付き合って初めてのデート1日目(鎌倉)
月日は流れついに旅行の日がやってきた。2人はいつもの公園で待ち合わせをしてした。初めてのおお泊まりでのデート。二人はこの日をずっと待っていた。
いつもと同じく2人は集合時間の10分前に着いた。
「陽くん。」と声が聞こえる。大きなキャリーケースを持った葵が小走りでやってきた。
「あおちゃん。」と太陽も小走りで葵に近づいた。
「ついにきたね。ずっと楽しみだった。」
葵はいつも以上に笑顔が素敵だった。やっぱり好きだ。付き合ってからもずっとその気持ちは変わらなかった。
「さあ行こう。」と太陽がいうと2人は車に乗り込んだ。
太陽はナビをセットして最初の目的地である鎌倉へと向かった。
中央道を東京方面に進み八王子JCTから圏央道に乗りその後茅ヶ崎JCTで新湘南バイパスを経て鎌倉に行く予定だ。
「陽くん今日も運転よろしくね。」と葵が一声かけて太陽は車を走らせた。
中央道を走らせていると途中大きなハートのラブレターが見えた。中央道の名物でありそれを葵が目を大きくして見ていた。
「陽くんあそこにラブレターあるよ。」と助手席から葵のはしゃいだ声が聞こえる。
「あれ有名なんよね。幸せな気分になるよね。」と太陽も言葉を続ける。ラブレターはラインなど連絡手段が発達した現代ではあまり見なくなったものの2人は手紙で思いを伝えることが素敵だと感じていた。
手紙ならでの直筆で書いたメッセージに愛が詰まっているのを考えると昔の人の思いが思い浮かぶ。
八王子JCTから圏央道を東名高速方面に向かい途中にある海老名SAに立ち寄った。そこでトイレ休憩をとり2人は飲み物とグミも買った。
「陽くん運転中よくグミ食べるよね。」と葵が聞く。太陽は長距離の運転の時はグミを食べるようにしている。
「うん。集中力高くなるし眠くならないために食べてるよ。」と答える。
「なるほどね。確かに顎動かすと集中できるし眠くならないよね。」
と葵は答えて横においてあったグミを一粒手に取った。そしてそれをい太陽の口の前にはこぶ。
「陽くん口開けて。はい。」と言われ太陽は動揺した。葵の大胆な行動に少し戸惑ったが太陽は素直に口を開けた。
グミは太陽の口の中に入っていき太陽はそれをかみしめた。
「SAだから人いるし誰かみ見られてたら恥ずかしいよ。」と太陽が照れ臭そうにいう。
「車内なんて誰も見ないよ。」と葵が笑いながらいう。
付き合ってからか葵の行動がたまに大胆な時がある。でもそれも許せてしまう。その大胆な行動に太陽はきゅんとしていた。
SAを出て再び車を走らせた。
茅ヶ崎JCTを抜けて新湘南バイパスを走らせる。周りに見えるビルたちが2人を歓迎する。
「ここまでくればもうちょっとだよ。あおちゃん疲れてない?」と太陽は葵を気遣う。
「全然大丈夫。陽くんも運転で疲れてない?」と葵は答え太陽に聞き返す。
「あおちゃんから直接グミもらったからすごく元気だよ。」と太陽はにこやかに返事をする。
海老名SAで直接グミをもらってから太陽はずっとるんるんしていた。こんな経験したことがなかったので感情が高ぶっていた。なので初めての道での全然不安はなかった。恋人と一緒に行く旅行。2人だけの車内。全てが太陽の元気な元になってた。
葵もそれは同じだった。辛い過去を思い出す余裕もないくらいにこの空間を楽しんでいた。太陽と付き合えて本当に良かったと改めて思った。旅行が始まってまだ二時間くらいしか経っていないのに2人のテンションはマックスだった。
そしてついに目的地の鎌倉についた。太陽は鎌倉駅の近くのコインパーキングに車を止めた。
「ついたー」と太陽は背伸びをする。
「陽くん運転お疲れ様。ありがとうね。」と葵は太陽に優しく声かける。
