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青空の向日葵  作者: チュラ
12/30

付き合って初めてのデート2日目(江ノ島)そして誕生日

 次の日2人はほぼ同時に起きた。昨日抱き合いながら寝てそのまま2人仲良く一緒の布団で寝ていた。

「おはよう」と葵の寝ぼけた声が聞こえる。葵は朝がすごく弱いようだ。

「おはようあおちゃん。」と太陽も挨拶をし立ち上がった。

 葵は座ったままぼーっとしていた。その様子を太陽がしばらく見ていた。


 しばらくすると葵も立ち上がった。けどまだ眠そうだ。葵は眠い目をこすって洗面所に向かった。太陽もそれに続いてお互い顔を洗い身支度を整えた。


 化粧をしている葵を待っている間太陽は今日行く場所の確認をしていた。

 最初新江ノ島水族館に行ってゆっくり過ごし昼食を取り午後は江ノ島に行くつもりだ。ルートとかを細かくチェックしてプランの確認をしていた。

 そうしているうちに葵の化粧も終わった。

「待たせてごめんね。」

「大丈夫よ。いこっか。」

 2人はそう行って宿を出た。


 車に乗り込み2人は新江ノ島水族館に向かった。

「水族館たのしみ。陽くん魚の解説任せたね。」

「僕魚詳しくないんよ。」

「え?そうなの?」

「そう。海洋系の大学にいたけど魚については全く触れてこなかったから魚は全部美味しそうに見えるよ。」

 太陽の魚に詳しくない話題で盛り上がった。全部美味しそうと言われる魚も戸惑うことだろう。


 そんな中新江ノ島水族館についた。2人はチケットを購入して中に入って行った。

 中に入るといろんな水槽の中に入っている魚が出迎えてくれた。食べたら美味しそうな魚や綺麗な魚。大きな魚など様々な魚が水槽の中を元気に泳いでいる。

「魚元気に泳いでるね。やっぱり美味しそうに見える。」と太陽は車の中でした話をした。

「あのなんか変な魚とか絶対美味しくなさそうじゃん。」と葵はある水槽を指差しながら行った。

 葵が指をさしさ先には深海魚の水槽があった。2人はそこに近づく。

「このなんかあまり可愛くなさげの魚とか多分食べると美味しいよ。」

「毒ありそう。あと食べても美味しくないよ絶対に。」

 2人は深海魚水槽の前で美味しい美味しくない論争を続けていた。言われた魚もきょとんとした感じだっ。

 そんな感じで水族館の魚コーナーを周りっていた。本来の水族館の楽しみ方とは絶対に違うと思うが2人は楽しそうに回ってた。


 魚コーナーを見終わる頃に館内にイルカショーが始まる放送がかかった。

 それを聞いた2人はイルカショーを見にイスカショースタジアムという場所に向かった。そこには大きなプールがあって周りにベンチがあった。すでに多くの人が席に座っていた。

