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青空の向日葵  作者: チュラ
15/30

葵の症状

 目がさめるとさっきいた場所とは違う天井が見えた。周りにはカーテンが見える。その光景から病室にいるのだと思った。

 葵は辺りを見回す。そこには椅子で寝ているツッキーがいた。

 葵が体を起こす。胸に少しだけ痛みを感じる。左手は包帯で固定されている。あのあと私は寝てたんだ。と理解した。

 葵の動く音でツッキーの目覚めた。

 ツッキーは目をこすり葵の方を向く。

「葵さん。目が覚めましたか。痛みとかは大丈夫ですか。」とツッキーが聞く。

「はい。痛みはだいぶ治りました。ありがとうございます。」

 点滴のおかげか体がの痛みはだいぶ引いている。体を動かそうとしたがツッキーが止めた。

「まだ安静にしててください。今日一日安静にしてもらうために一日入院することになりました。会社とかにはこちらからうまく理由作って連絡しとくのでそこは安心してください。」


 今日は仕事だってことを思い出した。三連休のあとこんな形でさらに一日休みをもらうのが怖かった。会社は休みをくれるが周りから何を言われるのか怖くてしょうがなかった。けど休むしかなかった。身体も心も仕事に行ける状態ではなかった。どうして怪我したかはツッキーがうまく理由を作ってくれると言っていたので任せることにした。とにかくゆっくりしたい。そう思った。


「陽くんは?」と葵はツッキーに聞く。

「太陽は一旦家に帰って色々準備してまた朝にくるって言ってました。太陽も休みを取ってくれルらしいので安心してください。」

 と太陽に言われたことを葵に伝え。


 葵は申し訳ない気持ちになった。太陽が仕事を休んでまで私の看病をしてくれるのは嬉しいが会社は大丈夫なのか心配だった。そんなことを心配してたらツッキーが声をかけた。

「多分太陽の仕事を心配していると思いますが太陽の会社はすごくいい会社なので彼女が怪我して入院していると伝えればちゃんと休み貰えますよ。よく太陽が上司の話をするんですがその上司はとてもいい人で仕事より大事な人を優先しろってよく言ってるそうです。ですからそこは心配いらないですよ。」

 葵は少しだけ安心した。太陽の会社にも感謝の気持ちが溢れた。

 葵は一日ゆっくりする決意ができた。ゆっくりしよう。改めて相違思った。


 太陽は家に帰り仕度をしていた。そして朝まで仮眠をとることにした。準備をすませベッドに入る。葵のことが心配だったが元気がない状態で行っても逆に葵が心配すると思ったのでしっかり寝ることにした。深夜だけど明日有給を取ることを上司に連絡するために上司のLINEに事の経緯を話し一日有給をもらうことを報告した。

 LINEを送ると深夜なのに上司から速攻返信が届いた。


「明日有給取るの承知しました。事情はわかった。一日だけと言わずもっと休み取りたかったらまた言ってきてくれれば有給申請出しとくからそこは気にしないで。彼女さん大変だと思うからしっかりとサポートしてあげてね。」と返信がきた。

 太陽は「恐れ入ります。朝また改めて会社に連絡します。ありがとうございます。」と返信した。


 本当にいい上司に恵まれたと思い上司に感謝し太陽は眠りについた。明日起きたらすぐに病院に行き葵のもとに行こう。葵と一緒にいたい。葵に少しでも寄り添いたい。その気持ちでいっぱいだった。


 葵はツッキーと少しだけ会話をして眠りにつこうとした。しかし目を瞑るとかこのことがフラッシュバックした。ツッキーにバレないように必死に深呼吸をして落ち着かせるがツッキーにすぐにバレた。

「葵さん大丈夫ですか。もしかして怖いこと思い出してます?」とツッキーは聞く。

「はい。寝ようとしても目の中に嫌な記憶が蘇ってくるんです。寝れないです。」

 葵の声が弱々しい。相当フラッシュバックしているようだ。

「怖いのがなくなるまで一緒に話しましょう。誰かと話しているだけで気が紛れますので。面白い話は結構持っている方ですよ。」とツッキーはニコッと笑った。


 そしてツッキーの面白い話を葵は聞いていた。普通の状態で聞いていれば笑えただろうといまはそんなに笑えなかった。確かに面白い話だったが笑うことができなかった。

 ツッキーは話しながら葵の様子を細かく見ていた。やっぱり話をしても笑顔が見られない。相当心の傷が深いと思った。それと同時に精神科医としてやはり治療が必要だと思い適切な薬とか治療方法を考えてた。