「ありがとう。よし。鎌倉駅に行って江ノ電に乗ろう。」
そう行って2人は鎌倉駅へと向かった。
鎌倉駅から江ノ電に乗り長谷寺の最寄駅に向かった。江ノ電はレトロな感じがして鎌倉の風景を見ながらゆったり乗れるので多くの人が鎌倉旅行で使う鉄道だ。
2人は江ノ電に乗りこみ椅子に座りそのレトロな雰囲気と鎌倉の風景を楽しんだ。江ノ電と鎌倉の風景が作り出すここにしかない空気感を2人は肌で感じ取っていた。
「すごいね。山梨とは全然違う雰囲気だね。本当にここでしか味わえないよね。」と葵はここえで太陽に囁く。
「そうだよね。古都鎌倉の雰囲気と自然。そして江ノ電。全てが揃って生み出されるものだよね。日本にそれぞれの場所で違った良さがあると改めて思ったよ。」とささやいた。
電車の中なので周りの迷惑にならない程度の声で2人はそれぞれ感想を言い合っていた。
そして目的地の駅に着いた。
2人は改札を出て駅から近い長谷寺へ向かうことにした。
道を歩いているとカップルが多いのが目に着く。やっぱ観光地とあってカップルも自然と多くなる。
葵はあるカップルを見た後太陽の方を向き何か言おうとした。
それを見た太陽は察した。葵より先に言葉を発した。
「あおちゃん。手繋ご。」
太陽はこの時は堂々としていた。いつもなら照れくささや恥ずかしさが入るは今回は全然そんなことはなかった。だって2里はカップルだから。カップルなら手をつなぐなんて自然な流れだと思えるようになっていた。葵の大胆さに影響されたのだろう。それはいい影響だと感じていた。
葵は一瞬頭が固まった。今言おうとしていたことを太陽に言われ驚きを隠せなかった。しかしすぐに言葉は浮かんだ。
「うん。繋ご。」
葵の言葉にも迷いはなかった。太陽と同じくはっきり言えた。
そして2人はそっと2人の手をああせる。合わさった手を握りに閉めた。2人の暖かさが手を通して伝わってくる。何気にハグはしたが手を繋いだことはなかった。初めての感覚に2人は温もりを感じた。
「なんかカップルって感じだね。」と葵は嬉しそうにいう。
「何言ってるの。カップルじゃん僕たち。」と太陽は笑っていう。
「そうだね。」と葵は返し2人は手を繋ぎながら長谷寺に向かった。
九月にしては今日は少しだけ寒かった。しかし2人の手の温もりによって体も心も温めていた。
そして長谷寺についた。2人はチケットを購入して長谷寺の中に入った。中に入ると様々な木がありその下には池が広がっていた。緑色の葉の中に少しだけ茶色い葉っぱも混じり合っていて夏の終わりと秋の終わりを感じさせた。
葵と太陽はそれをしばらく眺めていた。
「すごい。若々しさの中に少し年をとって大人びた感じがするね。」と葵は感想をいう。
「その大人びた中にも次に向かう準備と覚悟が見えるよね。それを照らす池。日本の景色って感じがするよね。」と太陽も続いた。
日本の風景。四季によってその顔を変える。その時期にしか味合えない風景を2人は楽しんだ。
そしてその奥には木々が映える中に階段がある。2人はそれを登って本堂を目指した。道中にある木々やお地蔵さんなどが2人を優しく見守る。2人はお地蔵さんなどに丁寧に手を合わせながら登って行った。
そして階段の上にある本堂の前にたどり着いた。本堂は大きく威厳を放ちながら立っていた。2人は本堂の前にある線香立てで線香をもらい専攻をお供えした。線香の優しい香りがお寺の雰囲気を引き立てる。
本堂に入り2人は大きな観音様を目にした。高さがおよそ10メートルくらいあり顔は少し微笑んでいた。
「立派な観音様だね。まるで人々を優しく見守っっているみたい。」
葵は観音様の優しお顔立ちから感じ取ったことを言った。