 2人も椅子に座りイルカショーのが始まるのを待った。


 しばらくするとお姉さんの元気な声とともにイルカショーが始まった。イルカたちがプール内に出てきて元気に様々な芸をしていた。

「イルカかわいいね。イルカも美味しいとか言わないでよね。」

「それは魚限定よ。イルカは純粋にかわいいと思う。」

「そうだよね。あんなに元気に泳いだりジャンプをしている姿見ると私もジャンプしたくなる。」

「今はやめてね。」

 そんな話をしながらもイルカショーは進んでいく。そしてイルカが大ジャンプをした。水しぶきが席にまで飛んでくる。

「これ席が前だったらびしょびしょになってたね。」

「確かに。いい席選んだね。」

 2人の席はちょうどイルカの水しぶきがかからないところだった。少し水しぶきを浴びたかった思いがあるが後を考えると濡れないほうがいいと思った。


 イルカショーが終わり2人は動物ゾーンへと移動していた。そこには水の中で暮らす動物たちがいた。

 2人はあらざしのところで止まっていた。そこには寝ているあらざしがいてそれに2人とも見とれていた。ずっと見ている2人を御構い無しにアザラシは爆睡している。

「昨日さ。私夜中少しだけ目が覚めたんだけどさ。陽くんのほう向いたら今のアザラシみたいな顔していたよ。」

「え?本当に?」

 葵のいきなりの暴露に驚いた。まさか葵が途中で起きていたなんて全然気がつかなかった。寝顔を見られて恥ずかしくなった。

「陽くんの寝顔も可愛かったよ。ギャップがあったよ。」と言われますます恥ずかしくなった。堂々と寝顔を見られてるアザラシが羨ましく思った。


 ぐるっと動物ゾーンみ終わりお土産コーナーに寄った。そこで葵はイルカのぬいぐるみを買っていた。葵はとても喜んでた。

「イルカ気に入ったんだね。」

「イルカショー見たらイルカが可愛くてしょうがなかったの。イルカのぬいぐるみあってほかった。」

「ならイルカのぬいぐるみとの写真とってあげる。」

 と太陽はスマホを取り出して葵とイルカのぬいぐるみの写真を撮った。

「ありがとう。なら太陽くんも入って。」と葵に言われ青い、太陽、イルカのぬいぐるみのスリーショット写真を撮った。その写真はとても微笑ましくのちに葵のスマホのホーム画面になった。


 ちょうどお昼の時間になった。2人は水族館の中にあるレストランでカレーを食べていた。前面には海が見える。葵はこの時もずっとイルカのぬいぐるみを抱きかかえていた。子供っぽいがし俺もまた可愛と太陽はその様子を眺めていた。

 子供っぽさもあり時に大人びた部分も見せてくれる葵に太陽はずっとにこやかになっている。この姿をいつまでも守って行きたいと相模湾に誓った。


 お昼を済ませ2人は車に乗って江ノ島を目指した。海岸通を通り江ノ島大橋を渡るとすぐに江ノ島についた。2人は江島神社を回ることにした。


 江島神社は江ノ島に鎮座する神社で辺津宮へつみや中津宮なかつみや奥津宮おくつみやの3つのお宮にそれぞれタギツヒメノミコト、、市杵島姫命イチキシマヒメノミコト、タギリヒメノミコトの宗像大社に祀られている宗方三女神をそれぞれ祀っている神社である。この3女神を江島神社では江島狼と総称している。


 2人は江ノ島の入り口にある鳥居をくぐり最初に辺津宮を目指した。参道には仲見世通りがありそこに多くのお店が立ち並んでいた。2人は途中途中お店に寄っていろんなものを見ていた。

「私イルカのぬいぐるみ抱いたままなのすっかり忘れてた。通りでさっきから通行人がたまにチラチラ見てくると思ったよ。」

 葵は新江ノ島水族館で買ったイルカのぬいぐるみを抱いたまま江ノ島まできていた。

「あ、本当だ。同化しててまったくきずかなかったよ。」と太陽は笑う。

「気づいてよ。でもどうせならこの子も連れて行くよ。」と葵は少しだけ恥ずかしそうだったがイルカもこのまま連れて行くことにした。イルカのぬいぐるみはご機嫌そうに葵にだかっている。本当に違和感がないくらい葵とイルカのぬいぐるみはお互いを可愛く見せていた。


 そんな話をしていると目的地の辺津宮についた。鶴岡八幡宮とか大きな神社よりはこじんまりとしているがそれでも風格は十分にあった。

「ここなんか落ち着く。」と太陽がつぶやく。太陽は直感的にここが落ち着いたのだ。たまに神社とかに行ってパワーを感じるのとは少し違った感覚だった。

 葵もそれを感じていた。

「落ち着くよね。パワーというか安らぎを与えてくれる場所だなって思った。陽くんの車の中に近い感覚かな。」

「僕の車そんな落ち着く効果あるの?」

「うん。だって本当に落ち着くんだもん。てか陽くんと一緒にいると落ち着く。」

 葵はさらっというが太陽からしてみればすごく嬉しいことを言われている。落ち着く。そう思ってもらえて太陽はとても嬉しかった。

 2人は境内でゆっくりと深呼吸をした。神社の空気がはいを伝わり全身に行き届く。胸がとても落ち着く感じだった。

 そして辺津宮に参拝した。

「「落ち着く空間をありがとうございます」」とお礼を言って2人は辺津宮を後にし中津宮へと向かった。


 次の目的地中津宮にはそんなに距離が離れていなかったのですぐについた。中津宮も辺津宮と同じ落ち着く空気が流れていた。赤い社殿が落ち着く空気の中に燃えるような勢いも醸し出していた。

