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クロスオーバー  作者: 連鎖
あーちゃん(夏の海)
28/99

目覚め

 ファミレスを出た浅見ひかりは、

 背負っていた亮平を、フルフラットにした車内にそっと寝かせていた。


「私って?」亮平が心地よく寝ている姿を見ながら呟いていた。


 気持ちよく寝ている亮平を見ながら、

 車内が涼しくなったところでエンジンを切ると、静寂が広がっていた。


 もちろん、外は蒸し暑い真夏の夜で、

 湿気が肌にまとわりついたような気がしたが、

 彼女は疲れていたらしく、すぐに目を閉じていた。


 。


 どれくらい時間が経ったのか、ひかりはまだ寝付けず、

 何度も寝返りを打ちながら横になり、額に手を当てていた。


「フゥ、やっぱり暑いなぁ」と、手のひらにうっすらと汗を感じたその時、

 ふと誰かに見られているような気配を感じた。


 もちろん、駐車場には誰もいないし、

 遠くの街灯がぼんやりと照らすだけの、静かな夜だった。


「フウフウ。。アツイアツイ。。」


 まるで夢の中にいるかのように、咲良の声が耳に蘇る。


「亮平をよろしくね。ひかりちゃんが大好きらしいのよ。」


 ひかりは、眠れない意味に気づき、仰向きになって目を閉じた。


 亮平が自分を女として好きなのか、

 ただ母親の代わりとして寂しさを紛らわしているだけなのか、

 その違いが分からなかった。


 だが、亮平が甘えてくれるたびに、

 自分の中の孤独が、少しずつ癒されていくのを感じていた。


「亮平は、ひかりが好きでご飯来たよ。」


 ボブとの食事中に、彼もそう言っていた。


 こんなに年が離れた自分をどうして好きになれるのか、分からなかった。


 ボブのように気持ちをぶつけてくれれば、判断できるのだろうか?


 それとも自分自身、恋愛について何も分かっていないのかも?


「ひかちゃん、男ってのは年は関係ないんだよ。」


 けんちゃんに撮影されている時も、そんなことを言われたっけ。


 映画の主人公みたいな大げさなことを言われても、現実味がなかった。


 だが今は、彼らが何を言いたかったのか、少しだけ理解できる気がした。


「いいって。。」「イキオイよ。。」「自分の気持を。。」


 激しい熱にうなされながら、

 三人の笑い声が頭の中をぐるぐる回り、その声はどんどん大きくなり、

 やがて身体の奥で、何かが爆発するかのような熱がこみあがってきた。


 そして突然、視界が真っ白に閃き、


「イッ。。」


 その衝撃に驚いたひかりが目を開けると、

 車内に街灯の薄明かりが差し込んでいるだけで、

 辺りは静まり返っていた。


「ひかり?」「亮平?」


 しかし、びっくりしたような亮平の顔が目の前にあり、

 彼もまた、ひかりの表情に何かを感じ取ったようだった。


「おいで、亮平。。」「ひかり。。」


 車内の狭さが、二人の距離をさらに縮めていた。


 エンジンを切ったままの車内は、蒸し暑さを閉じ込めた箱のように、

 二人の息遣いでさらに熱を帯びていく。


 波の音が遠くにかすかに響き、車の外では誰もいない静かな夜だった。


 ひかりはシートに沈み込みながら、目の前にいる亮平の顔を見つめると、

 彼の瞳は真剣で、普段のあどけない表情とは違った顔をしていた。


 ひかりは少しだけためらったが、彼の手が自分の頬に触れた瞬間、

 その戸惑いは一瞬で消えていた。


「ひかり。。」亮平の小さな声が囁くように響く。


 ひかりは彼の名前を呼び返すことなく、その手を取った。


 そして、二人はゆっくりと近づき、お互いの身体が触れ合うと、

 体温が重なり合い、汗がじわじわと滲んでいた。


 触れるだけで我慢できなくなった彼の手が、

 ひかりの身体を撫でるたびに、彼女の心は微かに震えていた。


 亮平の幼さが、その動きに残っているのが分かるが、

 それでも、彼の気持ちが痛いほどひかりに伝わってきた。


「大丈夫。」ひかりが優しく囁くと、

 亮平は緊張をほどくように、深く息をつき二人は唇を重ね、

 車内の空気はますます熱くなっていき、

 彼の指先がひかりの髪を梳き、ゆっくりと彼女の体を辿っていく。


 波の音が遠くから響き、車内にこもる熱は、

 二人の動きに合わせて、さらに濃密なものになっていった。


 ひかりの胸が激しく上下し、彼女の手が亮平の背中に回る。

 二人の呼吸が重なり合い、ひかりはもう何も考えられなくなっていた。


「ひかり。。好きだよ。。」亮平が途切れ途切れに囁く。

 彼の言葉は、ただの子供の告白ではなく、大人びたものに聞こえた。


 ひかりは、その言葉に何かを感じつつも、

 ただ彼の気持ちを受け入れるだけだった。


 二人は互いに求め合い、熱を分かち合いながら何度も身体を重ね、

 そのたびに車内に漂う甘く切ない香りが濃くなり、

 彼らの想いを永遠に刻んでいくようだった。


 外の波の音は、二人を優しく包み込むように、

 ゆっくりと静かに響き続けていた。



 目覚め

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