷く。

フィリップの顔がニヤケて崩れている。本当に動物好きらしい。

そんな視線をものともせず、ハムハムと肉を平らげて行く。余ほど美味しいらしい。


食事を終えしばらくすると、何か用事が有ったら部屋の前に警備が居るからと言って帰って行った。

これから明日の朝までは一人。知らない人に囲まれて気疲れしたルカはゴロゴロすることにした。





夜も更けてきて、ハッとルカが眼を覚ました。

ゴロゴロしている内に、眠ってしまったらしい。そういえば家族に手紙を届けてくれるとタキオンが言っていたなと思い。


(どうやって手紙を書くんだろう?)


ルカは猫手である。ペンなどとても持てない。いや、練習したらもてるのか?

などぐるぐる考えていると、タキオンが困ったことが有ったら話しかけろと言っていたな、と思い出した。


(タキオン。タキオン。困っています。返事をください。)


と、心の中で話しかけた。


「やっと話しかけてきたかルカ。どうした?」


超美声のタキオンのお返事。相変わらずいい声。


(でっかい猫だから、家族に手紙が書けない。どうしたらいい?)


「でっかい猫って。その姿は黒ヒョウだぞ?まあいいか。元の姿に、と念じれば戻るぞ。やってみな。」


ルカは素直に念じてみると、あら不思議。獣の姿から人間の姿に変わりました。

しかも何故か、体にピッタリとした黒のライダーズスーツを着ています。


「おお出来たな。その服は基本形だ。変化する時に念じれば違う服にもなるぞ。裸がいいなら、裸と念じろ。人型に成る時服を着ていないと困るだろうからオプションだ。」


(ありがとう)


ルカは確かに裸は困るな~と思ったので喜んだ。これで手紙が書ける。

書いたらどうすればいいんだろう?


(書いた手紙は?)


「これに乗せておいてくれ。向こうにも同じ物を送るから文通できるぞ。」


ルカの傍らに、金色の四角いトレーが現れた。これで家族との連絡手段が出来た。


(ありがとうタキオン。)


「また何かあったら呼びかけなさい。我が愛し子。」


そう言って声は聞こえなくなった。


ルカは早速部屋をあさり、筆記用具を見つけると手紙を書いた。

書いた手紙をトレーに乗せると手紙が掻き消えた。さすが神様の道具。後は返事を待つだけ。

そのうち届くだろうと、ルカはヒョウの体に戻る事にした。

今はヒョウの体が楽しい。元々グータラなルカには猫の体がよく馴染んでいて、人型よりも気にいっている。だから当分獣体でいるつもり。



こうしてアルトレン国に来た神の愛し子が、超美女だという事は誰にも知られる事が無く、神獣、獣として認識された。

誰がいつ気がつくのか?









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