残念クラスの集団異世界転移~学校で有名な変人が集まったクラスが異世界を蹂躙していく~
「さぁみんなホームルーム始めるから席についてー。」
担任の瀬川このみが呼びかけると30名のクラスメイトは各々の席に着く。
「やっと一日終わったかー早く帰ってネット小説よみてー!」
須藤太一が口を開いたその時教室の床に魔法陣の様な幾何学模様が光を発する。
「えっ!?」
「床が光ってる?」
「これって……」
口々に驚きを発していると強烈な光が教室を包み込み29人のクラスメイトと担任の併せて30人は姿を消した。
「ようこそお越しくださいました異世界の勇者様方!」
30人が目を開けると石造りの広間に立つ同年代の美しい金髪の少女と、その後ろに控える魔法使いを連想させるローブを身にまとった者たちに気がつき言葉を失う。
呆然とした様子に見える31人を目にした彼女は彼らに威圧感を与えないよう後ろの魔法使いのような者たちにこの場から下がるよう伝えると
「驚かれるのは無理もありません。ですがどう私の話をお聞きくださいませんか?」
「き……」
「き?」
30人のうちに一人が口にした言葉を彼女が繰り返したのち
「「「「「「キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」
「な、な、なん?」
29人の大絶叫に彼女は目を白黒させる。
「おい太一!!これってあれだよな!!」
太一の親友加賀康太が問いかえると
「あぁ!!間違いない王城のような建物に魔法陣、加えて飛び切りの美少女とくればあれしかない!!」
太一がクラスメイトみんなを見渡すと
「「「「「異世界転移!!」」」」」
またしてもみんなの声が重なった。
「来たわね私の時代が!!」
「いやいや俺の時代だから、そこ間違えちゃダメよ。」
「うざ。そんなんだから彼女出来ないじゃね?」
「え?それ今いうこと?涙出てきたんだけど?」
「フフフ……我の力を開放する時が来たか……」
「キタでござるキタでござるーーーーーー!!拙者これを待ってたでござるよーーーー!!」
「はぁ……ほんとこいつらはイっちゃってんなぁ……これは俺が導いてやらないとな!!」
「異世界転移イエーーーーーーーー!!」
口々に奇声を上げる彼らを目にし美少女は口をパクパクさせる。すると彼女に担任のこのみこのみが近づくと申し訳なさそうに告げる。
「すみません落ち着きがなくて。変わっているけどみんないい子たちなんです。あまり怒らないで下さい。それであなたは?」
彼女謝罪を耳にし美少女は
「私はこの国の第一王女ステラ フォン バンデルセンと申します。勝手にお呼び立てしたのはこちらですので気にしないでください。ですが皆さん混乱するどころか、いえある意味混乱状態のようにも見えますが……この状況にあまり驚いていないように見受けられます。これはいったい?」
ステラがこのみに問いかけると
「それなんですが、確認してもよろしいでしょうか?」
「はい、なんでしょう?」
「私たちはあなたたちに召喚されてこの世界では勇者という存在になったということでよろしいでしょうか?」
「その通りです。状況の呑み込みが早すぎて私のほうが戸惑ってしましますが。」
「そこはまあ気にしないでください。それと勇者ということは何か私たちに特殊能力のようなものが宿ったりしてるでしょうか?」
「ほんとにすごい洞察力ですね。過去召喚された勇者様方は状況を理解し落ち着くまでかなりの日数がかかったと文献に残されているのですが……」
ステラが不思議そうにしているとこのみは教え子たちのほうに向かってこう叫ぶのだった。
「みんなー。異世界召喚で確定だよー。」
「「「「「イヤッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!」」」」」
「そしてもちろん能力もらっちゃってまーす。」
「「「「「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」」」」」
再びの大合唱。
ここで少し話は過去にさかのぼる。彼らが異世界転移する前、普通に学校に通っていた頃に彼らは全校生徒からこう呼ばれていた。
