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青空の向日葵  作者: チュラ
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葵の覚悟

 2回目のデートをした次の日葵は家のベッドで寝転びながら昨日の反省をしていた。どうして恋愛したくないって言っちゃったんだろうか。後悔ばかりが残る。今更後悔しても遅いと分かっていても公開してしまう。どうしたらいいんだろう。こんなとき友達とか居たら相談できたのに。と悲しい気持ちになっていた。

 けれど昨日出かけたあとのLINEで八月最後の休みの日にまた出かけられることになって気分が少し軽くなった。次こそは失敗しないようにと心の中で決意を決めた。


 こんなにも太陽のことを考えてて一緒に居たいと思ってしまうのはなんでなんだろう。一緒にいろんなことをしたい。ずっと話していたい。この気持ちは恋なんだと薄々気づいていた。葵にとって初めての感覚だった。


「はあっ」と葵はため息をつく。綺麗に片付けられた部屋にそのため息が響く。太陽は今日は友人とご飯に行っているのでしばらくLINEは帰ってこない。1人になるとどうしても仕事のことや親のことなど嫌なことばかり考えてしまう。太陽とLINEをしていればそんなこと考えないのに。しかし最近1人になっていても太陽くんのことを考えている。やっぱりあれしかない。


「私は太陽くんのことが好き。」

 そう呟いた時少しだけ心の靄が取れた気がした。

「ああ。やっぱり太陽くんのことが好きなんだ。」そう気付いてしまった。気づいたらもうその思いは止められない。初めて自分の素直な気持ちに気づいたと思う。今までは自分の思いを殺して生きてきた。でも今回だけはこの気持ちは殺したくない。正直になりたい。正直になろう。そう誓った。


 気づけばお昼が過ぎていた。葵は昼食を取り、ベッドに寝転がっていた。そうしたらピロンとLINEの通知がなる。太陽からだ。とっても嬉しかった。

「お昼ご飯食べてきたよ。とても美味しかった。」

「よかったね。」

「葵さんなにしてたの?」

「家でゆっくりしてたよ」

「ゆっくりするのもいいよね!休息って大事だしね☆」


 このやりとりが楽しい。今にでも会いたい。会いたい。その思いが強くなってこんなLINEをしてしまった。

「急だけどさ今日晩御飯食べに行かない?すごく会いたくて。」

 葵の手が緊張で震えている。急なお願いをするのは初めてだった。こんな急な誘いしていいだろうか。okを出してくれるのか。不安と少しの期待が頭によぎる。


 返信はすぐに帰ってきた。「全然大丈夫だよ!僕も葵さんに会いたかったからすごく嬉しい。」と。

 葵は嬉しさのあまりベッドの上で飛び跳ねた。急な誘いを受けてくれた太陽にものすごく感謝をした。どんな服装で行こう。どんな話をしよう。楽しみが膨れ上がる。


 ”太陽”が山に身を隠し辺りは薄暗くなったころ2人はいつもの公園で待ち合わせていた。葵が公園にいるとそこにはもう太陽がいた。

「またせてごめんね。」と葵が手を振りながら言う。

「全然待ってないよ。気にしないでね。」と太陽が優しく答える。

「急な誘いなのにきてくれてありがとう。」

「全然そんなことないよ。こちらこそありがとう。」

 お互いに感謝の言葉が出る。そんな様子を”太陽の代わりに出てきた月が見守っていた。


 2人は食べたいものを言ったら揃えて「ラーメン」と答えたので近くのラーメン屋に行くことにした。

 2人で歩いている時も会話が続いた。「葵さん今日の格好いつもと雰囲気違っていいね。すごく綺麗だよ。」と太陽がさりげなく言う。

「ありがとう。太陽くんの前で初めてスカートはいてみたの。似合ってる?」

「うん。すごく似合ってるよ。」

 葵は初めて太陽の前でスカートを履いてみた。似合っているかどうか不安だったけど喜んでくれて嬉しかった。嬉しい気持ちと幸せな気持ちが溢れる中葵の心にも太陽が好きだと言う気持ちが溢れてきた。


 ラーメン屋について2人はメニューを選んでいた。二郎系のがっつりなラーメン屋なので2人は普通の二郎ラーメン野菜ましで頼んだ。

 しばらくするとラーメンが運ばれてきて2人はラーメンをすすった。

「やっぱラーメン美味しいな。」と太陽が笑顔で答える。

「美味しいよね。ガッツリ系はやっぱ食べ応えあるね。」と葵もにこやかに答える。それを見ていたラーメン屋の店員さんもにこやかになっていた。


 ラーメンを食べながら会話をしてると今度のデートの話になった。

「今度のさお出かけでさ神社に行くって言ったよね。甲府にある武田神社と金櫻神社かなざくらじんじゃとあとその近くにある縁結びの神社夫婦木めおとぎじんじゃに行こうと思ってるんだけどどうかな。」と太陽が聞いた。

「いいじゃん。武田神社は行った事あるけど金櫻神社はいったことないから言ってみたい。その夫婦木神社もすごい気になる。」と葵は喜びながら言った。


 太陽は内心ホッとしていた。神社のチョイスをしてくれたツッキーに感謝しかない。

「そしてお昼ご飯を食べてそのあとにヒマワリ畑に行こうかなって。ヒマワリ畑見れるの時期的に今年最後になるだろうし。」と続けて太陽がいう。

「そうだね。今年最後のひまわり一緒に見ようね。楽しみ。」と葵は体を揺らしながら言った。

「僕も楽しみ。葵さんとひまわり。本当に組み合わせいいよね。両方とも綺麗で美しいけど葵さんは可愛さもあって両者が組み合わさってそこだけの世界を生み出すんだもん。もう僕はずっと見てられる。」太陽は恥ずかしそうに言う。

「そこまで言ってくれるの本当に嬉しい。言われると心がぽかぽかする。太陽くんこそ青空に輝いている”太陽”みたいにいつも私を照らしてくれて私を温めてくれてるよ。その温もりもっと感じたいな」と葵も照れながら言った。2人のいる場所だけ暖かい空気が流れていた。

 今の会話を聞いて2人とも両思いということを確信した。

 ラーメン屋の店員さんも話を聞いて暖かさを感じていて心の中で「幸せになれよ。」とそっと応援していた。


 ラーメンを食べ終えて2人は帰路についた。

 葵は家についてホッとしたと同時に喜びを感じていた。太陽くんも自分のことが好きだとわかったことが嬉しかった。人生で一番嬉しかった。

 こんなに嬉しかったこと今までであっただろうか。絶望しかなかった人生なのにこんなに幸せなことが起きていいのだろうかとすら考えた。

 でもいいんだ。私が幸せになってもいいんだ。太陽と出会ってそう思えてきた。私の中の闇を少しづつ”太陽”のような光で明るくしてくれる。光ってこんなに明るくて暖かかったのか。そう感じるようになってきた。太陽くんなら闇を完全に無くしてくれそう。そう強く葵は思った。

 そのおかげで葵も覚悟を決めれることができた。太陽と一緒に幸せになると。


 外では珍しくカラスが鳴いていた。夜のカラスは不吉と言われているが葵には祝福しているかのように聞こえていた。


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