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青空の向日葵  作者: チュラ
9/30

告白

 ついにひまわり畑についた。前きたときと変わらず人も少なく風のささやきが気持ちよく聞こえてくる。そして前きたと変わらず雲ひとつない青空の中”太陽”がキラキラと輝いて大地を照らしている。比較的雲ができやすい夏に快晴である自体珍しいのに二回も快晴なのは2人がひまわり畑に歓迎しているように感じる。そんな中2人は車から降りひまわり畑に向かった。


 やっとひまわり畑が見える。楽しみ。」と葵がいう。葵はこのヒマワリ畑を本当に気に入っていた。そして好きな人と見れるこの環境に幸せを感じている。しかし今回は緊張も混じっている。この緊張した状態でひまわり畑はどんな風に見えるのだろうか。葵にもわからなかった

 。

「僕も楽しみだよ。」と太陽は前を向きながら言った。今葵の顔をなぜか見れない。見たら緊張で頭がどうかしちゃいそうだった。普段見慣れている葵の顔がこの時はすごく別の人の顔に見えた。告白ってこんなにも勇気がいって見え方も変えてしまうんだ。と告白の怖さも思い知っていた。けどそんな恐怖を恐れていたらこの先の幸せは訪れない。この恐怖を乗り切ったら幸せが待っている。そう思い込み。深呼吸をした。


 しばらく歩くとひまわり畑が現れた。”太陽”に照らされた大地に一面のひまわりが咲き誇る。時期も終わりに近いのか少しだけ花びらが下を向いてるものもあったがそれもまたうまく日陰を作っていて独特の雰囲気を出していた。まるで告白することに対しての恐怖とその先にある幸せを表しているかのようだった。


「すごい。やっぱ綺麗だよね。」と葵がつぶやく。その声は透き通っていたがどこかしら不安も混じっていた。

「そうだね。前の方がひまわりに元気があったように感じたけど今日のひまわりは先終わる前の最後の晩餐かのような感じがするね。」

 太陽は難しくひまわり畑の例えを言った。

「難しい言い方するね。けどわかるかも。人生が終わる前の最後の輝きって感じがする。どこか少し暗いけど明るさがそれを消してくれている。このひまわりも好き。」葵も太陽と同じことを思っていた。

 太陽は最後の「好き」という言葉にどきっとなったがすぐさまニコッと笑い葵の方を見た。葵も笑顔で返してくれた。


 しかし2人の会話はそこで途絶えてしまった。2人の緊張がマックスになっていた。先ほどの車内の状況とは違い高鳴る胸の音をかき消す歌もない。2人の胸の音が聞こえるほどに静かだった。お互い脈もすごく早くなる。両者本当に心臓が飛び出そうだった。その様子をひまわり畑の向日葵たちはそっと様子を見ている。


 しばらくして葵が口を開いた。

「太陽くん。今日も本当にありがとうね。いっぱい神社にもいけたし美味しいほうとうもたべれた。そしてまたひまわり畑の向日葵を2人で見ることができて本当によかったよ。とっても幸せ。」葵はゆっくりとした口調で喋っていた。その言葉は重みがあった。しかも緊張のせいかかなり震えていた。


 太陽が頷くと葵は言葉を続けた。

「前も言ったけど本当に太陽くんに出会ってから全てが変わってった。絶望しかなかった人生がこんなにも楽しくなり明るくなってきた気がする。これも全部太陽くんのおかげだよ。本当にありがとう。太陽くんがいなかったらと思うともしかしたらもうこの世にはいなかったかもれない。悲しいいまま人生終わってたと思うの。でも今思うの。生きててよかった。出会えてよかった。ありがとう」

 葵は全身も少しだけ震えていた。目には涙も浮かんでいた。


「僕も葵さんと出会って本当に人生が変わったよ。こんなにも楽しくて幸せな時を過ごさせてくれてありがとう。あの時勇気を出して声かけてよかった。この幸せをこれからも2人で味わって行きたい。これからも永遠に。」

 太陽は力強く言った。手は手汗でびしょびしょになって言った。

「うん。これからもよろしくお願いします。もっと楽しいを作っていこ。私。太陽くんのことが・・・」

 と葵が言いかけた時いきなり強い風が吹いた。風もそよ風くらいしかなかったのにいきなりの突風にびっくりした。向日葵がカサカサと音をたててヒマワリ畑が賑やかになる。


 太陽は内心焦っていた。このまま葵に告白されてしまうのではと焦っていた。ツッキーに言われた通り告白の言葉は自分から言いたかったから今の風に感謝している。

 少しの沈黙があった。

 その沈黙が2人を決意させた。


 すっーと心地よい風が吹く。”太陽”が2人を照らす。ひまわり畑全体が2人のことを優しく見守っていた。2人だけの空間。2人だけの世界。2人だけの時間。


 太陽と葵はお互い深呼吸をした。いうなら今しかない。太陽はそう思っていた。葵も同じことを思っていた。


「太陽くん。」

「葵さん」


「「好きです」」


 2人の声がハモった。その声がひまわり畑を駆け巡る。


「「付き合ってください」」


 どこまでも響くようにその言葉は2人の心に染み渡る。ああ。告白したんだ。今までの緊張が嘘のように消えて言った。それと同時に今までにないほどの暖かさが心に染み渡った。


 2人はしばらくお互いを見つめ合っていた。少しずつ距離を縮めていく。また緊張が戻ってきた。しかし先程までの緊張とは違っていた。全然苦しくない。怖さもない。ただ幸せが溢れかえってきた。


「「お願いします」」


 と2人は言ってハグをした。2人は初めて互いに触れ合った。お互いの体の暖かさが伝わる。心臓の音も聞こえる。両者の思いが言葉を交わさず伝わってくる。2人の心が好きで満たされていく。


 ”太陽”は2人を暖かく包み込むように光を送り込みひまわりはそよ風に揺られ2人を歓迎している。青空は鏡のように2人の姿を映していた。


 少しして2人は再度ひまわり畑を見ていた。会話も以前のようにポンポン続いていた。2人だけの幸せな空間がまた続いた。


 太陽が赤い光を空に染める頃2人は車に向かっていた。その途中小さなテントを見つけた。行きも通った道なのになぜ気づかなかったのか2人は思いながらテントによって見た。そこにはこのひまわり畑の向日葵の種が売っていた。2人はそれを見てせっかくの記念で買うことにした。それを時期になったら植えて来年自分たちで咲かそうと思った。記念の”向日葵”。2人にとって大事なものになる。


 車に乗って帰路についた。今までの帰路では寂しさがあったが今回はさみしさは全くなかった。付き合えたよろしびが大きくてさみしさを感じる暇がなかった。それによって会話も盛り上がった。付き合っても2人は変わらずいろいろなことを話ししょうもないことでも笑いに変えられた。


 そんな話をしていたら公園についた。2人は車を降り互いにお礼を言いあっていた。そして家に帰る前に再びハグを交わした。やっぱり暖かい。人間の温もりってこんなにも暖かいものなのかと誰もいない公園の中2人は親身に感じ取ってきた。


 2人の勇気によって結ばれた恋。満月が鮮やかに輝いている。2人の恋を照らすように。

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