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青空の向日葵  作者: チュラ
3/30

初めてのお出かけ

 葵と連絡先を交換して数日が経った。

 お礼のメッセージから始まり最初は硬い話だったがだんだんと楽しい話に変わっていった。

 そんな時葵から今度どこか行きませんかと誘いのLINEがきた。

 太陽はその返事に即答で「行きましょう」と答えた。

 日程の話もすんなり決まり7月14日に決まった。太陽が車を持ってるのでドライブに行くことになった。

 女の子と遊ぶのは何年振りだろう。どんな服装をしていこうか。どんなお店にいこうか。色々考えが浮かんできて太陽はテンションが上がっていた。

 一方葵は自分から誘ったわいいもののすごく緊張していた。異性の人と出会ってから数日で出かけるのは初めての経験だからだ。それだけ太陽のことをもっと知りたくて一緒にいたいと思っていた。LINEをする時も緊張で上手く話せたかなと毎回振り返っていた。

 お互い感情が昂るのが時間を追うごとに高くなっていった。まるで時間が2人の感情をコントロールするかのように楽しみが募っていった。


 ドライブに行く前日となった。この日も葵と太陽はお互いにLINEをしていた。

「ついに明日だね。すごく楽しみなのと緊張してきちゃった」と葵はLINEをする。

「僕もだよ。すごくワクワクしてるし今日眠れそうにないよ」と太陽から即答で返事が返ってくる。

「私も眠れないかも笑りまあ寝るけどね☆」

「そこすぐ寝るんかい。」

「私基本ねれるからね。どんな状況でも笑」

「羨ましいな。僕意外と寝れないから羨ましいよ。」

 もないラインが続く。羽子板をついているようにぽんぽんLINEが進む。時刻は22:00を回っていた。

「もうそろそろ私は寝るね。太陽さんも早く寝なね。」

「うん。ありがとう。おやすみ。」

「おやすみ」

 こうして2人は眠りについた。

 明日はいよいよドライブの日。2人は夢の中でドライブに行った夢を同時に見た。



 いよいよドライブ当日。2人は出会った公園で待ち合わせをした。

 ”太陽”がまだ随分と東寄りにある中2人共集合時間より10分早くついていた。

「楽しみすぎて早くついちゃった」と葵が嬉しそうに言った。

「僕もだよ。先に待ってたくて早めについたつもりが同時なのびっくりしたよ」と太陽もニコニコしながら答えた

「よし。車に乗って。そんなに広くないけど許してね。」

「ありがとう。失礼します。」

 2人は公園の駐車場に止めてあった太陽の車に乗り込んだ。

「ちょっと走らせたところに美味しいイタリアンのお店あるからそこに最初行こうよ。」と太陽は声をかけた

「おしゃれそうだね。私イタリアン大好きなの。ありがとね。」と葵もるんるんだ

 太陽はこの日のために色々おすすめの場所を調べていた。目的地のお店に着くまで車内で会話が弾んだ。まるでもう何年も仲良しかのように会話がポンポン生まれる。車内の幸せな環境を周りの街路樹が温かく見守っている。そんな中目的のお店に着いた。


「着いたー」

「運転ありがとうね。お疲れ様。」

 と2人は会話を交わしお店の中へと入っていく。

 お店の中はイタリア風な内装と装飾に施されまるで本当のイタリアに来た感覚になった。

「何食べる?。私はイタリアンセットにする。」と葵がメニュー表を指差しながら話した。

「僕も同じの頼むよ」と太陽も続いた。

 注文を済ませ少し待っていると料理が届いた。

「わあ美味しそう。おしゃれだし食べなくても美味しいと分かるよ」と葵は満面の笑みを迎えていた

「美味しそうだね。よし食べよっか。」

「いただきます」

 その声を合図に2人は食べ始めた。

「すっごく美味しい。本格的な味だけど日本人にもあってるし食べやすい。」

「本当にそう思う。ここにして良かった。」

 太陽は嬉しさでニコニコが止まらなくなっていた。葵に喜んでもらえて本当に嬉しい。こんなにも笑顔で楽しく食べてもらえて心から良かったと思った。


 昼食を和やかに取った2人は次の目的地に向かった。

 太陽は次の目的地をひまわり畑にしていた。

 葵の名前を日向葵と聞いてからずっと向日葵のイメージが頭から離れなかった。名前もだし性格も向日葵のように明るくて笑顔もひまわりの花が満開に咲き誇ってるようだったからだ。