「そうだよね。何百年も多くの人を見守り続け今も変わらず人々を迎え入れてくれていると考えるとスケールの大きさを感じるよ。」と太陽も葵の言葉に付け足した。
観音様の優しさと迫力に圧倒されながら2人は手を合わせた。
「「いつもありがとうございます。これからも2人で仲良く幸せに過ごせていけますように」」
2人は声を揃えて観音様にお願いをした。観音様は変わらず優しいお顔で2人を見守っていた。
観音様を見たあと2人はその他の建物も見てそれぞれの仏様に手を合わせた。
そして鎌倉の街並みと海が見える見晴台に向かった。
そこから前を見渡すと海と街並みが綺麗に合わさり幻想的な風景を作っていた。静岡で見た海と似ているが少しだけ違い今回は海が優しげに見えた。
そして近くにあったベンチに座り2人は少し休憩した。
「最初からこんなにもいいところにこれてよかった。やっぱ神社仏閣っていいよね。心が落ち着くし安心できる。」
葵の表情は明るかった。やっぱり神様仏様の力なのか葵は以前より明るくなったなと思う。太陽はそれが嬉かった。
そんなことを思っていると葵が立ち上がった。
「そろそろ休んだし次の目的地にいこ。大仏様早く見たい。」
子供のようにはしゃぐ葵を見て太陽も立ち上がり2人は次の目的地へと向かった。」
次の目的地は鎌倉を代表する高徳院の大仏だ。鶴岡八幡宮と並ぶ定番スポットだ。
道中2人は手を繋ぎながら歩いていた。
「鎌倉の大仏様って外にあるんだよね。東大寺の大仏は中にあるのになんでかな。」と葵は太陽に質問する。
「鎌倉時代から室町時代にかけて自然災害が起きて何度も大仏殿が倒壊して1369年以降再建されてないんだって。昔からここら辺って自然災害が多かったから立て直してもまた倒壊の繰り返しだったからその分立てるのも大変だってなって外にいるみたい。」と太陽は質問に答える。
「なるほどね。確かにここら辺って自然災害多いって聞くしそれなら納得。」と葵は頷いた。大仏様も自然災害には逆らえないのを思うと自然の怖さを改めて感じる。
そんな話をしていると高徳院についた。
先ほどの長谷寺と違い鎌倉の代表する観光地のためか人がそこそこいた。
境内に入ると仁王門が2人を出迎えていた。門の両端には仁王像が祀られていた。そこまで大きなものではないが大仏を守護するのに相応しい覇気を放っていた。
その門をくぐると券売所がありそこで拝観料を払い奥へ通されると大仏が出迎えてくれた。堂々と座っている姿はまるでRPGゲームのラスボスのようだった。
葵は「やっぱ大きいね。」と言いながら大仏を見渡していた。しばらくすると「1、2、3、・・・」と何かを数えていた。
「何数えているの?」と太陽が不思議そうに聞く。
彼女の答えは太陽が思っているかなり斜め上をいく回答だった。
「螺髪の数。」と葵はさらっと答える
「え?」と太陽は聞き返す
「螺髪の数だって。大仏様のくるくるした頭のやつの。」
「それは知ってるけど本当に数えてるの?」
太陽はびっくりとすると同時に面白さも湧き出てきた。螺髪の数に注目するあたりさすがだなと思った。しかも本気で数えているあたり面白く見えてくる。
しばらくその様子を眺めてみることにした。
200個くらい数えていた時鳩の大群が大仏様の頭に乗っかった。それを見た瞬間隣から発狂した声が聞こえた。葵を振り向くと悲しい目をしていた。
「鳩のせいで分からなくなっちゃった・・・」
葵はか弱い声で言った。結構本気で落ち込んでいるのを見て面白がってたのが申し訳なくなってきた。
「もう一回数える気もないな。どうしよう。すごく知りたい。」と葵はモヤモヤしていた。
「657個だよ」と
太陽がさらっと言う。
「え?なんでわかるの?」と葵がすごく不思議そうに聞いた。