 ツッキーが面白い話をある程度話終えると葵はツッキーに聞きたいことを聞いた。

「ツッキーさんってどうして精神科医になろうとしたんですか。」

 ツッキーは少し考えて質問に答えた。

「現代の日本ってストレス社会で年間に多くの方が自ら命を絶っています。人はみんな人生を楽しむ権利があると思います。生まれてきたからには人生を楽しんで欲しいと思ってます。しかし現代日本では様々な原因で多くの人の人生を楽しむ権利が奪われて行ってます。そんな現状を見ていき少しでも多くの人が人生を楽しんでもらいたいと思い精神科医を目指しました。」

 葵はツッキーの話を真剣に聞いていた。


 人生を楽しむ権利。そんなこと考えたこともなかった。けど太陽と出会って付き合ったことによって少しだけ人生が楽しめたような気がした。そして私にも人生を楽しむ権利があると思った。

 そんなことを考えていると過去の記憶がまたよぎる。そしてめまいもしてきた。けどツッキーの話をもっと聞きたい。そう思って葵はさらに質問をした。


「人生を楽しむ権利って幸せになるのと同じですか。」

 葵は楽しむと幸せの違いがよくわかってなかった。楽しいから幸せなのか幸せだから楽しいのか。考えれば考えるほどわからなくなっていった。


「確かに似ていると思います。しかし幸せっていうのは楽しいよりもっと大きなことだと思います。人によって幸せって思うことは違ってきます。けど楽しいはみんな共通だと思います。楽しいことをしたら幸せと思えるはずです。楽しいって思える行動は人によって違ってくると思います。しかし楽しいと思っている時幸せを感じるのは共通だと思うんです。だから楽しいの上に幸せがあると思います。それが楽しいと幸せの違いだと思います。」

 ツッキーの言葉は難しかったがなんとなくわかる気がした。確かに太陽と楽しい時を過ごしていると幸せに感じていた。感覚ではわかっていた。

 続けてツッキーが話した。


「幸せと思える一番簡単な方法は楽しいと思えることです。だから私は多くの人に人生を楽しんでもらいたい。本当にそう思っています。葵さんにも太陽にも楽しと思って欲しいと思ってます。自分が楽しくて幸せと思えばそれが人に伝染していきます。そして多くの人に幸せが広がっていくと思ってます。そんな世の中になって欲しいと思っています。」

 幸せが伝染する。それは太陽と出会って一番実感してきた。太陽が幸せそうだと葵も幸せになる。幸せは伝染する。本当にその通りだと思う。

「あくまでも自分の考えですけどね。」とツッキーは言って笑った。

「私も幸せを伝染させることができますかね。」と葵が聞く。

 ツッキーは一呼吸置いて話した。


「すでにできていると思いますけどね。太陽からデートについて聞いてますが太陽とても幸せそうですよ。そして葵さんが幸せそうなのが一番幸せっていってました。ちゃんと伝わって伝染させてます。伝染っていうと悪く聞こえますがこの場合の伝染は良い意味で捉えてください。」

 私にも幸せを伝染させていることができているんだ。ツッキーの言葉を聞いて気持ちが少しだけ楽になった。


「ありがとうございます。おかげで少しですがまた寝れそうです。」

 と葵はツッキーにお礼を言って布団に寝転んだ。

「それは良かった。」

 とツッキーは優しい笑顔で葵を見守った。

 葵は再び眠りにつくことができた。


 太陽は朝目覚めて会社に改めて連絡をし有給をもらった。上司には再度休み増やしたいときは気軽に言って彼女さんを大切になよと言われた。上司に感謝しつつ病院へと向かった。


 病院に着いてナースステーションで話をし葵の病室へと向かった。by病室に入ると葵はベッドで寝ていた。あおいの寝顔を見て太陽は安心した。その横の椅子でツッキーも寝ていた。太陽は二人を起こさないようにそっと椅子に座った。

