ほろ酔い
ほろ酔い気分の浅見ひかりと、少し顔を赤らめた亮平は、
なぜか車で何かの準備をしていた。
「ごめんねぇ、フフ。リョウヘイ、そっちも倒して。」
「ヒカリ、本当に大丈夫?」「アハハ、お姉ちゃんだよぉお。」
「がゴン。。これでいいの?」「うんうん、そんな感じぃ。」
彼女のピンク色の軽自動車は、遠くからでもよく目立つし、
大人と子どもが駐車場で一生懸命何かをしている姿は、
ほかの人たちの興味を引いていた。
亮平はそれだけでも嫌だったが、ひかりが大声で話すことのほうが、
一段と気になっていた。
「リョウヘイって、かわいぃねぇ。ナデナデ。」
「やめてよ、お姉ちゃん! それに声も大きいって!」
やめてほしいと亮平が頼んでいるのに、
ひかりは小さな子供を、あやすように頭を撫でてくるので、
彼は必死に手をはねのけて困った顔をしていた。
「ぐいぐい、チュッ」「本当に、もうやめてよ!」
「チュッ。チュッ。チュッ。」
嫌がって困った彼をみても、しまいには、彼女は亮平を強く抱きしめて、
顔中にキスの嵐を浴びせていた。
。
今のように、ひかりのテンションが上がった理由は、
亮平が無邪気に謝る姿で、周りからも気づかれていた。
「本当にごめんね、お姉ちゃん。」亮平が申し訳なさそうに謝ると、
「いいのよ、アハハハハ。誰だって間違えるから! アハハハハ。」
彼が選んだコーラが、実はカクテルだったらしく、
そのお酒を飲んでしまったひかりは、
店を出る頃には、すっかりご機嫌になっていた。
「そうだ!そろそろ、帰ろうって言ってたよね?」「あっ。。。」
亮平に言われて何かに気づいたひかりは、何処かに電話をかけていた。
「仕事中にごめんねぇ。リョウちゃんと泊まっちゃいますぅう。」
「大丈夫? いいの?アハハハハ。お姉ちゃん、ごめんねぇ。」
「うん、まったねぇえ。また明日ぁあ。」
その会話を聞いていた亮平は、だんだん不安な表情になっていった。
「さっちゃん?」「リョウヘイ、お母さんでしょ?それはダメよ!」
「うん、じゃあ、お母さんと?」「かわっいぃぃ、ぐいぐい、チュッ。」
「えっ!」
亮平は、いつも見ていた母親と似たひかりの姿を見て、
嫌そうな顔をしていたが、
その彼女に叱られてしまったので、素直に謝っていた。
彼女にとって、その俯いて謝る姿が可愛かったらしく、
ひかりは突然、亮平にキスをしてきた。
「ファーストキス? ウフフ。」「兄弟だから違うよ!お姉ちゃん。」
「ウフフ。ブチュぅううう。」「だからぁ!フキフキ。ヤメてよぉお。」
顔を真っ赤にして否定する亮平に、
ひかりは嬉しそうに笑いかけると、さらに激しくキスをしていた。
その光景が海の家の前、まだ多くの客がいる中で行われているので、
「お姉ちゃん、もう行くよ。」
「はああぁい、リョウちゃん。もう行くのぉお。ウフフ。」
亮平は恥ずかしくなって、ひかりの手を取って急いで車へ戻っていた。
そうやって車に戻ったのだが、酔ったままで運転するわけにはいかず、
二人は軽自動車の中で少し休むことにしていた。
。
日帰りの荷物を端に寄せて、フルフラットにした車内で、
「こっちにおいでよ、ホラぁ。」「いいよ、こっちで寝るから!」
狭い車内で、ひかりは佐々木が用意をしていた毛布にくるまりながら、
一緒に寝ようと亮平を呼んでいた。
しかし、亮平は一緒に寝るのが恥ずかしかったらしく、
広くはない車内だが、二人は距離を取りながらそれぞれ横になっていた。
亮平はドキドキしながらも背を向けて横になっていると、
やがて眠気が襲ってきて、本当に寝始めていた。
そんな姿を見ながらひかりは、
亮平を弟のように可愛く感じているらしく、
彼を守るように抱きしめながら、寄り添うように眠りについていた。
ほろ酔い