奇人変人の集まり、『残念クラス』と。
ただ変人の集まりなだけなら変人共などの呼び方になるとこであろうが残念クラスと呼ばれるのには訳がある。みんな何かしらの技能に秀でているのだ。それは勉学だったりスポーツだったり容姿だったりと様々だが一人として無個性の者はいない、それゆえの『残念クラス』。
そんな彼らが異世界転移におかしな反応だったのには理由がある。
個性のぶつかり合いの結果なのかなんなのかわからないが奇人変人の集まりであるこのクラスだが30人全員が仲が良い。表面的に憎まれ口を言い合うようなことはあるが、それはあくまで表面であって、全員が全員の能力を認め合っているが故かみんながみんなを好いている。いやマジほんとありえないクラスである。
そんなクラスの中の中心人物の一人である須藤太一がある日みんなにこう言った。
「俺今小説投稿サイトにはまってるんだけどみんなもみようぜ!」
「「「「「わかった見てみる。」」」」」
これである。
好きなクラスメイトが勧めたものならとりあえずは見てみよう、そういう考え方なのである。
で、めでたく?全員がドはまりしてしまった。
そして担任のこのみこのみだがこの女性はこのおかしな教え子たちを心底大切にしているのである。学校に来ることを生きがいにしているほどに。いやマジほんと意味わかんねぇ女性である。
だからこそ教え子たちみんながはまってるものをちゃんとと確認する。そしてこれもまためでたく?ドはまりするのである。
そして場面は現在に戻る。
過去にこのような下地ができていたため小説で散々読んだこの状況に全員で狂喜乱舞しているのである。
ステラは若干の恐怖を感じつつ、それはあまりに失礼だと気を取り直し、
「それでは皆さんにご自身の力を確認していただきたいと思います。ステー……」
「「「「「ステータス!!!!!」」」」」
「え?」
彼女が説明を終える前に31人が声を合わせて唱える。
「おお!!空間魔法!!あたりじゃね!?」
「キタコレ!全属性適正S!やっぱり私の時代だわ!」
「大剣聖か、外れではないのかな?」
「忍者?なんか拙者に似合わないような気がするでござる。」
「それはギャグかなにかかな?」
みんなのはしゃぎように尻目に呆然としている少年、戸上宗次を目にし
「どうしたんだ宗次、何のスキルだった?」
空間魔法の藤堂翔太が問いかけると
「俺は……ものまね師だ……」
「え?」
「それって……」
「まさか?」
「そんなことが……」
みんなのざわめきを聞き太一が代表してステラに尋ねる。
「姫様、ものまね師ってのは……?」
場の流れが理解できず呆けていたステラだったが
「あっ、はい。ものまね師はハズレスキルと呼ばれております……」
言いにくそうにステラが告げると
「やっぱり……」
「マジか。」
「そんなのって!!」
「私そんなこと信じない……!!」
クラスメイトのざわめきが広がり切ったとき
「ハズレスキルキタコレーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
宗次が大声で叫んだ。
「ふざけんなーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「絶対チートじゃねーかそれ俺と変えろやーーーーー!!」
「絶対ハズレは私だと思ったのに!!」
「これは夢よ……もう少ししたら目が覚めて私はハズレの女王になるの……ウフフ……」
「え?え?え?」
阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されステラはひたすら混乱する。そこに冷たく暗い声が響いた。
「ハズレじゃなくたってみんな十分すごい能力をもらってるじゃないか……」
みんなが声のしたほうを向くとクラス一のイケメン、鳳凰院光輝がうつむいていた。
「どうしたんだ光輝?お前は何だったんだよ?」
康太が問いかけると
「……しゃ。」
「え?」
「光の勇者。」
光輝がつぶやく。
「え?」
「それって……」
「まさか?」
「そんなことが……」
再び30人がざわめきだすと
「凄いです!!伝説の称号です!!あぁ神様ありがとうございます!!」
ステラが今までの困惑が嘘かのように喜びを爆発させる。すると
