海の家
海でたっぷり遊んだ後、浅見ひかりと亮平は、
水着についた砂を払いながらシャワーに向かって歩いていた。
「楽しかったね、リョウちゃん。」「うん、ありがとう、お姉ちゃん。」
二人が楽しそうに並んで歩く姿は目立っていて、
周りからの視線を集めていた。
特に、隣で笑っているひかりの姿には、
多くの人の目が釘付けになっていた。
「お姉ちゃん、見られてるよ?」
「そぉ?別に気にするほどじゃないし、アハハ!」
亮平が小声で注意すると、ひかりは気にする様子もなく、
笑いながら軽く返してきた。
そんなひかりの明るさに、亮平は少し安心したが、
自分が彼女に思った気持ちに気づくと、少し照れくさかった。
二人は、簡素な海の家に設置されたシャワー室に入ると、
冷たい水が遊び疲れた体に心地よく、
全身がリフレッシュされたようだった。
「シャワーって気持ちいいね、お姉ちゃん!」
亮平が嬉しそうに声を上げると、ひかりも微笑んだ。
「でしょおぉ?海の塩や砂が落ちるとすっきりするよね。」
「でも、そこにまだ残ってるよ。ジャーッ」
「グイッ、亮平もだよ!じゃぶじゃぶ!ここにも沢山よ。」
「お姉ちゃん、恥ずかしいってぇえ!引っ張らないでぇえ。」
お互いの体の砂を指摘し合いながら、
無邪気に洗い合っている声がシャワー室に響いていた。
実は、二人でシャワーに入ることを提案したのはひかりだった。
「シャワー代って高いから、亮平、一緒に入って節約しようか?」
そう軽く言われた亮平は、一瞬驚いて顔を上げた。「えっ、一緒に?」
「さっきも水着で一緒に遊んでたじゃない。気にすることないでしょ?」
ひかりは冗談っぽく笑っていたが、
「エッ。恥ずかしい。」亮平は少し照れたように首をかしげた。
それでも、最終的にはひかりに手を引かれ、
二人は楽しそうにシャワーを浴びながら、
体に残った砂や塩を流していた。
シャワーを浴びた後、二人はテントに戻り、
それぞれ背を向けて着替え始めていた。
ひかりは、黒いビキニから、
ローライズのデニムホットパンツとへそ出しTシャツに、
亮平は、白いダボッとしたTシャツと短パンに着替え、
すっかりリラックスした様子で、テントの中で休んでいた。
しばらくして、ひかりが「そろそろ帰らないとね。」と声をかけると、
亮平は少し不満げに
「もう帰るの?早いなぁ。もうちょっとだけ。。。」とつぶやいていた。
まだ時間はあったが、ひかりは渋滞を避けたい気持ちと、
亮平と十分に遊んだ満足感から、帰る決心を固めていた。
「ごめんね亮平。そろそろ帰らないと、高速の渋滞で大変なのよ。」
「フゥ。はぁ。。うぅうん。」「ごめんね。本当にごめんね。」
亮平は、もっと二人っきりで過ごしたかったが、
「確かに長い渋滞は嫌だよな。」と気づき、
「うん。早く帰ろう。お姉ちゃん。」と答えていた。
二人で息を合わせてテントを片付け始めると、
「あはは、亮平、それだと倒れちゃうよ!」
「わかってるよ、ひかりちゃんも、ちゃんとそっちを持ってぇえ!」
二人は笑いながらテントを片付け、荷物を車に運び終えた。
その時に、突然亮平のお腹が「グゥ」と鳴っていた。
「ひかりちゃん、お腹すいたー!」と亮平が叫ぶと、
ひかりは笑って「しょうがないわね、ご飯を食べたら帰りましょう。」
と応じていた。
二人は海の家へ向かい、昼過ぎで空いてきた食事処に足を踏み入れると、
案内する店員は筋肉質な男性で、派手なブーメランパンツを履いていた。
その光景にひかりは、思わず目を奪われ、
しばらくその場から視線を外せずにいた。
そんな彼女の態度に店員は慣れている様子で
「奥の席にどうぞ。決まったら呼んでください。」
と、さらりと二人を案内していた。
二人が席に着いた後も、ひかりはまだ店員を見ていた。
それに気づいた亮平が、
少し不機嫌そうに「ひかりぃ?」と声をかけるが、彼女は気づかない。
「お姉ちゃん?」とさらに強く呼ぶと、ひかりはハッと我に返り、
「あ、ごめん!ちょっとびっくりしちゃって。。アハハ。」
と笑ってごまかしたが、亮平は納得いかない様子で黙っていた。
亮平の不満そうな態度が気になったひかりは、
「何でも好きなもの頼んでいいわよ。」と優しく声をかけた。
すると、亮平はすぐに店員を呼び、
「このコーラとカレー!」とメニューを指差して言った。
ひかりも「私もカレーにオレンジジュースで。」と、
メニューを見ずに注文を済ませた。
しばらく二人の間には奇妙な静寂が流れたが、
やがて店員が料理を運んできた。
「コークとカレー、オレンジジュースとカレーです。」
と、明らかにさっきとは違う店員がテーブルに料理を置くと、
ひかりは「ありがとうございます。美味しそうですね。」
と笑顔でお礼を言っていた。
しかし、亮平は不機嫌そうにオレンジジュースをひと口飲みながら、
「お姉ちゃん、さっきから見すぎだよ。」とぼそっとつぶやいた。
ひかりは少し驚き、「どうしたの?機嫌が悪いみたいだけど?」
と、心配そうに尋ねた。
亮平は「だって、さっきからずっと店員を見てたじゃん。」
と、低い声で不満を漏らした。
ひかりはその言葉に思わず笑い、「そんなことで拗ねてたの?」
と、嬉しそうに返していた。
「そんなこと?」と亮平は、少しむくれた顔でひかりを見たが、
ひかりは穏やかな笑顔で
「大丈夫よ。私が好きなのは亮平君だからね。」と優しく言っていた。
その言葉に、亮平は顔を真っ赤にして、ようやく機嫌を直していた。
「そっか、じゃあ。。いいけどさ。」と、少し照れくさそうに呟いた。
二人は、そのままカレーを食べ、満腹になると店を後にしていた。
海の家




