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クロスオーバー  作者: 連鎖
みさき(運命)
52/98

潜入①

 美咲は三島の言葉を思い出しながら、

「トレジャー・ナイト」の裏口にたどり着き、

 緊張で心臓が高鳴るが、それでもここへ向かう決意を固めていた。


 時計を見ると、すでに面接時間の21時を過ぎて23時。


 わざと遅れてきたのは、自分の価値を試すためでもあり、

 遅い時間なら、相手も疲れて面接が緩くなるかもしれないという、

 少ない打算もあった。


 薄暗い路地に足を踏み入れると、チンピラ風の男が近づいてきて、

 彼は美咲の姿を見て驚いた様子で、まじまじと彼女の顔を見つめた。


「お、お前…美咲だろ?」男は一瞬目を見開いた。


「ええ、そうです。面接に来ました。」


 と、美咲は少し緊張しながらも毅然と答えた。


 その美しく凛々しいい姿に、男はたじろぎつつも、

 彼女の顔を見て何かを思い出したようで、


「なんでこんなところに…お前、あの店で働いてるんじゃなかったのか?」


 と、疑わしげに眉をひそめる。


 彼が自分の顔を知っているとは思わず、美咲は一瞬戸惑ったが、

「事情があって、ここで働く必要があるんです」

 と、相手の目を真っ直ぐ見て答える。


 真剣な美咲を見ても、男の表情は困惑したままで、


「まさか、本当にこんなところに来るとは思わなかったが…

 本気なのか?ここで働くつもりなのか?」


 明らかに、自分の働いている店が、

 まともでないとでも言いそうな顔で話していた。


 その態度に、美咲はこの店に何かが有る事を確認し、

 心の中で「ここだ…友達はここにいる」と何処か納得し、

 友達を探すために、何が何でもこの面接を成功させなければならないと、

 心を決めていた。


「はい、本気です。短期間でお金を稼ぐ必要があるんです」


 彼女は真剣な表情で男を見据えた。


 少し考え込んだ男はやがて頷き、

「わかった、待ってろ。中に通してやる」

 と扉の鍵を開け、美咲を店の中に招き入れた。


 。


 美咲は、新しい一歩を踏み出す瞬間を感じながら、

「トレジャー・ナイト」の内部へと足を踏み入れた。


 ドキドキしつつも、強い決意で自分を奮い立たせて、

 今日は、いつもなら絶対に着ないような、

 お尻がチラつく赤いボディコンワンピースを選んでいた。


 その服は体のラインを強調する見た目と、

 佐々木が選んだ大胆なデザインの白い下着が背徳的な気分を誘い、

 本当は、自信が無く臆病な彼女を支えていた。


 そんな気持ちの美咲は、薄暗いVIPルームのような部屋に通され、

 ソファに座る数人の男たちが、無遠慮な視線を向けて、

 その視線に一瞬身震いしつつも、美咲は自分を奮い立たせる。


「この女が、あの店で有名な美咲だ。今日からここで働きたいらしい」


 と、連れてきた男が紹介すると、

 他の男たちは興味深げに笑みを浮かべた。


「この店に来た目的を話してみろ」と、別の男が促す。


 遅れて来た美咲の面接を、やめるつもりが無いと気づき、

 その言葉の意味に気づいてしまうと、

「やっぱり、そう聞く…」と、美咲の胸には不安が的中する。


「はい、よろしくお願いします。」


 美咲は意味の無い返事をして、男たちの視線に負けないよう気を張る。


「だから、この店で何を期待しているんだ?」


 呆れた声だが鋭い目で続けて尋ねられ、

 美咲はしっかりと目を合わせてから、

 これから言う言葉で全てが決まると、

 少しだけ躊躇しながら、決めていた言葉を口にする。


「こちらの店で、処女を高く購入してもらえると聞きました」


 その言葉は、彼らの興味を引くために彼女が考えた一言だった。


 実際には、失踪した友人を探すためにここにいるのだが、

 刺激的な話で彼等の関心を引き、面接に合格したかった。


 もちろん、美しく凛とした美咲が自分から告白したので、

 男たちは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに興味深げな笑みを浮かべた。


「ほう、それは面白い」「いいね、美咲」「そういう事…」