「実は今全部数えていた。」
「えっ?」と葵の声が裏返った。その声は驚き八割衝撃二割混ざっていた。
葵は太陽がこの短時間の中にどうやって数えたのか不思議でたまらなかった。
「ま。嘘なんだけどね。」
太陽がそう答えた瞬間葵は太陽の方を叩く。
「痛っ。」
太陽の声が響く。周りにいた観光客数人がこちらに目を向ける。
「陽くん声大きいよ。」と葵が恥ずかしそうに言う。
「だって急に叩くから。」
「だって。変な嘘つくからさ。」
と2人は言い合い少しだけ無言になった。そのあと2人で笑いあった。
この言い合いが2人してしょうもないと思って2人とも笑いが出てきたのだった。
周りの人たちは優しそうな目で2人を見ていた。
「ネットに書いてあったからあおちやんが数えているときに調べてたんだよ。」
「だと思った。もう変な嘘つかないでよ。」と両者とも言ってまた笑いあった。
大仏様も2人の光景を優しげな表情で見ている気がした。
2人は大仏様の周りをぐるっと見て回った。大仏様は所々風雨に晒された後も残っている。大仏様が風雨に耐えこの地を守っている勲章にも見えた。
大仏様を見終えた2人は社務所へ行きお守りなどを見ていた。そこにしゃもじがあった。
「しゃもじ欲しい。」と葵は言ってしゃもじをもらうことにした。
「ちょうど家のしゃもじが折れちゃって欲しかったんよね。」
「ナイスタイミングでいいしゃもじに出会えたね。これも運命の出会いかな。」
「しゃもじとの出会い。面白い。」
2人はまた笑っていた。それを見ていた社務所の人もにこやかになった。
しゃもじをもらってご満悦な葵と太陽は境内をしばらく散策して高徳院を後にした。2人は鎌倉駅に戻るためにさっき降りた駅に向かった。
この短時間でも笑いが絶えなかった。とても幸せな空間だったと2人はかみしめていた。こんな感じでこれからも続くと考えると幸せでしかなかった。その思いが手を繋いだ2人の手を通じてお互い通じ合っていた。
鎌倉駅に着くとちょうどお昼の時間だった。2人はまず小町通りに向かった。そこで軽い昼食を取るつもりだ。
小町通りには様々なお店が並んでおり食べ物のいい匂いも漂っていて2人のお腹を刺激する。
「お腹すいたね。何食べよっか。」と太陽がお腹をさすりながら言う。
「いろんな食べ物あるかな何食べようかな。」と葵はスマホを取り出して「小町通り おすすめ 食べ物」と検索をした。
そうしたらオススメの食べ物一覧が出てきた。
その中で葵は唐揚げに目がいった。葵は結構お腹が空いていたので唐揚げを食べたくなった。
「陽くん。私唐揚げ食べたい。」と猫のようなクリクリした目で太陽に訴えかける。
「唐揚げか。唐揚げっていう単語聞いたら口が唐揚げの口になったよ。唐揚げ食べよ。」と太陽も納得してくれた。
「やったー。」と葵は喜ぶ。
「早速唐揚げ買いに行こう」といって葵は太陽の手を引いてスキップしながら唐揚げ屋さんに向かった。
ちょっと歩くと唐揚げ屋さんが見えてきた。唐揚げの匂いがあたりに充満する。ますます2人のお腹を空かせる。2人とも唐揚げが食べたくてしょうがなかった。唐揚げ屋に向かう足がどんどん早くなる。
唐揚げ屋に着くと2人は速攻唐揚げを頼んだ。
「唐揚げ二つください。」と葵が注文する。どんな唐揚げが出てくるのか楽しみだった。
少し待つと唐揚げが出てきた。
「「ありがとうごいざいます」」と2人はいって唐揚げを受け取る。
揚げたてほかほかの唐揚げで湯気と美味しい匂いが放たれる。
「「いただきます」」という合図で2人は唐揚げを食べた。一口食べると口の中に肉汁がジュワッと溢れる。外かなりっとなかはジューシーでとても美味しい。
