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クロスオーバー  作者: 連鎖
あーちゃん(夏の海)
30/99

帰宅

 日が昇り始め、日差しも強くなり、早朝から遊んでいた二人の時間も、

 そろそろ終わりに近づいていた。


「疲れたよぉ、お姉ちゃん。」


「もう少しで海の家が開くから、シャワーを浴びてから帰ろう。

 あとちょっとだけ頑張って、亮平くん。」


 最初は優しく声をかけていたひかりだったが、次第に顔が曇り始めた。


「喉が乾いたぁ。」

「さっきから文句ばっかり!海の水でも飲んだら?さぁ、泳ぐの!」


 とうとう怒ったように、ひかりが声を上げていた。


 その様子に驚いた亮平は、

 慌ててクロールのようにバシャバシャと必死に水をかき始めた。


 。


 このように二人がなった理由は、

 彼が「泳ぎたいなぁ。」と浮き輪につかまって漂いながら、

 ぼそりとつぶやいたのがきっかけだった。


「まずは水に慣れよう!」ひかりは嬉しそうに水中眼鏡を手渡した。


「ブクブク、ザバーン。見てたでしょ?亮平もやって!」


 風呂でよくやっているから簡単だと思った亮平は、

「ブクブク、プハァ。」と水に頭を沈めてから浮かび上がった。


「すごい、水が怖くないの?さすが亮平ぇえ!」


 彼女が喜ぶ声に嬉しくなった亮平は、足がつかない沖でも、

「ブクブクウウ。。ブッフぁぁ!どう?できるでしょ!」と、

 自慢げにひかりに笑いかけた。


「さすが!じゃあ次はバタ足ね。見てて、バシャン、バシャン!」


 ひかりが海に軽く浮かびながら、両脚を一度ずつ蹴ってみせた。


「バチャバチャ、バチャバチャ!」


「いい感じよ!じゃあ今度は腕も使って!

 いい、見てて。スウゥ。。バシャン、スウゥ。。バシャン。」


 そう言いながら、ひかりは優雅に腕と脚を動かし、

 綺麗なフォームで泳ぐ姿を見せていた。


「ブク。。ボブウ。。ブク。」


 すでに潜れる亮平は、海の中からその姿を必死に追いかけていた。


 。


「バシャッ、バシャッ!」


 亮平は必死に泳ごうとするが、どうしても沈んでしまう。


 腕を動かせば浮くと言われたが、

 そうすると息継ぎや手足の使い方がよくわからなくなった。


「もっと早く腕を動かして!あと、さっさと身体を捻れば浮くの!」


 ひかりの声に焦りながら、亮平は手足をバシャバシャと動かし、

 いつの間にか、少しは形になってきたが、

 彼自身は、どう見えているかなんて気にしていなかった。


 。


 ようやく帰る時間になり、二人は沖から戻ってきたが、

 彼女の股下ほどの浅瀬に差し掛かると、

 亮平は突然「ジャボン!」と海に潜り、彼女の視界から姿を消した。


 後ろを歩いていた亮平が、その音と一緒に消えて焦ったひかりは、

「亮平?どこにいるの?」と、不安そうに声をかけながら探していたが、


 突然、亮平の腕が膝に絡みついてきて、彼女はバランスを崩してしまい、


「バッチャァアン!」


 大きな水しぶきとともに勢いよく海に倒れ込み、

 周囲の視線が二人に集まっていた。


「もぉ、亮平!」と水浸しのひかりが立ち上がると、

 亮平は「アハハ、ごめんね!」と笑いながら謝っていた。


 二人で楽しそうに話しているが、

 ひかりの姿は、濡れたビキニがぴったりと身体に張り付いているし、

 倒れた時に紐が緩んで布が外れたらしく、

 それを恥ずかしそうに直していた。


「本当にびっくりしたんだから!」

「本当にごめんね。」


 ひかりが真剣に怒っているのか、笑っているのか、

 亮平にはわからなかったが、

 いたずらが成功したことに満足げな笑みを浮かべていた。


「でも、すごくかっこよく泳げるね。オレももっと上手くなりたいなぁ。」


 その言葉に、ひかりは優しく亮平の頭を撫でながら微笑んだ。


「大丈夫、何度も練習すれば、もっと上手くなるよ。」


 そうやって、二人の海での経験は終わった。


 。


 海の家が開く時間が来て、二人はそこに向かい、


「まだ砂が残ってるって!」「もういいよ。もう落ちたから。」

「こっちも。」「お姉ちゃんだって、そこに砂が残ってるって。」


 一緒にシャワーを浴びながら、ふざけながら身体を洗いあっていた。


「そろそろ帰るよ。亮平、準備できた?」


 亮平は、少し名残惜しそうにうなずく。


「うん、でも楽しかった。また来ようね、お姉ちゃん。」


 車に戻ると、二人は笑いながら狭い車内で身体を見せ合いながら着替え、

 エンジンがかかると涼しい風が吹き込んできた。


 亮平は海を見つめながら、今日までの出来事を振り返えった。


 ひかりとの二日間は、亮平にとって特別な時間だった。


「今日も楽しかったね、亮平。」 「うん、また絶対来ようね。」


 二人は笑顔で、車を走らせていった。



 帰宅

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