 と、彼らはさらに身を乗り出してきて、

 彼女の気持ちがどれほど本気なのか、探るように見てきた。


 彼等の目が、本当の気持を探っているようだったので、

 美咲は「本気です。」と、強い意志を込めて頷いていた。


「そうか、美咲」「すげえな」「へぇ。処女かい」


「処女である私に、特別な価値があるのなら、

 高価で買っていただける場所で、それを売りたいと思って来ました。」


 男たちの表情が少し和らぎ、興味が引かれているのが分かり、

 美咲は、わずかな成功を感じつつも自分を鼓舞した。


 しかし、次の瞬間彼らの間で視線が交わされ、何かが決まった。


「じゃあ、試しにテストしてみよっかぁ。

 お前のその価値が本物かどうか、見極めさせてもらうぞ。イイナ?」


 その言葉に、美咲は一瞬、心臓が止まる思いがし、

 男たちの意図が明らかになり、彼女の胸に恐れと絶望が広がる。


 しかし、ここで後退するわけにはいかないと心に誓い、

 友人を救うため、そして自分の目的を果たすために、

 彼らの試練に立ち向かうしかないと、決意を込めて彼らに向き直る。


「どうぞ、何をされても構いません。」


 もちろん、内心では「イヤ…ヤメて…」と叫びたかったが、

 ここまで来た以上、もう後戻りはできない。


 彼女の心には諦めと同時に、

 面接が計画通りに進んでいる興奮も入り混じっていた。


「この面接に合格して、必ず大金を掴んでみせます」


 その言葉に込められた強い意志を感じ取り、

 男たちも一層興味を持ち始めたのが分かる。


 もう引き返せないのだと覚悟を決めた美咲は、

 彼らの視線を一身に浴びながら、

 相手から言われる前に、スカート部分からワンピースをめくり上げ、

 脚を開き腰を前に出し、彼等から見えやすい格好になっていた。


 もちろん、何故ショーツを脱がないのか気になった男達の視線が、

 美咲の下半身に集まったが、


「穴開きだろ?」「そうか」「へぇ、最初から見せるつもりか」


 と、一人は見慣れているらしく、

 美咲が履いているショーツが穴開きなのを知っていた。


 そう説明されるだけで他の男達も気づき、

 ちょっと動かすだけで中が見ることも出来るし、

 好きに出来ると気付いた瞬間、男たちの視線が鋭く美咲に集中した。


「動くなよ」と、一人の男がスマホを取り出し、

 美咲の体に無遠慮に指を這わせながら、

 彼女の言葉を確認するかのように、そこに向かってレンズを向ける。


 指の感触に美咲は身震いしたが、自分がここで何をしているのか、

 やっていることが間違っていないと信じて、耐え抜こうと決意を固めた。


 必至に我慢している美咲の顔が楽しいらしく、

 男は満足げにフラッシュを焚き撮影を続け、

 その光が瞬くたびに、美咲の心には恐怖と不安が交錯する。


 それは、自分がまるで見世物になっているかのような感覚に襲われ、

 同時に、この状況を利用しなければならないと誓った。


「いいね、その表情。もっとこっちを見てくれ。」


 男は楽しげに言いながら、美咲の嫌がる顔を撮り続けた。


 彼女の凛とした雰囲気で、嫌悪感を感じて微かに歪んでいる表情は、

 撮影している男に、さらなる興奮を与えているようで、

 周囲の男たちもまた、その様子を楽しんで見ているのが感じ取れた。


 美咲は心の中で葛藤しながらも、

「もう少しで終わる…もうちょっと…」と強い意志を保ち続けた。


 もちろん、嫌がって感じているように見せているのは、

 男たちを引きつけるための演技で、本当の目的は友達の行方を掴む事。


 だからこそ、どれほど見せかけの表情を浮かべようとも、

 決してこの男たちに屈して、

 本当に感じることなどないと自分に言い聞かせた。


「こんなことで、全てを終わらせるわけにはいかない。」


 と彼女は心の中でそう強く呟き、自分を奮い立たせ、

 状況に飲まれることなく冷静さを保ち、何をすべきかを考え続けた。


「まだ始まったばかりよ。」美咲はそう自分に言い聞かせて、

 これから続く、長い戦いに向けて意志を新たにしていた。



 潜入①

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