 少し経つとツッキーが起きて太陽に気づいた。

「ごめんツッキー起こしちゃった。」と太陽は申し訳なさそうに聞く。

「いや全然大丈夫よ。太陽に話したいことがある。」とツッキーがいい二人は病室を出た。

 病室を出て二人は休憩スペースみたいなところがありそこの椅子に二人は腰掛けて話をした。

「昨日葵さんの様子を見てたんだけどやっぱり心療内科での治療が必要だと思ったよ。今は寝ているけど夜目が覚めて葵はずっと過去のトラウマを思い出しててすごく苦しんでたよ。俺が色々と話ししててなんとか寝たけどかなり精神的にダメージを受けているようにみえた。」


 太陽はそれを聞いて思った以上に葵の心がボロボロなんだなと気づかされた。太陽もそれなりに葵の心のことを理解しているつもりだがやっぱり精神科医の目線からみれるツッキーにはかなわないと思った。

 ツッキーは話を続ける。

「葵さんからどんな症状があるのか詳しく聞いて症状にあった薬を処方すると同時にカウンセリングをして少しづつ心の闇を取っていく方法しかないんだけど心のカウンセリングに関しては太陽がいることがいちばんのカウンセリングになると思ってる。できるだけ葵さんと一緒に入れるような環境を作レたらそれが一番なんだけどさ。」


 ツッキーがそう言い終わると太陽がすぐにいう。

「そのことなんだけどさ。昨日の件で思ったんだけど今後も葵の元カレが近づかないっていう保証はないと思うんよね。そうなった場合すぐに対応できるようにしたいからさ葵と同居したほうがいいのかなと思う。そこは葵に聞いて見ないとだけどそのほうがいいと思う。」

 太陽の発言を聞いてツッキーは考える。しばらく考えてツッキーは意見を言う。

「同居するのは確かにメリットは大きいよ。しかし葵さんの心の闇も毎日見ることになるし葵さんも心が不安定で一人がいいって時も出てくるからその時に太陽が辛くならないのかなって思う。けど総合的に考えたら葵さんに取ってもいい治療になると思う。」

「やっぱそうだよね。僕は葵さんの心の闇としっかり向き合おうと思ってるから覚悟はできるよ。」

 太陽はツッキーに覚悟を伝える。ツッキーは太陽の覚悟を聞いて「うん。」とうなずいて笑顔で太陽の肩を叩いた。

「そろそろ戻るか。葵さんが起きてるかもしれない。」とツッキーが言って二人は葵の病室へと戻った。


 二人が病室に戻ると葵はメガ覚めていたようでベッドに座っていた。

「陽くん。ツッキーさん。」と葵は二人に声をかける。

「あおちゃん。よく眠れた?」と太陽が聞く。

「うん。ツッキーさんのおかげで寝ることができたよ。ツッキーさんには感謝しかないよ。本当にありがとうございます。」と葵はお礼をいう。それに続いて太陽もツッキーに感謝を伝える。

「自分は一旦部屋を出るね。一応病院内に入るから何かあったら声をかけてね。」とツッキーが言って病室を出た。

 病室内は太陽と葵の二人きりになった。


「陽くん本当に迷惑かけてごめんね。」

「気にしないで。休みとかそういうのは全然気にすることはないよ。」

「ありがとう。さっきツッキーさんと話してたのって私の病状とかの話でしょ。」

 葵は太陽とツッキーが話していたことに気づいていた。

 太陽は葵に包み隠さずさっき話したことを伝えた。


「そっか。やっぱり私心療内科に行ったほうがいいよね。薬で少しでも軽くなるならそのほうがいいと思う。あと同居なんだけど。陽くんが迷惑じゃなかったら同居したい。」と葵は自分の意見を言った。

 太陽は内心喜んでいた。葵のためとはいえ葵といつも一緒にいれることが純粋に嬉しかった。葵をもっと支えることもできる。少しの不安もあるが精一杯葵を支えようと太陽は改めて決心した。


 その後二人は同居するプランを立てた。葵の家はまた秦が来たりする可能性があるので太陽の家に同居することにした。そして退院したらすぐに太陽の家に同居することにした。

 今日の夕方に退院するのでその足で一旦葵の家に行き荷物を持って太陽の家に行くことにした。

 同居までの予定を立てた二人はその後会話をした。葵がすこし元気になったように感じた。ゆっくりと葵のペースに合わせて会話を続けた。

 昼食をとったところでツッキーがやって来た。ツッキーは一言家に帰ることを伝えて家に帰った。その時の葵の表情を見てすこしだけ安心したようだった。また後日葵の通院についての話をするつもりだった。


 きっかけは不幸だけど葵と同居することになった。

 病院に差し込む光が二人を包み込む。

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