「やっぱり……」
「マジか。」
「そんなのって!!」
「だめだ私……まだ笑うな……!」
クラスメイトのざわめきが広がり切ったとき
「勇者キタコレーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
29人の爆笑が広間に轟いた。担任のこのみは一人憐みの目を光輝に向けている。
「いやーやっちまったな光輝!!」
「その顔でその名前!絶対お前は勇者だと思ったよ!」
「絶対勇者になるのだけは嫌だったのよー!」
「プークスクス!!私は光輝が大好きよーーーーーーー!!!!」
「な?な?な?」
先ほどとは対照的な盛り上がり方にまたしてもステラは混乱する。
「くそー!!光の勇者なんて絶対噛ませポジじゃないか!!なんでこんな事に!!」
光輝の慟哭に
「いやー同情はするけどお前のキャラ的にこれはもう必然というしか。」
「そうね。似合っているもの。かわいそうだけど。」
「うんうん。光輝もわかってると思うけどみんな嫌味じゃなく勇者は光輝しかいないと思ってる。マジ俺はなりたくないケド。」
「がぁああああああああああ!!!!」
光輝が再び叫んでいると
「はいはい。みんな異世界転移ではしゃぐのは分かるけどとりあえず話を聞きましょう。王女様が置いてけぼりよ。」
クラス委員長の姫神あずさが場を落ち着かせようとするが、
「あずさもおもいっきり騒いでたじゃん。」
「取り繕ろうとしても無駄よ。」
「ある意味一番のネット小説中毒が。」
「冗談は胸だけにしと……ぐふぅ。」
言い終わる前にあずさの凄まじいボディブローが突き刺さり、太一は膝から崩れ落ちる。ちなみにあずさは一般的に貧乳と呼ばれるカテゴリーの人間である。
「落ち着きなさい。オーケーー?」
あずさがクラスメイトを見渡すと
「「「「「イエスマム!!!!!!!」」」」」
一糸乱れぬ敬礼を見せるクラスメイト達であった。ちなみに太一は何やら床でビクビク痙攣している。あずさはクラスメイトの前に立ちステラのほうに体を向けると
「申し訳ありません王女様、改めて今の状況をお教え願えますか?」
問うと同時に後ろに回した手でクラスメイトにハンドサインを送る。
『精神干渉系スキル持ち、王女、嘘、調べて』
ちなみに、これも太一が一時期流行らせたために全員ハンドサインが使える。ふざけたやつらである。
30人の来訪者が何やらこそこそ動いているのに気づくこともなくステラは、
「わ、わかりました。今この世界では魔王という存在が猛威を振るい、人族は存続の危機を迎えております。そこで古くからの伝承にある異世界からの勇者の召喚を行い皆様方をお呼びした次第です。異世界人はこちらの世界に来ると同時に強大な力を授狩ると文献にあります。その力でどうかこの世界をお救い下さい。」
ステラは深々と首を垂れる。それを見てあずさは
「それは私たちに魔王を倒してほしいということで間違いないですか?」
「勝手なことを言っているのは理解しております。ですので願いを聞き入れていただけるなら王国のすべてを持って勇者様方のお世話をさせていただきます。同時にしばらく時間がかかりますが再び召喚、今度は送還になりますが、できる魔力がたまったら希望者には元の世界に送り返させていただきます。」
答えを聞くとあずさはみんなに振り返り、
「どうだった?」
「嘘じゃないね。王女様のこと信じて大丈夫だよ。」
木崎裕子がサムズアップする。
「え?」
ステラが首をかしげると、
「よっしゃやったるかーー!!」
「フフフ……我の左腕がうずく……」
「帰れるのかーなんか拍子抜けだなー。」
「そういわないの。私たちがよくてもやっぱり帰らないと親がかわいそうよ。」
「それにお姫さんが悪人じゃなくてよかったぜ。」
「確かに!あんなかわいい子が腹黒とか悲しすぎる!!」
「「「たしかに!!!」」」
「ほんと男どもはかわいい子に馬鹿すぎる。」
「巨乳にもね。」
「「「たしかに。」」」
と、微妙に男女に溝ができていると
「はーい。じゃーみんな魔王討伐に賛成ってことで大丈夫ー?」
とこのみが問い
「「「「「もちろん!!!!!」」」」」
全員の声がそろった。
