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クロスオーバー  作者: 連鎖
みさき(運命)
42/101

秘書②

 美咲は、自分をあざ笑うように見つめてくる佐々木の視線に耐えられず、

 心の整理をつけるためにトイレに行くことにした。


「すみません、トイレはどこですか?」と少し控えめに尋ねると、


 佐々木はいやらしい笑みを浮かべながら、

「奥の廊下を左に曲がって、突き当たりだよ」と指差した。


 佐々木が素直に教えてくれたことにホッとしつつ、

「ここでしろとか、一緒に行くとか言われなくて良かった」

 と、心の中で山田が言いそうな事を考えてしまうおかしな美咲は、

 安心しながらトイレに向かう。


 小さな工場なので、男女共同トイレは狭かったが、

 やっと一人になれたと美咲は深く息をつき、心を落ち着かせようとする。


「今も見てる…わけないよね」と、周りに注意しながらスマホを取り出し、

 三島が渡してくれた似顔絵の男について検索してみることにした。


 検索結果をスクロールしていると、驚きの職業が次々と表示され、


「風俗店のスタッフ?政治家?スポーツ選手?先生?なんで…?」


 と、美咲は思わず小さな声を漏らす。


 この描かれた男と、出て来た写真も似ていたが違う感じだし、

 もし同じ人なら、彼が普通の人間ではないことが分かり、

 三島が、その男の事を警戒する理由が見えてくる。


 だが、もし自分が彼の事を何も知らないまま会いに行ったら、

 無理矢理聞きに行って、相手が知らないと言ってきたら、

 最悪は、友達と同じように自分もなってしまうかもと、

 次々とそういう疑念や恐れが頭をよぎる。


「まさか、あの男がそんな…」

 と、洗面台の鏡を見つめながら、美咲の表情は少しずつ歪んでいった。


 さらなる情報を求めて再度検索をかけるも、

 出てくる情報は、どれも自分の予想を覆すものばかりだった。


 このままアルバイトをせずに帰ったらと、

 胸の奥に広がる不安を必死に抑えながら、

「今は冷静にならなきゃ…」と自分に言い聞かせる。


 その時に頭に浮かぶのは、昨日のアルバイトの記憶で、

 深夜だと言っても人通りが多い場所で、確かに仕事をしていた。


 上着はホルターネックビキニ、下はハンドタオル位のスカート。

 そんな姿で繁華街でのティッシュ配りをし、

 周りを取り囲んくる酔っぱらいに喜んで話しかけ、

 相手が身体に触れてくるのに、そんな人と楽しそうに談笑している自分。


 思い出すだけで、目眩と吐き気が出てくる記憶の中で、

 その女は嫌がる事などせずに、

 山田が喜びそうな、スペシャルという行為をしていたらしい。


 美咲はトイレの鏡の前で自分を見つめ直し、

 いつまでも不安な気持ちを抱え込んでいても仕方がないと思い直す。


「今更、秘書で?どうして弱気になっているの美咲!

