プロローグ
雲ひとつない青空の中、黄金に輝くひまわり畑の中君が微笑んでいた。満遍の笑みで咲いているひまわりの中でも君の笑顔が一番輝いていた。ずっと一緒にいたかった。けどそれはもう叶わない
どんなに求めても君はもう僕の近くにいない。澄み渡る青空が手に入らないのと同じで君はもう手に入らない。あのとき一緒にいれば君はまだ僕の近くにいたのかな。どうだろう。けど僕は君のことを忘れない。いや忘れられない。
どんなに君の名前を叫んでも向日葵の音色に吸収されてこだますら起きない。向日葵たちは変わらず微笑んでくれている。向日葵のように美しく優しかった君と会えたことを誇りに思ってる。いつまでも僕を見守っててね。いつか僕もそっちへ行く時が来るから。その時はまた二人で向日葵を見ようね。ありがと。
あの時一緒にいれば。君の苦しみもわかってあげたかもしれない。その後悔だけが心の中を覆う。あの時のLINEは君にとって精一杯のSOSだった。それなのにどうしてそっけないことをしたんだろう。後悔しても君はもういない。君の笑顔が好きだった。君の声が好きだった。いや今も好き。だったじゃない。君の全てが好きだ。過去も。現在も。そしてこれからも
ヒロイン目線
青空の中のひまわり畑で人が泣いている。なんでだろう。こんなにも美しいひまわり畑なのに。下ばかり向いて青空と微笑んでいる向日葵には全く気づかない。この人にどんなことがあったんだろう。私にはわからない。何故かわかろうとしない。わかったら何かを失う気がする。私はそっと男のそばに寄ってみた。やっぱり泣いてる。しかも私の名前を呼んで。私はこの人と何をしたんだろう。何があったんだろう。わかんない。分かりたくない。ごめんね
なんで分かりたくないなんて言ったんだろう。本当は知ってるのに。全て知ってる。君が私のことを大事にしてくれたこと。私のこと好きでいてくれたこと。愛してくれてたこと。全て知ってる。知ってる。けどもうその愛情は一方的なものになってしまう。私はもう君のいる世界にはいない。あなたの愛は伝わってくるのに私の愛は伝わらない。そんなの辛い。神様はどうしてこんな辛い目にしたの?。ずっと一緒にいたかった。ひまわりが悲しげな表情をしている。あんなに好きだった向日葵なのに今は見たくなくなってきた。なんでだろう。