「えと……皆さん本当に私たちの願いを聞き入れてくれるのでしょうか?頼む身である私が言う事ではありませんがほんとに危険なことになると思います……」
ステラは申し訳なさそうにいうが
「気にしないで大丈夫です。むしろ私たちはこんな展開を夢見ていましたから。」
あずさは本当に楽しそうな顔で答える。
「さてと、んじゃ目的も決まったしお楽しみの能力の把握とまいりましょうか!!」
太一が音頭をとると
「「「「「やったんでーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」
今日何度目かの合唱がこだまする。
「さ、て、と、俺は何ができるかなー……っ!?」
魔眼使いという称号を得た星野努は自分のスキルの確認中に驚愕する。
(いやまて、これだけはだめだ、知られるわけにはいかない。落ち着け絶対に気取られるな。)
努が必死に冷静を装うとしているとその心の揺らぎを感じ取り
「っ!?誰か封印能力持ってる人いない!?」
先ほどステラの心を読んだ裕子が切羽詰まった声で叫ぶ。
「なっ!?やめろ裕子!!」
努が決死の形相で叫ぶも裕子は
「努がみんなに牙を向けるスキルを持ってる!!」
「やめろーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「透視の魔眼よ!!」
「封印。」
符術師と呼ばれる職を得た小森玲奈は封印符を努に張り付けた。
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
この世の絶望を凝縮したような慟哭をあげ努は気を失った。
「ふう、あぶなかったわ。ナイス玲奈!」
「いえー。」
裕子と玲奈はハイタッチを交わす。
「なんて恐ろしいスキルを持ったのよこの馬鹿は。」
「ほんとあぶなかったわ。二人ともありがとう。」
「念のため目潰しとく?」
「それだと生活支障出るから股についてるボールつぶせばそんな気も起きないんじゃない?」
「えー誰が触るのー?」
恐ろしいことを話す女性陣に男性陣は身を寄せて震える。そんな中。
「いやまったく、ほんとよかったぜ、みんなの裸がみられる前に対処出来て。」
太一が頷きながらそう言うと
「あら、太一のくせにわかってるじゃない。男なら努の気持ちがわかるんじゃないの?」
裕子が言うと
「見損なうな!!!!」
本気だということがわかる怒声に裕子は後ずさる。
「ご、ごめん。ちょっとデリカシーなかった。」
裕子がシュンとした表情で謝ると
「俺が透視能力が得るのはいいが、ほかの男が得るのは許せん!!!」
「ん?」
「俺は見たいが俺以外のやつが裕子のワガママボディを、ましてやみんなの裸を拝むなど許せるわけ……ごふぅ。」
途中で凄まじい速さのボディブローが太一に突き刺さり膝から崩れ落ちる。
「死になさい。」
床で痙攣している太一にあずさが冷たい瞳を向けて言い放つ。
「しょせん太一は太一か。」
裕子があきれたように言うと
「太一が熱くなると妙な迫力が出るのがやっかいよね。」
「うんうん。」
「でもその迫力のおかげでみんな小説投稿サイトにはまって今楽しめてるんだよね。」
「うーん……この馬鹿に感謝したくははないけど確かに……」
「私は太一君にはいつも感謝してるよー。」
このみが笑顔で言うと
「このちゃんは太一、ってこのクラスのみんなに甘すぎ!!」
あずさがいうと
「そんなことないけどなー?」
このみが首をかしげていると後ろで大きな声が上がる。
「あ!!」
声を上げた園田達夫にみんなの目が集まると彼はとたんに激しく目を泳がせる。
「どしたん達夫?」
康太の声に
「いやぁなにもぅ?」
上ずった声で返答する達夫に対し裕子が詰め寄る。
「怪しいわね。まさかあんたもいかがわしい能力を!!」
「いや違う!わかった!ちゃんと話すから読心やめて!!」
観念したように達夫が話始めるが、
「あのねぇーえっとねぇー。」
「うざい。」
「きもい。」
「はげ。」
「はげてねぇわ!!」
「いいから早く言いなさい。」
「はい。」
あずさの迫力に観念した達夫は
「いやー俺呪術師って能力だったんだけどさ。どんな能力なのか調べてたら離れた対象に呪いをかけられるってやつだったのよ。」
「おおー中々に厨二。」