 友達を助けるんでしょう。だったら、何を怖がるの。

 アレだってしたでしょ。今さら出来ませんなんて言えない!」


 と、気弱な自分を無理矢理奮い立たせて、

 三島の言ったことが本当かを確かめる為に行動を起こすしかないと、

 もう一度、佐々木に会いに向かう。


 美咲は再び佐々木の前に戻って、

「佐々木さん、ちょっといいですか?」と少し緊張しながら声をかけた。


 佐々木はデスクで無造作に資料を広げていたが、

 彼女の声に振り向かずに「どうした?」と、不機嫌そうに答える。


「私の格好について、ちょっとアドバイスをいただけませんか?」

 と美咲が言うと、佐々木は「アドバイス?」とぼそり。


「今の服装のままでは、仕事に支障が出るのはわかっています。」

「そうだなぁ。」特に気にもせず、面倒くさそうに答えてくる佐々木。


「秘書の仕事にふさわしい服装を、

 ぜひ佐々木さんに、教えていただけないかと思いまして…」

「面倒くせぇ。」


 とても不機嫌そうな顔をしてくる佐々木に、

「是非、お願いします。佐々木さんの思う秘書という仕事を教えて下さい。

 ここの会社で、絶対に秘書として仕事をしたいんです。」

 頭を大きく下げて、お願いしていた。


 そんな必死な美咲の態度に、佐々木は下卑た笑みを浮かべ、

「じゃあ、残業だな。これから付き合え。」と答える。


「はい?」残業という意味がわからない美咲は、曖昧に返事をする。


 その意味がわかった従業員たちが、冷やかしながら囃し立てる。


「美咲ちゃん、明日は俺と…」「いいなぁ。今日の彼女とデートですか?」

「お泊りですかぁ、社長。」「秘書とお泊りは、セクハラですよぉ。」


 佐々木は周囲の冷やかしを無視して、

「さっさとこい。お前は、こっちだ」と美咲の手を乱暴に掴んだ。


 突然手を掴まれて、驚きとともに心臓が早鐘を打ち、

 引かれた腕の痛みを感じて思わず「痛い」と彼を睨んだが、

 佐々木は気にも留めず、嬉しそうに薄く笑みを浮かべていた。


「美咲ちゃんは、俺と残業だ。さっさとこい。」


 美咲は腕の痛みで戸惑ってしまい「佐々木さん?」と、声をかけたが、

 彼は「行くぞ」と短く言うだけ。


 流石にこのままだと不味いと思った美咲は、


「ちょ、ちょっと待ってください!残業って!」


 と、必死に立ち止まって抵抗するも、彼の力に抗えない。


「時間が無い、行くぞ。」


「私、服装を教えてもらうだけで大丈夫です。

 しかも、何処かに行くって、今は仕事中ですよ!」


 子供の抵抗しか出来ない美咲に、小馬鹿にするような笑みを浮かべ、


「何を言ってんだ?お前は、ここに秘書をするために来たんだぞ。

 その格好じゃ、仕事にならねぇだろ?」


「…すみません」と、美咲は相手の威圧に抵抗出来ない。


「全部お前が悪いのに、残業に付き合ってやる俺が悪いか?」


 と、一方的に言い放つと、彼女の腕を強く掴みさらに引き寄せてくる。


 周囲の視線が、肌に突き刺さるように感じられ、

 美咲の心は、恥ずかしさと恐怖が入り混じって萎縮してしまい、

 無力感がじわじわと彼女を包み込む。


「佐々木さん、やめてください…」と、震える声で訴えるが、

 彼は、その言葉を無視して腕を強く引いてくる。


「大丈夫、大丈夫。俺が一番、秘書の仕事ってやつをわかってるからな」

 と、佐々木は今度は優しく穏やかな声で美咲に話す。


「は、離して下さい。佐々木さん。」


 それでも腕の痛みが変わらないが、佐々木の穏やかな声に、

 いつの間にか、「この人って優しいの?」と、錯覚し始める美咲。


「いいか?俺だって、これ以上乱暴にしたくはないんだ。

 お前もわかるよな?美咲が、俺に教えて欲しいと頭を下げたな?」


 最初は彼の言葉に圧倒され、美咲は言葉を失い、

 今では優しく諭してくる彼の声に「私が悪かったよね。こんな格好…」

 と思ってしまい、さっきと変わって抵抗感が減り


「はい、お願いします…」


 と、佐々木に引きずられるようにして外へと向かっていた。


 もちろん逃げ出したいが、

 秘書の仕事を終わらせないと、三島から情報を貰えないし、

 友達を探すのも先へ進めないという気持ちも残っている。


 美咲は、従わざるを得ないという絶望と恐怖の中で佐々木に脅され、

 その後に来た彼からの優しい声で、「彼の言う通りに…」

 という気持ちが膨らみ始めていた。


 。


 美咲は、会社のロゴが大きく描かれた車の助手席に、

 押し込まれるように座らされた。


 すぐにエンジンがかかり、低く響く音が、

 ここから何処かに連れて行かされると不安をかき立てる。


 彼女の心臓は鼓動を強め、行く先も告げられないまま、

 何が待ち受けているのかと、恐怖がじわりと湧き上がった。


 運転席の佐々木は、

 不敵な笑みを浮かべながら、彼女の横顔をちらりと見てきたが、

 美咲はできる限り冷静さを保とうと、視線を前に固定していた。


 冷静で少し冷たく見える美人が、

 助手席に座っている姿など我慢できる訳が無く、

 車が動き出して数分が過ぎた頃、

 佐々木の手が、デニム地に隠された美咲の太ももに伸びてきた。


「美咲…お前、下着をつけてないんじゃないのか?」


 と、怒りが混じった低く痺れるような声が心の奥に響き、

 彼女は反射的に全身が硬直した。


「えっ…そんなこと…」と、その言葉を否定しようとするが、

 佐々木の手は、ゆっくりと揉むように太ももを撫で、