「やっぱり赤い社殿っていいよね。」と太陽が赤い社殿を見渡しながらいう。

「そうよね。やっぱ赤が一番好き。」と葵も続けて感想をいう。

 赤い社殿が好きな2人にとっては見応えのあるものだった。赤色から勇気や情熱、その中にある優しさが感じられる。そんなことを思いながら2人は中津宮にお参りした。


 お参りを済まし境内を歩いていると野良猫がいた。昨日の銭洗弁天の時の猫に似ている気がしたが微妙に色とかが違っていた。

「にゃー」と太陽は昨日みたいに猫の声真似をした。昨日はこの似ていない猫の声真似で猫がよってきた。しかし今回は猫はよってこず茂みの中に隠れてしまった。

「逃げられてるじゃん。やっぱ昨日は偶然だったわけね。」

 葵は昨日のは偶然だと今ので確信した。やっぱあんなに邸内声真似でよってくるはずがない。昨日の猫は相当特殊かただ単に人懐っこいだけだと思った。

「おかしいな。猫と会話してたんだけど聞いてくれなかったよ。」と太陽が悲しそうにいう。

「会話するならもう少しうまく会話しないと。昨日の猫が優しかっただけよ。」

「そうかな。」

 太陽も昨日の猫が優しかっただけなのかと思うようになった。次の時までにもっと上手くなろうと心に誓った。


 その後2人は奥津宮へと向かった。途中道を歩いていると展望台が見えた。2人はせっかくと思い展望台に登った。

 展望台の上に登ると眼下には相模湾と湘南の街並みが広がっていた。青に染まった海花見を立てながら海岸に打ち寄せる。通ってきた橋や海岸通りが綺麗に見える。

「静岡の新東名からの雰囲気と似ているけどなんか違うね。」と葵は海を見ていう。

「確かにあそこも街と海だけどこっちはなんか歴史を感じさせるよ。それに道路から見る景色と展望台から見る景色の違いもあると思う。」と太陽は葵を見ながらいう。

 その姿はまるでひまわりのようだった。展望台に咲く一輪のひまわりが風に揺られているように葵の髪も風によって揺らされていた。それによって髪の毛の香りが漂う。太陽はそれをずっと見ていた。


 2人はしばらく展望台からの風景を楽しんでいた。そして海を背景にして写真をとった。太陽と葵とイルカのぬいぐるみ。その組み合わせがとても背景の景色と交わっていた。


 展望台から降り奥津宮に再び向かった。展望台で見た風景が頭の中に残る。その余韻を楽しみながら歩いていると奥津宮についた。

 他の二つの八代と違い奥津宮は強いエネルギーを放っていた。

「ここ空気強いね。私でもわかった。けどそのエネルギーが力をくれる感じがする。」と葵はイルカのぬいぐるみを太陽に渡して両手を広げてパワーを全身で感じた。そして深呼吸して体内にも取り込んだ。

 太陽も葵の姿を見て全身にパワーを受けて見た。心に活気が溢れるように感じた。神社のパワーは改めてすごいと2人は感じていた。

 そんなパワーを感じながら2人はお参りをした。その近くに龍宮わだつのみやというお宮があったのでそこにもお参りした。

「ここ龍神様祀られてあるんだね。パワーがさっきより強くなった気がする。」と太陽が龍宮のパワーを語った。

 龍神が祀られている社はどこもパワーが傾向にありここのそうだった。

「龍神様ってすごいパワーなんだ。」と葵も龍神パワーを感じていた。2人はお互いに龍神のパワーを感じながら奥宮を後にした。


 車を停めた駐車場に戻る途中恋人の丘という場所があるので2人はそこに向かっか。そこは恋人が訪れる定番スポットであり2人で鳴らせる金がある。それを2人で鳴らして見たかった。

「2人で金鳴らすのって共同作業みたいでいいよね。」と葵はにこやかにいう。共同作業という言葉に太陽は嬉しさを感じていた。葵と2人で一緒にできることが何よりも嬉しかった。そんな想いの中恋人の丘についた。