「いいねぇー。」
クラスが少し盛り上がっていると
「んで試しに無理だろうなーと思いつつ試してみたのよ。」
「うんうん。」
「そうしたら?」
「はよ言え。」
「……魔王殺せちゃった……」
「「「「「…………………………は?」」」」」
「思い描いた対象の呪殺(悪のみに適用)ってのがあったから魔王思い浮かべて試してみたら殺せちゃったの……。」
「「「「「……………………」」」」」
「いや……いやいやいやいや!!」
「そんなそんなそんな!!」
「さすがにないって!ないない!!」
「もーいつからそんなつまんない冗談言うようになったのよ達夫!え?冗談よね?」
「そーよ!冗談に決まってるじゃない!!やだわーもう!!……冗談といいなさい。」
徐々に増してくるクラスメイトの圧におびえながら達夫は、
「ほんとなの。なんか魔王呪殺成功ってスキルが言ってきたの。」
一瞬の静寂が訪れ次の瞬間。
「「「「「なにしてくれてんだーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」
この日一番とも言える叫びがこだました。
「え!?は!?マジなにしてくれちゃってんの???」
「おわり?これで私たちの異世界転移終わり???」
「はは……悪夢だ……こんなことあるはずがない……俺はまだ石の床で寝てるんだ……」
「グス……我の時代……楽しみにしてたのに……」
「んんんんんんーーーーー!!あんまりでござるよーーーーーー!!!!」
「冗談は頭だけにしとけこのはげーーーーーーーー!!!」
「俺ははげてねーーーーーーーーーーー!!!」
地獄絵図である。またしても事の成り行きについていけずステラがあたふたしていると先ほどボディブローに沈んだ太一がゆらりと立ち上がった。
「落ち着けみんな。終わってしまったことはもうどうにもならない。」
「で、でも太一……」
「こんなのってないよ……」
「このはげが……」
「確かに達夫は後退しているがそこは言ってやるな。」
「え!?うそ!?後退????」
「せっかくみんなで楽しく暮らせると思ったのに!」
「いやよ!!まだ帰るには早すぎる!!」
「そうだ!まだ俺たちの力でこの世界を蹂躙、間違った。堪能できてない!」
「え?」
何か聞き捨てならないことを耳にした気がするステラが疑問の声を上げるが太一はそれをスルーして話を進める。
「わかってる。確かに魔王は倒してしまったのかもしれない。でも待ってほしい。だからって今すぐ俺たちが元の世界に変える必要はないじゃないか?」
「え?」
「確かに……」
「それもそうかも。」
「勝手にこっちで好き勝手しちゃえばいいのか。」
「何なら魔王復活させられない?敵ほしいし。」
「あ、そういえば私蘇生魔法持ってる!!」
「お!ナイス!!」
「んじゃ決まりだな!!」
「「「「「よっしゃやったるぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」
再びクラスの心が一つになる。
「あ、そうだ王女様。」
クラスのみんなを楽しそうに眺めていたこのみは放心してるステラに近づき目を合わすと、
「すみません王女様。ちょっと刺激が強かったと思うんでその部分の記憶忘れましょうねー。」
そういうとステラは眠りに付いた。
「なにしたんこのちゃん?」
太一が話しかけると
「さすがに魔王を倒したってとこからの話は王女様にはなんかかわいそうだからねー。忘れてもらっちゃったー。私幻術使いなんだー。」
このみの屈託のない笑顔をみた教え子たちは、
「「「「「やっぱこのちゃんサイキョーだわー。」」」」」
声をそろえるのだった。
「んじゃ姫さんが目を覚ましたらいっちょこの世界を堪能しちゃいますかー!!」
「いやー一時はどうなることかと。」
「こっから始まる俺らの伝説。」
「フフ……我は最初からこうなるとわかってた……ほんとだよ?」
「みんながいれば正直何にも負ける気しねーしな!!」
「当たり前!!」
「ござる!!」
「何でもできるしね、みんながいれば。」
「何より楽しい!!!」
「「「「「それな!!!!!!!」」」」」
ここから残念クラスの変人達による異世界の蹂躙(悪気ゼロ)が始まるのだった。