 喜んでくれるのか内心ドキドキしてる。

「次はどこ行くの?」と葵に聞かれた。

 緊張を抑えながら「ひまわり畑が近くにあるんだけどそこに行こうと思ってる。」と答えた。

「ひまわり畑?」と少し不思議そうに葵は答えた。太陽はその反応を見て少し不安に思えた。

 そんな中続けて太陽は答えた。

「そう。ひまわり畑。葵さんの名前とか性格とか見てひまわりがすごく似合いそうだったからさ」

「太陽くんすごいね。私の名前向日葵から名付けられたんだよ。そこまで見通せてるのすごいし私向日葵大好き。行きたい。」

 さっきの反応とは裏腹に葵の嬉しそうな声に太陽はホッとした

「よかった」と心の中で安堵した。

「そこのひまわり畑意外と知られてないけど向日葵がたくさん咲いてて綺麗なんだよ」と太陽がいうと続けて葵も言葉を続けた。

「今日雲ひとつない快晴だし"太陽"が見守っててくれそう。まるで太陽くんがひまわりを照らしてるみたい。」と葵はるんるんに答えた

「僕の名前太陽だけど"太陽"には流石に負けるよ。」

「そんなことないよ。あの時話しかけてくれた時は本当に太陽のような暖かさと光を感じたよ。」

 葵のふとした言葉に胸が高まった。嬉しさと恥ずかしさが入り混じったなんとも言えない感覚だ。


 そんな話をしていると目的地のひまわり畑に着いた。駐車場に車を停め少し歩くとそこには一面のひまわり畑が2人を出迎えてくれた。

「すごい...言葉が出てこない」葵はあまりの美しさに言葉を失っていた。

「本当に綺麗よね。向日葵一つ一つにも個性があるけどそれが集まって大きなこの空間を作ってるのまるで地球みたい。」と太陽がいうと

「なんかスケール大きいね。でも分かる気がする。一人一人がそれぞれが輝きを持っててそれが集まって美しい世界を作ってるみたい。私も向日葵みたいに輝きたい。」と葵はちょっと悲しげに答えた。

「葵さんだって輝いていると思うけどね。葵さんにしかない個性があってそれが世界を美しくしてると思うけどね。実際会った時からそれは感じてたし。」と太陽が葵を見ながらいう。

 葵は少し顔を真顔にしてつづけた。

「私実は太陽さんと会う前まで本当に人生に絶望してたんです。元彼にはお前なんか向日葵じゃなくてただの雑草とか言われたりして。職場でも何もできない無能な奴とかずっと言われてて家ではこの面汚しとか言われて本当に私は生きている意味あるのかなとかずっと思ってました。そんな生活に耐えきれなくて1しまいにはあの取引で失敗してしまって一人になりたくて公園にいたの。もう全てから逃げ出したくて。そしたら太陽さんが声をかけてくれたんです。」葵の真剣な表情の中に少し涙が混じってた。


「太陽さんはこんな私に声をかけてくれて本当に太陽だと思いました。本当は1人でいたかったとか言ってたんですが誰かに助けてもらいたかったんです。元彼も親も会社の人も助けてくれなくて友達は親の関係で全然できなかったですし。完全にひとりぼっちだったんです。誰かの温もりを欲しかったんです。なんで太陽さん本当にありがとうございます。」葵の目から大粒の涙が流れていた。


「葵さん。本当に辛い思いされてたんですね。僕も声かけるか悩みました。普段ならかけない選択を取ってたと思います。けどなぜかほっとけなくて。ほっといたら後悔する。そう直感的に思ったんです。今こうやって葵さんとLINEできること、一緒に出かけること、一緒にいられる事が本当に嬉しいです。」と優しい声で太陽がいう。