「美味しい。下味もちゃんとしつつ鶏肉本来の味もしっかりしてるからすごく食べやすい。」
葵は唐揚げに夢中になっていた。それほどまでにこの唐揚げが美味しくて多くの人を魅了してきたと納得していた。食べ物は本当にいろんなものがありしれぞれの美味しさがあり何を食べても飽きない。
太陽も同じことを思っていた。改めて唐揚げに感謝して食べ続けた。
唐揚げを食べ終わった2人は一旦小町通りを離れ銭洗い弁天へ向かった。
小町通りから20分くらい歩いたところに銭洗弁天がある。2人は道中あるいろんなものにツッコミを入れたりふざけたことを言いながら歩いていた。
途中の道に野良猫がいた。
「猫ちゃんだ。かわいい。」と葵が猫のいる方向を指指す。
「にゃー」と太陽が猫の鳴き声をする。
「全然猫っぽくない。」と葵が横で笑う。そいを聞いた猫は逃げるかと思ったら真逆で太陽の方によってきた。
「え、なんで寄ってきてるの。」
葵は猫の行動にびっくりしている。お世辞にも似ているとは言えない猫の鳴き声でよってくる猫。ただの猫ではないと思いつつ太陽に近ずいてきた猫を見るためその場にしゃがみこんだ。
「にゃー」と猫がなく。
葵も猫に向かって「にゃー」という。猫は葵の足元によってきてゴロゴロと足にスリスリしてきた。
そんな猫と葵を見て太陽は癒されていた。葵の可愛さと猫の可愛さが合わさりかわいいが渋滞していた。
「猫と遊ぶあおちゃんかわいいな。」と太陽がボソッとつぶやく。
それをが聞こえたのか猫と葵が太陽の方を同時に振り向く。
「かわいいでしょ。私と猫。」と言って葵はニコッと笑顔を見せた。
太陽はどきっとした。今の笑顔はチートだろこんなの。こんなの見せられたらどうにかなりそうだ。そう思った太陽は葵の頭をぽんっと触った。
葵もキュンとした。頭ポンでこんなにキュンとするものか。と葵は思った。そう思ったら顔が赤くなった。
太陽はしゃがみこみ葵の目線に合わせ「あおちゃん顔赤くなってる。」と笑顔で言った。
葵は恥ずかしさで顔を覆った。そんな照れる葵も可愛かった。
猫は空気を読んだのかその場を離れていた。太陽と葵は猫に感謝しつつ足を進めた。
歩くこと10分ちょっとで銭洗弁天についた。銭洗弁天の入り口は洞窟になっておりその奥に神社が建ってある。そのさらに奥にある洞窟の中にある水でお金を洗ってお金を使うとそのお金が倍になって帰ってくるという言い伝えがある。それによって多くの人が洞窟の水でお金を洗っている。(洞窟の中に奥宮がある)
2人は洞窟を入っていき社務所に行ってお供え用のろうそくと線香、そしてお金を洗う用のざるをいただき銭洗弁天の本宮にお参りした。
本宮未お参りした後奥宮がある洞窟へと向かった。そこで2人はお金を洗った。
太陽と葵両者とも財布に入っていた紙幣を全部取り出して洗った。
「お金ビチョビチョになったね。陽くんもお金全部ビチョビチョじゃん。」
「すぐ乾くから大丈夫よ。紙幣は水にも強いからね。」
「そうね。日本の技術の結晶だしね。」
2人はお金を洗いながらお金を作る技術の凄さを語り合っていた。
お金を洗い終わった2人は境内にある摂社、末社一つ一つにお参りしていき、」銭洗弁天を後にして鶴岡八幡宮に向かった。
20分くらいで鶴岡八幡宮に来た。鎌倉の目玉ということなので多くの人がいた。境内に入ると広い参道が2人を出迎えた。その参道を進んでいくと立派な舞殿と大きな階段が見えて来た。
「この階段の13段目で鎌倉幕府さ三代将軍実朝が公暁によって殺されたんだ。」と太陽が解説をする。
「そうだったよね、確か隣にあった大銀杏の裏に隠れていたんよね。」と葵が付け足す。
「そうそう。鎌倉時代の歴史が詰まっているよねここ。」と話しながら階段を登る。