 恋人の丘についた2人は南京錠がいつぱいついている光景に驚いた。南京錠をつけることによって恋が結ばれるらしい。

「私たちも南京錠つけようよ。ずっと結ばれるらしいからつけて行きたい。」と葵が言った。

 太陽は南京錠をかけるのは少し物騒だなと思いながらもこの恋が永遠に結ばれるならと思い南京錠をかけることにした。

 近くの売店で南京錠を購入して2人は中絵を描いて南京錠をつけた。

「これでずっと結ばれるね。」

「そうだね。あおちゃんとずっと結ばれますように。」

 2人の想いはきっと届いたはず。

 そしてその近くにある龍恋の鐘という鐘がありそれを2人は一緒に鳴らした。

 金の心地よい音がたりをめぐる。幸せな気持ちになるとともに永遠に結ばれるという自信も湧いてきた。2人はおたがいを見て微笑んだ。この関係が永遠に続いて欲しい。いや永遠にしていく。2人ならきっと永遠に幸せにな。この時は2人はその想いは変わらないものだと感じていた。


 そして2人は駐車場に戻っていった。道中太陽はずっと時計を確認していた。葵が答えても曖昧な答えしか返ってこなかった。その理由が葵にはわからなかった。気にはなったもののあまり気にしないようにした。

 実は太陽はこの後葵にサプライズをする予定でいた。ちょっと豪華なお店を予約してそこで誕生日を祝う予定だった。その予約したお店に行くまでの逆算をするために時計をこまめに確認をしていた。

 このサプライズが帰り道でヒヤヒヤしたが無事車に乗り込むことができた。


 車に乗った2人は江ノ島大橋を通っていた。そこで次に何をするのか葵に聞かれた。

「陽くん次どうするの?宿に戻るの?」と葵は疑問をぶつけた。

「今からね。あるお店に行くよ。そこで晩御飯食べようと思ってるんよね。」

「今日は宿で晩御飯食べないんだ。あのご飯も美味しかったからよかったけど今から行くところも楽しみ。」

 葵は宿の晩御飯も気に入っていたけど太陽が連れてってくれるお店にも期待していた。葵と太陽の2人で別ベクトルのワクワクが止まらなかった。太陽は葵にするサプライズのワクワク。葵は太陽がどんなところに連れて行ってくれるかのワクワク。両者のワクワクが高まる一方だった。


 海岸通りを少し走って一本奥の道を入ったところで目的地に着いた。その場所はちょっとたかそうなレストランだった。

「ここが目的地だよ。」と太陽が指差して言った。

「え、すごいオシャレなところじゃん。雰囲気もいいしさすが陽くんだね。」と葵も喜んでくれた。

 喜んでくれなかったらどうしようという不安もあったが無事葵が喜んでくれてホッとしている。


 店に入り予約したことを伝えると2人は窓際のテーブルに着いた。そこにはフォークやナイフが並べられていてコース料理が運ばれてきた。

「すごい。こんなコース料理初めて食べる。」と言って葵は料理を食べた。料理は普段食べる料理とは段違いに美味しかった。普段出てこないような食材を普段見ないような料理になってとても新鮮だった。

 そんな様子を見ていた太陽はとてもご満悦だった。こんなに喜んでくれて嬉しかった。

 葵も太陽がこんなことをしてくれているのに嬉しさを感じていた。

 この後さらにサプライズがあることは太陽だけが知っていた。


 話をしながら食事をしそろそろデザートがくる頃になっていた。

「デザートは何がくるのかな。きっとすごいものがくるのかな。楽しみ。」と葵が太陽にいう。

「僕もでデザートまでは何がくるのかわかってないんだよ。」

「頼んだ陽くんでもわからないの?」

 葵は不思議がった。自分が頼んだコース料理のデザートを知らないのは少しだけ変に思った。」

「まあきてからのお楽しみってことにしよう。」とうまく太陽は蒼井の疑問を丸めた。

 そしてデザートがくるタイミングになった。店員さんが何か運んでくるのが見えた。葵はそれに注目した。それはびっくりするものだった。


「え。ケーキだ。」と葵が運ばれてきたものを見て驚く。

 小さいホールのケーキが机に置かれ葵はそれをよくみる。生クリームとフルーツがふんだんに使われていて甘い香りが漂っていた。

 そしてケーキにあるチョコのプレートの文字に「誕生日おめでとう。あおちゃん。」と書かれていた。

 葵は言葉が出なかった。そう今日は私の誕生日。そういえば誕生日おめでとうって今日1日言われていないことに気づいた。

「誕生日・・・」と葵がつぶやく。その目はキラキラしていた。いまにも泣き出しそうだった。誕生日ケーキなんて初めて見るものだった。葵はこれまで誕生日になっても誕生日ケーキをくれる人はいなかった。今まで誕生日でも普段通りの辛い生活を送っておた。しかし今日は違う。目の前には誕生日ケーキがある。これが誕生日ケーキなのか。と葵は感動していた。