 その後は、その場所を探るように触り続けていた。


 もう少し上を触られたら気づくと焦る美咲は、

 その行為をやめさせられないし、嫌悪感と恐怖が広がっていくと、

 心の中では「ヤメて」と叫びたくなる。


「どうした、答えろ!」と、車内に響き渡る声がして、

 彼の指先がワンピースの前ボタンに触れる。


「ち。ちがいます」「嘘だな…ブチッ」「は。。はいています」「ブチ」


 美咲を威圧するように、一番下のボタンからユックリと、

 一つ、また一つと無造作に引きちぎっていく。


 美咲は、助手席でシートベルトを締めて座っているし、

 土地勘もない田舎道で降ろされるわけにはいかない、

 今も触れてくる佐々木の手を拒絶など出来ない。


 引きちぎる時に足が微かに持ち上がるが、それを両手で押さえつけて、

「ヤメて」と、言葉にならない声が心を満たす。


 佐々木の威圧と、

 片手でデニム地に縫い付けられたボタンを軽く引きちぎる程の力に、

 美咲は恐怖しか感じられなく、

 息は浅くなり、周囲の音が遠のいていくような気がした。


「全部、ボタンを千切って欲しいのか?」と佐々木が言い放った言葉は、

 彼女をさらに追い詰める。


 一瞬、彼女の心臓が止まったように感じた。


「そ、それは…」と小声で答えるが、返す言葉が見つからない。


 朝、慌ただしく家を出て、つい忘れてしまったことが、

 今になって、指摘されるとは予想もしていなかった。


「じゃあ、いいな?ブチ。。コレぐらい見せてもいいよな。

 その脚の奥に何が隠されているのか、探るのも楽しいなぁ。あはは。

 それとも俺が直接触って、確認したっていいんだぞ?」


 すね辺りまで閉めていた前ボタンのマキシワンピースが、

 今では、前スリットが太ももの半分ぐらいまで入ったスカートに変わる。


「も。。もうヤメて下さい。」

「上下とも、下着を付けない秘書はあり得ないよな?」


 その言葉を聞いてしまった美咲の顔が、羞恥心で真っ赤に染まる。


「はっ。。はい、佐々木さん。ごめんなさい。下着は付けていません。」


「そうか、じゃあ悪い秘書には、罰が必要だなぁ。さっさと足を広げろ!」


「…」


 これ以上は恥ずかし過ぎて、抵抗することさえ出来なくなった美咲は、

 彼が言うように、恐怖で固まった顔のまま、

 膝を離すように、足をだらしなく広げてしまった。


 その顔を嬉しそうに見ながら、

 彼はわざとらしく、広がった前スリットから手を差し込み、

 彼女の膝から内ももまでを触りながら、

 彼女が必至に声を出さないようにしている姿に興奮していた。


 もちろん美咲は、彼の手が直接内ももに触れた時に焦ってしまい、

 反射的に足を閉じようとするが、

 佐々木の手を、太ももで挟むようになってしまい、

 ざらついた手の感触と、彼の視線が怖くてすぐに足を大きく広げる。


 佐々木は満足そうに笑い、ユックリ味わうように太ももをなぶる。


「まあ、気にするな。俺がお前の服を選んでやるんだから、

 下着くらいなくたって大丈夫だろう?ぐい。…ここの奥か?」


 と、彼は軽く笑いながら、まだボタンが残っている方に手を動かし、

 その隠れた奥をなぶってやるぞと脅してきた。


「すみません。絶対に下着は必要です。私が間違っていました。」


 これ以上は無理だと、必死に泣き顔まで見せて謝ると、

 佐々木はその反応に満足したように、

 不敵な笑みを浮かべて、また手を少しだけ元の位置に戻した。


「そうか。そうだよな。美咲。じゃあ、俺が下着も選んでやるよ。」


 そう言いながら、彼はわざとらしく彼女の太ももを強く撫でるが、

 前ボタンが閉じられた先へは、絶対に手を差し込まない。


 美咲は、佐々木の手が内ももをさする度に、

「どうして…」と、自分の体が喜んでいる事に気づき、

 もっと奥まで触って欲しいと、アソコが濡れている事さえ気づく。


 その無遠慮な視線と手の動き、そして自分の欲望が心を縛り付け、


「は。。はい、よろしくお願いします。」


 と、相手の事を見ないように、目を閉じて答えるしか出来なかった。


 美咲はどうにか冷静を装おうとするが、

 嫌悪感と恐怖。。そして、メスの感情が混じり合い、

 息苦しさが増して、冷静な判断が出来なくなっていった。


 佐々木が美咲の太ももを撫でながら車内の沈黙が続き、

 またもや彼が口を開いた。


「何だ、そんな顔をするなよ。せっかくお前のために、

 俺がわざわざ残業して、服選びに付き合ってやろうとしてるんだぞ?」


 言い放った彼の声には、冗談めかした軽さが混じっていたが、

 美咲にとっては、その響きが何よりも恐ろしかった。


 ふと視線を窓の外に向けると、

 見慣れない通りを抜けていることに気がつき、不安が一層膨らむ。


「どっ。。どこへ行くつもりですか?」

 と、美咲は必死に声を出したが、その声は震えている。


 佐々木はちらりと美咲を見て、再び笑みを浮かべた。


「心配するな。俺の知り合いの店があるんだ。

 お前に似合う服や下着が、色々と見つかるよ。秘書の美咲ちゃん。」


 山田と同じような彼の態度に、美咲の心にさらに不安が押し寄せる。


 助手席のシートが妙に硬く感じられ、下半身が異常に火照って、

 どこにも逃げ場がないような閉塞感が彼女を覆い、

 助手席に閉じ込められたまま、美咲が乗った車はどこまでも進んでいく。



 秘書②

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