階段を上ると社殿が見えて来た。八幡宮にふさわしい赤と白を基調とした美しい社殿だった。2人はお参りするために社殿の前の列に並んだ。そして順番が来てお参りをした。
「「付き合えたことに感謝していきます。これからも仲良く幸せを作っていきます」」
2人はそう願い社殿を後にした。
社d線から出て境内を散策した。様々な摂社、末社、源平池などを2人はゆっくり見て言った。そしてまた広い参道にた。
そこで2人は写真を撮っていないことに気がついた。普段からあまり撮っらない2人だったがせっかくの付き合ってからの初めてのデートなので写真を取りたいと思っていた。
「陽くん。写真撮ろうよ。」と葵が太陽を見てつぶやく。
「確かに写真撮ってないしね。」と太陽が言って参道の先頭の鳥居のところまでき来た。ここで一枚写真を撮ろうと思っていた。
そのタイミングで鳥居周辺から人が引いて言った。今しかないと思い鳥居の中央からやや右側にたち2人はくっつきながらスマホのシャッターを押した。写真を確認すると2人の素敵な笑顔が写っていた。
これが初めてのツーショット写真になった。2人にとって大事な一枚になった。
”太陽”も傾き出して来た頃2人は小町通りに再びよって鳩サブレーを購入した。鎌倉に来たらやっぱり鳩サブレーを購入するものだと2人は思ってて2人は鳩サブレーを買ってご満悦だった。しばらく小町通りで色々なお店を見て2人は車を止めた駐車場に向かい宿に向かうことにした。
車を走らせ目的地の宿に向かっていた。途中の海岸通では”太陽”が海と空を赤く染めていた。葵はそれを眺めていた。
「鎌倉満喫できたね。いろんなところ見れたし本当に楽しかったよ」と葵が夕日を見ながらいう。
「そうだよね。楽しかったよ。」
「本当に辛いことを忘れさせられるくらいに充実してた。これが幸せなんだって改めて感じたよ。体も心も軽くなった気がする。」
「それは良かったよ。」
「夜も楽しもうね。」
夕日が車内に差し込みほのかな暖かさが広がる。
そして目的地の旅館に着いた。和風な佇まい鵜の旅館は木の香りが漂っており2人の心を和ませる。
受付を済まし部屋に案内された。部屋は広々として畳の香りがする。そして外には露天風呂と海が見える。景色も申し分ない。
「いいお部屋だね。」と太陽は蒼井を見ていう。
葵は頷いて窓に近づく。窓の外はもう暗くなっており月明かりが海を照らした。その光景は昼間見る海とはまた違った光景で海の別の顔を葵は堪能していた。
そしてしばらくして晩御飯の時間になった。部屋に晩御飯が運ばれて来た。
刺身や鍋などいろんな料理が運ばれて来て2人はそれを堪能した。今日会ったことを話しながら2人は料理の味を楽しんだ。
ご飯を食べ終えた後お風呂に入ろうと思った。
「あおちゃん先に入っていいよ。僕ちょっと外に出てるからさ。」と太陽は葵に先にお風呂に入るよう促した。
葵はお風呂を見ながら無言だった。
「あおちゃん?」と太陽が葵のそばによる。何かあったのかと思って心配になった。
太陽が葵のすぐそばにきたとき葵は呟いた。
「一緒にお風呂に入ろ。」
葵の言葉に太陽は一瞬とまどった。
「一緒に?」
「うん。」
「え、でも・・・」
太陽は困惑した。そんな太陽を見つつ葵は言葉を続けた。
「だってカップルじゃん。別になんの問題ないじゃん。わたしは陽くんとお風呂に入りたい。」
確かにそうだけど太陽は心の準備ができていなかった。いくらカップルとはいえ一緒にお風呂はハードルが高いと思っていた。心の準備もあるし太陽の頭の中は思考が追っついていなかった。
「ダメなの?」と葵は太陽は目を合わせていう。その目はうるうるさせていた。
こんな目で言われたら断れなかった。太陽は喉をゴクリとならし覚悟を決めた。