 そして太陽が一言言う。


「誕生日おめでとう。あおちゃん。」


 太陽は少しだけ声が震えていた。この言葉を言いたくても今日1日我慢してきた。言うからには一番いいタイミングで言いたかったからだ。葵は言葉が出なかった。感動で声が出なかった。

 それに続いて太陽狩りbぽんがついたはこをとりだして葵に渡す。

「誕生日プレゼント。開けて見て。」と太陽が言って葵は箱を開けた。

 そこには甲州印伝の財布と水晶のブレスレットが入っていた。

「これって・・・」とでない声を無理やり出して葵が言う。

「そう。あおちゃんが欲しいって言ってたもの。バレないようにうまく隠しててんだよ。そしてこのタイミングで渡したかったんだよ。改めて言うね。誕生日おめでとう。」と太陽が葵の顔を見て言う。

 葵の目から涙が出ていた。

「なんで泣いてるの?」

「こんな経験初めてでさ。誕生日プレゼントもらうの初めてだし誕生日を祝われるのも初めてで。嬉しい。けど涙が出てきちゃう。なんでなんだろう。」

 葵はすすり泣きながら言う。太陽はその様子をそっと見ていた。

「今までの人生で一度も誕生日なんて祝われたことなかった。私はこのままずっと誕生日も祝われないと思ってたの。けど今こうやって祝ってもらえている。それがもう夢の中にいるみたいでさ。けどさ現実に起きてる。それがもう嬉しくて。陽くん。ありがとう。大好きだよ。」

「僕も大好きだよ。あおちゃん。」

「うん。」

 葵の目から涙が消えていた。その代わりの満遍の笑みが浮かび上がっていた。

「さあケーキ食べよ。」と太陽が言って2人はケーキを食べた。

 誕生日ケーキはクリームの甘さとフルーツの酸味が調和して優し味を作っていた。ケーキの味が葵の心に染み渡る。

 誕生日サプライズを成功させた太陽はホッと一安心した。こんなにも喜んでくれる子がいてとても幸せだと感じた。葵も誕生日を祝ってくれる人がいてくれたことに幸せを感じていた。

 両者の姿が窓越しに写っている。その光景は優しさを描いていた。


 ケーキを食べ終わり2人は店を出た。店員さんは2人におめでとうございますと言って深々とお辞儀をして見送っていた。


 2人は車には乗らず海岸へと足を向けた。

 夜の海岸には人がほぼおらず波の音しか聞こえなかった。

 2人は横に並び座り手を繋いだ。

 月明かりが2人を照らす。まるでスポットライトに当たっているかのように2人は輝いていた。

「陽ちゃん。本当にありがとうね。本当に。嬉しすぎて泣いちゃってごめんね。」

「全然大丈夫だよ。あんなに喜んでもらえるなんて本当に幸せだった。

「私も幸せ。今とっても幸せ。この幸せを2人で作って行こうね。永遠に。」

「うん。」

 2人だけの空間に会話が弾む。波の音もそれを邪魔しないようにと静かに海岸に打ち付けていた。

「本当に陽くんにあえて幸せ。あの時出会ってなかったらこんな幸せは来てなかった。出会ったのは偶然なのか必然なのか。でもそんなのどうでもいい。出会ったと言う真実が一番大事。出会ってくれてありがとう。」

「こちらこそありがと。大好き。」

 太陽がそう言うと少しの沈黙が走った。お互い顔を見合わせ黙っている。静かだった波の音が少し大きくなった気がする。月明かりがそれを見守っている。

 そして太陽が一言発した。

「あおちゃん。目をつぶって。」

 葵は素直に目をつぶった。次の瞬間唇に温かいものを感じた。それは柔らかく包み込まれるような感触だった。

 葵の顔が赤くなる。スーッと胸の中が楽になる。

 太陽も鼓動が激しくなる。太陽の唇にも温かい温もりが広がった。

 しばらく2人は静かにその感触を確かめ合って言った。


 2人だけの空間にひまわり畑のような暖かさが広がっていった

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