表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

1 出会い

 翌日の朝、歯磨きをし終わって、洗面台の鏡をふと見ると、知らない人が映りこんでいるのだった。

 知らない人は、私の背後で微笑を浮かべ、黒いスーツは新品のようにパリッとしていた。


 さて、ここで読者の皆さんにごしつもん。このとき、私は何を思ったでしょうか?

 ちっ、ちっ、ちっ、ちっ、ちっ、ち。あと10秒ですよ。

 5、4、3、2、1、0。

 正解は、「何このイケメン、私の推しの具現化じゃん! 」でしたー。正解した皆さんは、ってあれ、誰も正解できなかったみたいですね、ざんねん、ざんねん。


 私は脳内でクイズ番組を繰り広げた。色白、やせ型イケメンは、ずっとこちらを見たままである。

 仕方ないので、私は振り向いた。振り向いたら、いなかった。誰も。

 鏡のほうを見ると、やっぱり微笑していた。鏡を指先でこすってみる。消えない。それどころか、不思議そうな表情を浮かべている。おかしい。おかしいから、もう一度鏡を指先でこすった。さっきよりも強く。

 ……消えない。

 イケメンは、私の背後でためいきをついた。

「どうしてそんなに物分かりが悪いんですか」

 背中から、声がする。私は振り向く。やっぱり誰もいないままだ。

 前を見るとやっぱり彼はいた。

「私はいますよ、ずっとここに」

「どういうことなのでしょうか、これは」

「だからどうしてわからないのですか、それとも、分からないふりをしているだけでしょうか」

「分からないです、なにも」

 私は本当に何が起こっているのか、何が何だか分からなかった。

「俗にいう幽霊というやつですよ、私は」

「ゆう、れい」

「はい、左様です」

「き、きゃあああああああああ」

「どうしたのですか、急に叫び声などあげたりして」

「いや、幽霊にあったのに悲鳴を上げないのも失礼かと思いまして」

「急に叫ばれる方が迷惑です」

「そうですか」

「あなた、それで今日は」

「今日は休みです」

「そうでしたか、それなら丁度いい」

 私には何がちょうどいいのか、全く分からなかった。しかし、何か悪いことが起きそうな予感だけは、分かるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