「うん。入ろう。」
太陽は勇気を出して言葉を発した。
「やったー」と葵が太陽に抱きつく。
そして葵は一目散に服を脱ぎ出した。
「落ち着け。俺。冷静を保つんだ」と太陽は自分に言い聞かせた。
そんなこと御構い無しに葵はどんどん服を脱いでいく。
葵のスタイルのいい体が太陽の目の前に現れる。大好きな葵の裸を目の当たりにして太陽はお風呂に入っていないのにのぼせそうになっていった。
「陽くんも早く脱いで。」と葵にせがまれる。
太陽も服を脱いだ。胸が高まる。太陽にとって初めての光景が目に広がる。
太陽が服を脱ぎ終わると葵は太陽の手を引き露天風呂に向かった。
2人は露天風呂に入っていった。お湯の温かさが太陽の心拍数を余計にあげる。一方葵はなんともなさそうだった。外の景色を眺めていた。
「陽くん。お風呂気持ちいいね。」
「うん。」
「こうして2人でお風呂に入るの楽しみだったんだよ。私嬉しい。」
「うん。」
太陽は生返事だった。もうそれどころではなかった。葵の言葉も耳に入ってこなかった。
「陽くん聞いてるの?」と葵が言った瞬間太陽の顔にお湯をかけた。唐突な攻撃に太陽はお湯を思いっきり飲んでしまった。
「ゲホッ」と盛大にむせた。
「何するの。びっくりした」と太陽はむせながらいう。それを見た葵は笑っていた。
「陽くん緊張しているでしょ。バレバレ。もう私の裸見たくらいでそんなに緊張しないでよ。」と笑いながら話す。
「いや緊張するよ。だって初めてだし。」と太陽は言い返す。
「でも少しだけ嬉しいかも。何も思われなかったら悲しいもん。」
「まあそれもそうだね。」
2人は笑いあった。2人だけのお風呂。波の音と2人の会話が幸せな雰囲気を作っていた。
2人は温泉から出て浴衣に着替えていた。太陽はかなりのぼせていてふらふらしていた。
「陽くん大丈夫?」と葵の心配そうな声が聞こえる。
「う、うん。完全にのぼせた。」
「ずっとお湯に使ってからね。休み休み入らないとのぼせるよ。」
と葵は部屋にあったうちわで太陽を仰ぎながら言っていた。
うちわの風に沿って葵の髪のいい香りが漂う。それがまたのぼせを悪化させようだった。
「でもいい温泉だったね陽くん。露天風呂と月と海。役満だね。」
「急に麻雀用語でるやん。でも確かに役満だったよ。いやダブル役満クラスだよ。」
「はい。親のダブル役満だから96000点ね。陽くん飛びました。」
「間違いなく飛んでるよ。」
2人はなぜか麻雀に例えて温泉を語っていた。そんな話をしていると太陽ののぼせも大分治っていった。
「今日も結構歩いたし明日もあるからそろそろ寝る?」太陽は言った。
「そうだね。明日もあるしそろそろ寝ようか。」と葵も続いて2人は布団に入った。
電気も消して暗闇が広がった。2人は目をつぶって寝る体制に入った。
太陽が眠りかけていた頃隣から声が聞こえた。
「陽くん・・・」と葵の小さい声だった。
太陽は葵の方を振り向く。
「どうしたの?」と太陽が聞き返す。
「ぎゅーしていい?なんか寂しくなってきちゃって寝れないの。陽くんの暖かさが欲しい。」と言って葵は太陽が答える前に太陽の布団に入ってきた。
太陽は何も動じなかった。葵がしたいことをさせてあげた。
「陽くんあったかい。よく寝れそう。」と葵が小声で囁く。
太陽は葵の肌の暖かさを感じていた。
「陽くん。今日1日本当に楽しかった。私の心の中が光でいっぱいになったよ。ありがとう。」と続いて呟いた。
「僕もだよ。ありがとう。」と太陽も呟いて葵の頭をさすった。
そして2人はそのまま眠りについて言った。
明日は葵の誕生日。太陽はサプライズを考えていた。
波の音が2人の睡眠を促すかのように部屋に響いていた。