「せっかくこんな綺麗なところまで来たのにこんな話してごめんなさい。」と葵は涙目で太陽を見つめながら言った。

「そんな事ないよ。むしろ話してくれてありがとう。話したいことあったら全然話してね。全部聞くよ。」

「ありがとうございます。ならもう少しだけ話させてください。私の両親はある大企業の社長をしてて昔から勉強しかさせてもらえませんでした。そのせいで友達もできずずっとひとりぼっちでした。大学も行きたい大学があったんですが親が決めた大学に行かされ就職も親の会社の子会社に無理やり入らされました。そして元彼と言ってたんですがその人も親が無理やり私の彼氏になれと言って無理やり交際が始まったんです。何回かデートを重ねたんですがその度に私は貶され暴言を吐かれ続けられました。挙げ句の果てにはお前は俺の会社とお前の両親の会社の政略結婚に使われたんだよ。と言われました。私の生きる意味は他人に決められるんだ。ずっとそう思ってました。家も一人暮らしなんですが親が決めたところに住んでます。一人暮らしなだけ幸いですがいつも監視されてるようで居心地が悪かったんです。だから公園に飛び出したんです。」葵の話一つ一つに重みがあった。太陽はそれをずっと聞いていた。


 こんな話が本当にあるのかと思った。漫画やフィクションの世界だけかと思っていたが自分が知らないだけでこんなに辛い目に遭ってる人が目の前にいる。その人が自分と言え幸せと感じてる。いろいろな思いが胸の底から込み上げてくる。人をモノのようにしか扱わない人たちがいることに怒りを覚えるとともに悲しさも襲ってきた。人はモノなんかではない。感情がありそれぞれ個性もある。だから情を大切にしろとよく上司に言われた太陽にとって許せないことだった。


「葵さん。話してくれてありがとうございます。僕にできることはLINEをすることやこうやって出かけるとかしかできないと思いますが葵さんがそれで幸せに思えるなら僕はこれからもLINEをしたり一緒に遊びに行きます。いや僕も葵さんともっと仲良くなりたいですしいろんなところに行きたいです。」

 太陽は言葉を慎重に選んで葵に伝えた。それを聞いた葵は少しだけ笑っていた。

「ありがとうございます。前を向きます。前にはどこまでも広がる青空とひまわりがあるんでこの風景を太陽さんともっと見たいです。」と葵はニコッと笑った。その目には涙はもう消えていた。

「僕もです。向日葵と青空。すごく綺麗ですね」

「日向葵。この名前嫌いだったんですが今の瞬間ちょっとだけ好きになりました。ありがとうございます。親は日向だから葵にして向日葵にしとけばとりあえず外面はよく見えるだろっていう理由でつけたらしいですけど向日葵の綺麗さ、美しさを今日実感できて名前を好きになれました。太陽さん本当にありがとうございます」と葵は頭を下げながら言った。


「それは良かったです。僕も太陽に当たるひまわりがこんなにも綺麗で葵さんとすごくあってると思いました。太陽と向日葵。最高の組み合わせですね。」とひまわり畑を見ながら言った。

「それって私たちのこと言ってます?」と葵は笑いながら答えた。

「え、あ、そのなんというかその」

 太陽は戸惑った。なんか告白みたいな言い方になってしまって戸惑った。

「ふふふ。ごめんなさい。少し揶揄いました。」

「ふう。びっくりした」

 太陽は手汗をズボンで拭いて呼吸を整えた。

 ひまわり畑の向日葵たちは2人の会話を優しく聞いていた。それを青空に届けるかのように時に風に乗せて音を立てていた。


 2時間くらいいただろうか。”太陽”は西の方角にあり山の影に隠れる準備をしていた。

 その間太陽と葵は2人でひまわり畑を見ながら会話をしていた。好きな食べ物、行きたい場所、ちょっとしたうんちくなどたわいもない話をしていた。2時間があっという間に感じた。

「そろそろ行きますか。日が暮れちゃうんで。」と太陽がいうと葵は寂しそうな目をしていた。けど葵は「そうしましょう。今日は本当にありがとうございました」と寂しさを堪えていった。

 葵も太陽ともう少しいたい思いがあったけどそこは堪えて車に乗り込んだ。

 車を走らせて待ち合わせた公園に着いた。

 空は太陽が身を隠し青空だった空を赤く染めていた。カラスの鳴き声とたまに吹く風の音が夜の訪れを感じさせた。

「葵さん。今日はありがとうございました。また一緒にいきましょ。」

「こちらこそ。帰ってもLINEしましょ。ありがとうございました。」

 2人がそう会話をし公園から出ていった。


 両者家について携帯を開きLINEをずっとしていた。1人なのに1人じゃない。他の人と喋っている安心感を2人は感じていた。

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